名高速 高速16号一宮線清洲JCT~一宮東出口間(下り線)延長約7.6kmのリフレッシュ工事
名古屋高速道路公社は、10月25日~11月3日にかけて高速16号一宮線清洲JCT~一宮東出口間(下り線)延長約7.6kmのリフレッシュ工事を全面通行止めして施工した。RC床版では床版の補修、複合防水の設置、舗装の打ち換え、鋼床版では舗装打ち換えを行う。また床版種類問わず、路肩コンクリートの撤去を主とするリフレッシュ工事を実施したもの。工種は舗装打ち換え、床版防水工、区画線工がメインで、それ以外にジョイントの取替えを4か所で実施、電気設備の点検、補修を行った。その現場を取材した。
舗装打ち換え総面積が82,220m2 基層まで全て打ち換える部分が34,050m2
舗装打ち換え総面積が82,220m2 基層まで全て打ち換える部分が34,050m2
舗装基層の切削は床版上面に1cm程度残す
内訳は舗装打ち換え総面積が82,220m2で、そのうち表層のみの打ち換え部が48,170m2、基層まで全て打ち換える部分が34,050m2である。基層まで打ち換える部分は鋼床版が10,810m2、RC床版が23,240m2である。舗装のほか、構造物点検、路肩コンクリート撤去(4,160㎡)、床版上面の断面修復、床版防水、ジョイントの交換(4か所)、その他の付属工事、電気設備の維持管理も合わせて行った。リフレッシュ工事に係わるのべ人員は6,000人強に達した。
高速16号一宮線清洲JCT~一宮東出口間(下り線)の1日平均交通量は30,101台/日、大型車混入率は約18%となっている。供用日は平成17年2月11日であり、設計は平成8年道路橋示方書に基づいている。床版防水は、供用時からアスファルトシート系防水が約半分ほどの面積で施工されていた。
同区間は今までリフレッシュ工事の履歴はなく、今次施工区間の基層までの切削は、初めて。RC床版厚は240mmとなっている。RC床版の損傷はそれほど激しくはなく、WJによるはつりが必要な面積は全くなかった」(名古屋高速道路公社)。ただし、実際に舗装を剥がすと、路肩コンクリートに覆われていた部分や、床版施工時の打ち継ぎ不良個所などで面積は狭いものの、コンクリートが劣化する損傷が見られた。いずれも1㎡以内のため、公社規定によりベビーチッパーではつった。



床版施工時の打ち継ぎ不良個所(井手迫瑞樹撮影、以下注釈なきは同)

通常の損傷個所
施工はまず切削機で舗装を切削する。舗装撤去時のRC床版損傷対策として机上調査および事前調査で床版上面を点検する。次いで舗装基層の切削は床版上面に1cm程度残す形で行い、コンクリート部を切削しないようにした。その上でバックホウを使って残ったアスファルトを剥ぎ取る。

切削しすぎて鉄筋を露出させた箇所 / 1車線ずつ舗装切削した際に小さな段差を生じせしめた箇所
低弾性ポリマーセメントモルタルで断面修復、RC床版部で複合床版防水工
床版防水工未設置の箇所はショットブラスト(投射密度100kg/㎡)を施して脆弱部を除去
舗装撤去後は、床版全面を目視および打音などにより点検し、損傷部については、ベビーチッパーで脆弱部をはつりとった。その上で、鉄筋防錆材の塗布、損傷している鉄筋の補修、溶接、母材と断面修復材の界面に接着剤を塗布したのちに、低弾性ポリマーセメントモルタル(リフレモルセットSF)を用いて断面修復を施した。さらに5時間程度養生した後に、床版防水工未設置の箇所はショットブラスト(投射密度100kg/㎡)を施して脆弱部を除去し、既設床版防水材の付着が剥がしにくい箇所に関しては、乗用タイプの大型剥がし機を使って、念入りに除去し、それでも除去できない箇所はWJを用いて防水の残滓を除去した。


バックホウによる撤去

乗用タイプの大型剥がし機を使って、念入りに除去

ベビーチッパーによるはつり取り状況

ショットブラスト(名古屋高速道路公社提供)

WJを用いて既設防水の残滓を除去(名古屋高速道路公社提供)

断面修復工
床版防水、基層までの打換え部の内、RC床版部(23,240㎡)全面で複合床版防水を施工した。今回はデンカの『デッキコート複合防水工法』(28,590㎡)を第3工区以外で、東亜道路工業の『橋面リフレッシュ工法(シビルスター)』(10,640m2)を第3工区でそれぞれ採用している。

