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2025.05.20
PC建協が定時総会を開催 2024年度の会員受注額は3433億円
4年連続4,000億超はならず 今年度も昨年度比減の見込み

PC建協の2024年度の会員受注額は3433億円と前年度比84%に減少した。3年度連続4,000億円を受注していたが、それが途切れ、2020年度(同3,395億円)とほぼ同額となった。減少自体も3年連続であり「非常に危機感を有している」(森拓也広報委員長)。一方で「国土強靭化実施中期計画素案では、5ヶ年で20兆円を超える事業量が計画されており、今後も一定量の建設投資があるものと期待をいたしている」(同)と語った。
PC建協会員企業の受注実績と推移
減少額は高速道路会社が約300億円減少の1,760億円(対前年比86%)、さらに鉄道会社が約280億円減少の252億円(対前年比40%)となっている。受注増は自治体が対前年比118%の684億円となっている。
新設/補修・補強別では、新設受注の減少が8%程度の2315億円であったものの、補修・補強はNEXCOの大規模更新減少が響き約3割減の1118億円に留まった。
さらに2025年度の発注額は昨年度よりもさらに減少すると見込んでいる。中央官庁、高速道路会社、鉄道会社は同程度を見込むものの、自治体発注の減少を見込んでいる。
安全対策については、NEXCO西日本から新たな事故内容の詳細が公表され次第、会員各社に向けて再発防止対策の順守を周知する。さらにPC工事安全管理指針(改訂版)やインサートの設計・施工マニュアル(案)の改定も検討する。また、協力会社に対しては会員会社のトップ(=代表)から現場に安全総点検および協力会社を含めた安全確認を実施し、協力会社とのより一層のコミュニケーション向上をしっかりと図っていく。
発注機関との意見交換会は、6月13日の国土交通省道路局を皮切りに、各地方整備局、沖縄総合事務局、NEXCO3社、鉄道運輸機構に対して順次行っていく。交換会のテーマは、①年度工事量の安定的な確保、②働き方改革の推進、③生産性向上の推進、④PC橋の長期保全の推進、⑤機能性向上と構造デザイン性を有するプレキャストPC建築の推進――。
昨年度から始まった時間外労働の上限規制に対しては、更なる働き方改革の推進を行っていく必要があるとの考えのもと、具体的には、スリム化ガイド運用の徹底や、近年、利用率が高まっている施工管理の情報共有システムの利用促進を図るべく、発注者へも協力を呼びかけていく方針だ。
2024年度については、罰則付き時間外労働の上限規制適用後の実態調査アンケート結果を行ったところ、全体の8割弱が月30時間以内の残業時間に収まった。さらに特別条項による上限の720時間を超えた労働者はいなかった。
一方で、完全週休2日の実施は道半ばだ。4週8休以上の休日取得率は国交省および沖縄総合事務局では100%、地方自治体も93%、NEXCO3社でも92%に達している。一方で、完全週休2日実施率は国交省・沖縄総合事務局で45%、地方自治体で48%、NEXCOが16%といずれも低くなっている。そのため、2025年度では、土木工事共通仕様書の週休2日について、「週休2日は土日+祝日を休日とする4週8休以上の現場閉所」の条文化を要望していく。また、ICT活用などの生産性向上への取り組みも注力していく。
保全補修分野への取り組みとしては、「PC構造物の維持保全 -PC橋の⾧期保全に向けて-」の改訂をすすめている。同書は2010年に発刊し、15年に改訂したが、ここ10年の積み重なった知見や技術を反映し、PC橋の予防保全を一歩進め、⾧機的な健全性の確保を目指して、再度改訂しているもので、今年12月に2025年改訂版を発刊する予定だ。