NEXCO西日本グループ 岡山ICで応急復旧訓練2024を開催

NEXCO西日本グループ 岡山ICで応急復旧訓練2024を開催
2024.07.18

クリノポールNEOとE-スキッドドローンを初採用

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NEXCO西日本
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概要動画Overview Video

 NEXCO西日本中国支社および西日本高速道路エンジニアリング中国(以降、エンジ中国)は、5月30日に山陽自動車道 岡山インターチェンジ内および美作岡山道路予定地内において応急復旧訓練2024を開催した。高速道路が豪雨災害により被害を受けた場合、迅速かつ的確に対応し、速やかに高速道路のサービス・機能を復旧し、安全・安心を確保することを目的に行うものだ。(井手迫瑞樹)

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コスト半減で精度は同等……クリノポールNEO

伸縮計は0.1mm幅の亀裂を捉え、危険を知らせる

 訓練は、美作岡山道路内の道路予定地を用いて、①のり面被災想定箇所のドローンにより空撮して被害状況を確認し、②被災したのり面の動きを監視する変状監視用伸縮計を設置した。次いで③表層傾斜計『クリノポールNEO』を設置、④被災したのり面崩落個所に立ち入らずに遠隔から測定するため、標定球を搭載したドローン(通常タイプのドローン及び現場にある程度の凹凸があっても着地可能なE-スキッドドローン)を着地させた上でレーザー測量を行って、崩壊状況を3Dスキャニングすると共に土量を算出した。実際の現場ではさらに仮設土留め工や大型土嚢による抑え盛土などの応急復旧図面を短時間に策定する。

 次いで岡山IC内において⑥災害による停電を大型電源車による給電訓練、高性能電源ケーブル『E-ケーブル』、⑦ウエブカメラの設置、⑧携帯型情報板の設置、⑨緊急輸送道路の安全情報確認、⑩警察による最終確認を経て交通開放するという内容であった。

 ②は被災したのり面に対して、更なる変状の有無を監視できる測定機器である、伸縮計、GNSSおよびクリノポールNEOを実際に設置した。

 伸縮計は集約機とワイヤー線、保護管から構成されるもので、のり面の挙動を把握したい箇所に設置し、ワイヤー線によりのり面の引張や圧縮の動きを捉えるものだ。ワイヤー線は0.1mm幅で土の移動量(すなわち亀裂など)を測定可能で亀裂の進行や伸び、はらみだしなどを確認することで変状を捉え、危険が迫った際には現場においては回転灯やサイレンで知らせ、本部事務所などには警報メールで危険を伝える。現場においては木や土石、動物などがワイヤー線を損傷させないよう保護管でワイヤー線を守っている。



伸縮計の設置


 

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コスト半減で精度は同等……クリノポールNEO

 さらに今回初採用したのがクリノポールNEOとE-スキッドドローンである。クリノポールNEOはエンジ中国と応用地質が共同開発した製品で、80cmの棒状の部分とそれに付属するセンサからなる表層傾斜計で、センサを下にして棒状部分の全長を土中に埋めて用いる。センサは加速度計であり、表層の傾斜を捉えることで、変状を確認する。1セットは20本で、データを集約して事務所に伝える親機を中心とした半径40mの範囲に設置し、道路に面する斜面やのり面(あるいは盛土)の危険を知らせることができる。


クリノポールNEO


 1セット当たりのコストは150万円と従来の傾斜計の半分まで縮減できるにもかかわらず、精度は従来比ほぼ同等である。これは「今までは1本ずつのデータを個別の電話回線で飛ばしていたのを、クリノポールNEOでは、Bluetoothを用いて20本分を1基の親機に集約することで電話回線を一本化したことにより通信ユニットのコストが抑えられたため」(エンジ中国)。通信は1時間に1回程度の頻度であり、即時性はないが「危険な場所に予防保全的に置くことで早期に傾斜を感知することで、災害が起きる前にハード・ソフト両面から対応できるシステムとして活用していきたい」(同)ということだ。同社では現時点で25セットほどを保有しているが、応用地質と共に、他社にも積極的に拡販を図っていく。

最大傾度30°まで着地可能なE-スキッドドローン

 遠隔操作可能で画角調整可能なウエブカメラを運用

 ④E-スキッドドローンは、災害地でも運用できるようドローンの脚が現場の形状や傾斜に応じて伸縮して着地することができるドローンである。最大傾度30°まで対応可能で、着地の際に1脚ずつ接地し、状況を感知して4脚接地後に地表の凹凸や傾斜に応じて脚を全てロックすることで安全に標定球を設置することができる。


E-スキッドドローン

E-スキッドドローンの実際の運用状況


 危険な現場にも標定球を安全かつ着実に設置できるようになることで、『3Dレーザースキャナー』による精密且つ短時間な測量が可能となる。測量されたデータから応急復旧図面作製は「1日で可能」(同)であり、迅速な応急復旧作業を支えている。

 ⑥の電源車は被災現場で使用する投光機・カメラ等へ200時間以上給電が可能。E-ケーブルは200Vに昇圧することで、最長500mの電源供給が可能である。さらに⑦のウエブカメラは中国エリアで15台保有しており、熊本地震や西日本豪雨といった災害でも使用実績がある。遠隔操作で上下左右斜めに動かすことができ、上下約100°左右約180°の画角調整が可能で、目標対象物だけでなく周囲も確認できる。


電源車とその運用


 訓練にはNEXCO関係者だけでなく、岡山市長、国土交通省岡山国道事務所長、岡山県警、本州四国連絡高速道路などの関係機関の長や関係者も出席、関心の高さを示していた。


岡山市長、国土交通省岡山国道事務所長、岡山県警、本州四国連絡高速道路などの
関係機関の長や関係者も出席

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