横河ブリッジ 吊足場の解体作業をスムーズかつ安全に行うことができる片持ち式移動安全作業床を開発

横河ブリッジ 吊足場の解体作業をスムーズかつ安全に行うことができる片持ち式移動安全作業床を開発
2026.01.01

米子大橋第2鋼上部工事の鋼5径間連続少数鈑桁橋部に適用

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 横河ブリッジは、橋梁架設時における吊足場の解体作業をスムーズかつ安全に行うことができる片持ち式移動安全作業床を開発し、現在施工を進めている倉吉河川国道事務所発注の令和5年度米子道路米子大橋第2鋼上部工事の鋼5径間連続少数鈑桁橋L=202.5m(支間長:39.4m+40.45m@2+40.1m+40.15m、総幅員:11.79m)の現場施工に採用した。同装置の作業床は、橋軸方向6m×橋軸直角方向20mの広さで、作業床全体で6tの積載能力を有し、同社の製品であるアルミ合金製常設足場 cusa(キュウサ)の床材を使用することで装置の軽量化を図っている。従来の吊足場解体作業は、作業員が既設足場の上で足場用のおやごパイプや吊チェーンを取り外す形で作業を行っていたが、不安定な足場上の作業であることから墜落の危険を伴うものとなっていた。同装置は床版コンクリートの上に移動に用いる2条のレールを鋼桁や床版への負担を低減するため、主桁間隔8.2mに合わせて配置し、その上を自走台車で移動するものである。軌条間隔を変えることも可能で、13m程度までの幅員を有する橋梁に十分対応できる。(井手迫瑞樹)


令和5年度米子道路米子大橋第2鋼上部工一般図(横河ブリッジ提供、以下注釈なきは同)

令和5年度米子道路米子大橋第2鋼上部工(切れているが、写真右側5径間部)(井手迫瑞樹撮影)

写真左右に2条の軌条が整備されていることが分かる(上2枚は井手迫瑞樹撮影)

invitation to innovation 吊足場解体作業用 片持ち式移動安全作業床 私たちは、循環式ブラスト・ショットピーニングで予防保全型メンテナンスを推進します。

隣接する米子大橋Ⅰ期線との離隔がほとんどない

既設足場下面と作業床のクリアランスは140cmとなるよう配置

 同社は、既にロの字型の移動安全作業床を保有しており、実際に使用した実績もある。


ロの字型の移動安全作業床(左は通過時、右は作業時)


 今回、片持ち式にしたのは、隣接する米子大橋Ⅰ期線との離隔がほとんどなく、Ⅰ期線側に厚い吊り材を配置することが不可能なためである。その代わりとして、作業床の橋軸直角方向先端部を10tチェーンブロック1本とさらにフェールセーフ用のチェーンスリング2本の計3本を鈑桁の下フランジにクランプで固定する形で吊る方式を採用した。


片持ち式移動安全作業床図面

供用されている橋との離隔はほぼない。(左写真は井手迫瑞樹撮影)

既設足場下面と作業床のクリアランスは140cmとなるよう配置(井手迫瑞樹撮影)

作業手順図


 既設足場下面と作業床のクリアランスは140cmとなるよう配置し、既設足場の床板やおやごパイプ、吊チェーンを作業床から安全に解体できるようにしている。本現場においては、1径間約40m分の既設足場を撤去した後、ピアをかわして同装置を次の径間へ移動させなければならない。今回の片持ち式移動安全作業床は、吊り材下部と作業床との接続部が旋回可能な構造になっている。さらに桁下の作業床は側方に少し引き出せる機能を有している他、このような機能を使って、作業床を90°回転させて橋軸方向と平行にして桁の外側に出すことによって、ピアをかわすことを可能としている。その際は、作業床の一部はヒンジ構造を有する電動式シリンダジャッキによって遠隔操作で折り畳み収納することで、橋軸方向への回転時の旋回半径を最小化し、ピアをかわす際の効率および衝突安全性を高めている。


設置状況① 上部トラス組立て/下部中央トラス+駆動旋回装置地組み/側柱組立て

設置状況② 下部中央トラス+駆動旋回装置取付/下部トラス接続/梯子等付属物取付



電動式シリンダジャッキ / このように、手すりや張出し部を折り畳み鉛直方向に足場を向けて移動していく
(左写真は井手迫瑞樹撮影)

