オリエンタル白石 PC-Rev工法の20回目となる講習会を開催

オリエンタル白石 PC-Rev工法の20回目となる講習会を開催
2025.04.22

グラウト充填不足対策 資格認定を有する技術者は、今回の講習会で156人に達する

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 オリエンタル白石は、4月10、11日の2日間、PC構造物のグラウトの充填不足対策に対応する再注入工法である『PC-Rev工法』の20回目となる講習会を開催した。同工法は、中日本高速技術マーケティングと共同開発した工法で、現在までに82件の現場で採用されている。今回は9人(オリエンタル白石5人、デンカリノテック4人)が参加した。同講習会は座学と実技で構成されており、講習の最後に行う試験に合格することで、資格認定を与える。資格認定を有する技術者は、今回の講習会で156人に達する。同社の社員は49人。それ以外の協力会社などが107人となる。PCグラウトの充填不足対策はNEXCO3社はもちろん、そのほかの道路管理者にとっても共通の課題であり、今後も補修の増加が予想される。同社はそうした事態に対応すべく、今後も技術者を増やしていきたい考えだ。(井手迫瑞樹)

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削孔径は僅かφ15.5mm 調査と注入に併用することができる

削孔径は僅かφ15.5mm 調査と注入に併用することができる

安全、確実に鋼材を傷付けることなくドリルを停止

 施工前調査は、X線透過法、衝撃弾性波法、直接削孔してCCDカメラを開孔部に挿入して調査する手法を用いている。


従来工法とPC-Rev工法の違い(施工手順)(オリエンタル白石提供、以下注釈なきは同)


 同工法は構造物の負荷低減(削孔径の極小化)、空洞量推定の高精度化、グラウト充填性およびPC鋼材防錆性能の向上を図り開発された再注入用グラウト、スネークポンプと真空ポンプを併用した切替式注入、を特長とする工法、削孔径は僅かφ15.5mmであり、その孔を調査と注入に併用することができるため、80mm程度の従来の削孔径に比べて既設構造物への影響を必要最小限に抑えられる。また、開発した専用のシース開削治具により削孔部の外周に沿って切り込み開削することが可能だ。


 コンクリートの削孔にはティ・エス・プランニングが開発したロングビットドリルをPC-Rev工法仕様に改良したものを用いている。従来のモーター負荷電流により鉄筋を検知する機能に加えて同工法仕様にビットを改良し、なおかつ金属検知センサを装備し、より安全、確実に鋼材を傷付けることなくドリルを停止できるようにした。


ロングビットドリル


 電流検出センサは特殊ダイヤモンドビットを用いて、金属製のシース管接触時に駆動モーターの急激に増加する過電流を計測制御することでドリルを停止させ、削孔を安全に管理する。金属検知センサは、シースに接触した時に切削された鉄粉が,水循環装置の吸引時に、金属センサヘッドを通過することで検知し、ドリルを停止させるものである。


各種センサ

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空洞量把握を真空容器法によって行う

再注入に特化した無機系グラウト材で、φ3mmの狭い隙間に対しても充填できる能力

 削孔後は専用のシース管開削治具で調査・注入孔をあけ、空洞量把握を真空容器法によって行う。減圧した容器とシースをグラウトホースでつなぎ、真空化した容器に空洞内の空気を吸引し、圧力の変化を計測することで、空洞量を自動推定するものである。従来手法では空洞部に極細ホースやピアノ線などを挿入し、その距離から容積を推定していたが、同手法に比べて正確性が飛躍的に向上した。計測は1箇所について複数回行い、その計測値の平均で算出する。


 空洞量推定後は、現場でグラウト材を製造する。グラウト材は粉体と水、混和剤からなり、シース内への再注入に特化した無機系グラウト材で、φ3mmの狭い隙間に対しても充填できる能力を有する。練混ぜ量は1回に付き11リットル程度。同グラウト材を真空状態で吸引させた後、スネークポンプによる加圧に切り替え、じわじわと0.7MPaまで圧力を上げて注入していく(ホースの耐圧は0.8MPaであるため急激に上げるとホースが破損する)。グラウトの注入が止まった時点で、空洞内の充填が完了したとみなす。これらは桁下のパソコンで管理しながら施工する。従来は手動で注入を管理し、開口部からの漏出によって充填を定性的に判断するといった手法ではないため、これらも定量的かつ、効率的に施工することが可能だ。


座学(左)や削孔を行っている状況(中、右)

無機系グラウトの攪拌(井手迫瑞樹撮影)

シースを模擬した容器を使っての真空化、グラウト注入



実構造物に近い供試体を使ったグラウト注入も実技講習で行わせた


 今回の講習会では、座学を行うと共に、そうした一連の作業を体験し、最終的に試験を行っており、受講した9人全員が合格した。

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