複合床版防水工法(名古屋高速道路公社提供)
最後に基層(密粒度As(13)改質Ⅲ型-W)を35mm厚、表層(排水性舗装)を40mm厚打設し、完了させた。

基層工の施工

表層工の施工
静的破砕材『太平洋ブライスター』を使って路肩コンクリート部を撤去
粒径5mmの骨材を用いた小粒径ポーラスアスファルト舗装を表層に試験施工
舗装の施工に際しては、鋼床版については損傷としては舗装の流動や轍ぼれなどがあったが、床版本体に亀裂などシリアスな損傷は出ていない。舗装撤去に際しては、通常の手法では大きな騒音が発生するため、全面(3工区(宮87~宮91) 3,400m2、4工区(宮111~宮120、宮127~宮130) 8,580m2の合計11,980m2)でIHを用いてはく離し、バックホウで撤去した。その際、鋼床版とバックホウの間の擦過音を抑制するため、バックホウの腹の部分に緩衝材を付けて舗装撤去時の騒音を抑える手法を昨年の上り線の時から採用している。ビーストなど乗用タイプの大型剥がし機やチッパーなどを用いて、舗装の残滓を除去した後、ショットブラスト(投射密度300kg/㎡)で研掃した。今回の鋼床版についてもごく一部を除き、パネル同士の接合は溶接構造であり、添接構造は上部工の閉合箇所のみであるため、舗装厚を抑えることができた。

IHによる施工撤去

ショットブラストによる研掃
基層は35mmのグースアスファルト、表層は40mmの排水性舗装を採用した。
路肩コンクリートの撤去は、基層まで舗装を打ち換える部分3.9kmの追越および走行車線側計7.8kmで撤去を行った。事前にカッターで35mm程度の幅で溝切りを造り、静的破砕剤『太平洋ブライスター』を流し込み、24時間養生を行って、破砕が進んだのちにバックホウで撤去する手法を採用した。事前に静的破砕させることで、手ばつりなどを必要とせずバックホウのみで撤去すること可能になる。そのため床版や高欄に対する影響や施工時の騒音も最小限に抑制できる。

ブライスターの施工跡

ブライスター注入状況(名古屋高速道路公社提供)
今次施工区間の路肩コンクリートについては、表層までの舗装打ち換え区間(延長4.0m)については残置し、今後のリフレッシュ工事で改めて撤去を進めていく予定である。
さらに今回のリフレッシュ工事では、昨年の上り線から引き続き、首都高などで騒音抑制効果が高い舗装として実績のある粒径5mmの骨材を用いた小粒径ポーラスアスファルト舗装を表層に試験施工した。面積は920㎡。今後は騒音抑制効果や耐久性などを確認しつつ、採用に向けて検討を進めていく。

小粒径ポーラスの施工
施工は第1工区(宮8~宮31、清洲JCTCランプ、Eランプ、延長2210m、表層打換え6,560㎡、基層までの打換え9,720㎡、路肩コン撤去1,240㎡)の元請が日本道路、一次協力業者は測量工が山双、はつり工が井村組、カッター切断工がさつま工業、舗装工が卓建設、丸谷建設、床版補修工がケミカル工事、浸透防水工が中部ニチレキ工事。路面切削工がナミセイロード、WJ工がフタミ、路面標示工がキクテック。
第2工区(宮31~宮87、春日入口、西春出口、延長3,200m、同15,500㎡、11,250㎡、1,470㎡)の元請がNIPPO、一次協力会社は舗装工がハイロード、ユーエルロード、深谷組、岩崎建設工業、メイテック、舗装切削・コア削孔が57、撤去工が新栄重機、豊田、小澤組、研掃工がフタミ、床版補修工が中部テック、ケミカル工事、区画線工が協栄産業、薄層舗装工が美州産業。
第3工区(宮87~宮111、一宮西春入口、一宮南出口、延長1,810m、同6,810㎡、9,300㎡、1,460㎡)の元請が大有建設、一次協力会社は舗装版破砕工・床版劣化部斫り工・舗装版切断工が日本水機工、床版劣化部斫り工・汚水処理工が𠮷原組、切削・舗装版撤去工・舗装工がヘイセイテック、ユナイト、調査工・床版補修工がシンテック、区画線工、床版表面処理工がキクテック、研掃工がフタミ、グース舗装工がメイテック、複合防水工(塗膜)が東亜道路工業、複合防水工(浸透)がケミカル工事、舗装版破砕工(IH)が竹中道路。
第4工区(宮111~宮151、一宮IC B出口、一宮東出口、延長2,760m、同19,300㎡、3,780㎡、1,203㎡)の元請が中部土木、一次協力会社は舗装削孔工が江島産業、舗装版撤去・舗装・床版補修工事が大塚建設、舗装床版撤去・床版補修工が朝日舗装、高田、舗装工が大成ロテック、区画線工が三栄ライン、キクテック、システムカディ撤去・復旧工がスバル興業、殻集積撤去工が新栄重機、路面切削・舗装工がワールド開発工業、舗装版撤去(IH)が竹中道路、ショットブラスト工がフタミ、防水工が中部ニチレキ工事。

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