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2025.05.14

太平洋マテリアル 環境配慮型粉体急結剤『ビスコショット』を大断面の山岳トンネルでの施工を対象に積極的に展開
リバウンド率を液体急結剤並に低減 厚付けも可能

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 太平洋マテリアルと花王は、主に山岳トンネルの一次覆工に用いる吹付けコンクリートのリバウンド率を、粉体急結剤でありながら、広く用いられているハイブリッド型の液体急結剤(従来の粉体急結剤の数倍のリバウンド低減効果がある)と同等にまで抑え、使用セメント量を減らすことができる環境配慮型粉体急結剤『ビスコショット』の本格展開を開始した。ビスコショットは、ハイブリット型の液体急結剤と異なり、材料を混合させる箇所が1か所で済むことから専用の機械を必要とせず、吹き付けることができる。そのため施工の際や機械メンテナンスの手間が減り、その分のコスト縮減も可能となる。既に太平洋マテリアル小野田工場内の模擬トンネルや、太平洋セメントが有する大分の鉱山で施工を重ねており、リバウンド量低減効果を確認している。今後も現地評価を反映した製品改良を進めるとともに、安定供給体制を構築していく。


ビスコショットの吹付状況


 ビスコショットは、太平洋マテリアルの急結成分と花王が新たに開発した特殊増粘剤を適量ブレンドした粉体急結剤を吹付けコンクリート施工における圧送吐出の直前に添加させて、リバウンド率の低減を図るもの。太平洋マテリアルは従来もこうした粉体急結剤を有していたが、リバウンド率が液体急結剤より高く、施工コストの増大や産業廃棄物の低減などの点で、溝を開けられていた。今回は花王の「日焼け止めクリームなどに用いている技術的コンセプト」に着想を得て、吹付時は「粘性の少ないさらっとした材質でポンプ圧送を阻害しないにもかかわらず、地山に吹き付けた瞬間、粘り気が強くなり、リバウンドを起こりにくくし、さらに液体急結剤が有していない厚付けを可能とする」(太平洋マテリアル)性能を追求した。これにより① リバウンド量は従来の同社製品より約3割低減することによる材料コストの節約、②専用機械を必要としないことによるコスト縮減と施工の簡便化、③ 産業廃棄物削減に伴うズリ出し作業の負担軽減、④ 付着性能の向上による施工時間短縮(トータルコスト削減)、⑤ コンクリート使用減に伴う、CO2 排出量の削減を実現した。


ダレを低減する設計としていることでリバウンド率を大きく抑制している


 両社は大容量吹付を行う大断面の山岳トンネルでの施工を対象に積極的に展開していく方針で、国土交通省などへの展開を早めるため、NETIS登録も進めている。

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