橋脚をかわして径間移動する状況① 作業床の側方への引き出し

橋脚をかわして径間移動する状況② 作業床を90°回転させて橋軸方向と平行にして桁の外側に出す

橋脚をかわして径間移動する状況③ 橋脚をかわして移動し、さらにまた旋回させて、次の径間に入れ込んでいく

橋脚をかわして径間移動する状況④ 入れ込んだ後は、また足場の撤去を始めていく

橋面上から見た移動作業床の旋回状況


 次径間に移動した後は、逆工程を行い、再び既設足場解体を進めていく。

私たちは、循環式ブラスト・ショットピーニングで予防保全型メンテナンスを推進します。 アルミ合金製常設足場「cusa」を設置 JFEスチール 鋼管

桁高や変断面、桁形式の違いにもフレキシブルに対応可能

橋長が長く、足場解体面積が多いほど労務工数の低減にも有利に働く

 今回は桁高2.5mの鈑桁橋を対象としているが、吊り材には固定ピン挿入のためのホールが沢山ついており、固定ピンの挿入位置を調節することで、より大きい桁高の主桁や桁高が比較的高いトラス桁、変断面を有する主桁であっても対応は可能だ。さらに下路式トラス桁の場合は、架設に使うトラベラークレーン用の軌条を援用し、片持ち式移動安全作業床を運用することができる。


固定ピンの挿入位置を調節することで、桁高の変化や変断面にも対応できる作りとなっている(井手迫瑞樹撮影)


 作業床の手すりは鋼製の中桟と上桟がついている1m程度の高さのものを採用している。折り畳み収納を行う関係上、幅木は後付けの形で、配置(写真)し、部品等の落下を防いでいる。


作業床の手すりは鋼製の中桟と上桟がついている。折り畳み収納を行う関係上、幅木は後付けの形で配置(井手迫瑞樹撮影)


 作業床上の撤去した足場部材は、別途桁上に配置した小型自走式クレーンで荷揚げして場外に搬出していく。

 横河ブリッジは、この片持ち式移動安全作業床について、「橋長が長く、足場解体面積が多いほど労務工数の低減にも有利に働く。今回は初使用、そして見ていただいた径間が初めての施工のため、径間長約40m(足場面積約480㎡)を人工7人で3日かけて施工しているが、慣れればさらに短縮することが可能だ」(同社)という見通しを示した。また、「本現場でも陸地をヤードとして使える河川敷の部分は高所作業車を用いて吊足場をばらしたが、渡河部はそうもいかず、危険を伴う足場ばらしが増える。昔は、熟練工が多く、おやごパイプの引き抜き作業や、吊チェーンの取り外しも、既設足場上でスムーズに行えていたが、現在はそうした熟練作業者が高齢化して少なくなり、若い担い手も不足している。さらには安全意識もかつてなく、高まっており、我々元請の安全に対する荷重が増加している。それをこうした設備を用いることで、下部に河川や渓谷、あるいは交差交通などがある場所でもスムーズかつ安全に作業が行えるようになれば、と考えている」(同)ということだ。


米子大橋第1鋼上部工施工時の足場解体作業、安全には留意しているが危険な作業だ

今回の作業状況 安全性は一目瞭然である


 現在は軌条設備を用いた移動としているが、将来的には、タイヤ式も模索していく方針だ。

 開発協力、実機製作は三信工業が担った。横河ブリッジは今後も、コスト面も含めて条件が合う箇所や、さらには通行規制を長期間かけられる現場に限定されるが、橋梁点検や補修・補強(例えば当て板補強や炭素繊維補強材の貼付けなど)においても積極的に適用を働きかけていく。


運用状況


 同橋の設計は片平新日本技研。一次協力会社は汐義建設工事(架設工)、澤田運輸建設(重機工)、山口建設工業(床版工)――など。

私たちは、循環式ブラスト・ショットピーニングで予防保全型メンテナンスを推進します。 アルミ合金製常設足場「cusa」を設置 JFEスチール 鋼管

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