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2024.07.04

首都高速道路 新社長に寺山徹氏が昇格
プロパー初の社長に就任

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 首都高速道路は6月26日、新体制を発表した。寺山徹専務が昇格し、新社長に就任した(右写真、井手迫瑞樹撮影)。同社プロパーとしては初めての社長となる。また、土井弘次氏が代表取締役専務執行役員に昇格、 中島高志氏が代表取締役専務執行役員、佐藤守孝氏が取締役常務執行役員に新任、菅原聡氏、乾晋氏の両執行役員が常務執行役員に昇格、古谷ひろみ氏、住吉英勝氏、垣下禎裕氏が新たに執行役員に就いた。

 

CS・サステナビリティ推進部を立ち上げ
3NEW(スリーニュー)、新分野、新顧客、新地域に拡大展開


 寺山新社長は就任あいさつで次のように抱負を述べた。

「私ども首都高グループは、首都圏の大動脈である首都高速道路の建設、維持、管理を担っておりまして、常にお客様視点に立った質の高いサービスを提供することにより、首都圏の暮らしや社会経済活動を支えていくことが使命であると、このように考えております」。

 「また、いつ起きるかわからない、明日起きるかもしれない首都直下地震などの大規模災害時におきましても、緊急交通路、あるいは緊急輸送路として、首都圏のライフラインとしての役割を果たすために、その備えも常に進化させながら不断の準備を重ねてきております」。

 「この春、2024年度からは、新しい中期経営計画を進めてきております。これからもお客様により安全・安心に首都高速道路をご利用いただけるよう、日々の点検あるいは補修等を適切に実施するとともに、構造物の長期的な安全性を確保するため、更新事業を着実に推進してまいります」。

 「こうした日々の管理、首都高インフラの長期にわたる健全性確保にとどまらず、100年先も豊かに進化し続ける首都圏を目指すために、この7月に専門部署、CS・サステナビリティ推進部を立ち上げ、サステナビリティ経営を推進していきたいと考えております。また、新大宮上尾道路等のネットワーク整備あるいは渋滞対策等を推進するとともに日本橋区間地下化事業、新京橋連結路、こういった事業においても周辺のまちづくりと連携して取り組んでまいりたいと考えております」。

 「この他、ETC専用化、あるいはDXを推進して、お客様サービスのますますの向上を図りながら、環境負荷の低減も図っていきたいと、このように考えております。高速道路事業以外にも駐車場事業あるいはパーキングエリアの事業の強化・拡充はもとより、今後の更なる重要な取り組みとして首都高グループが今まで培ってきた技術や経験を活かした技術コンサルティング事業、用地補償のコンサルティング事業等を社会インフラサポート事業と位置付け、3NEW(スリーニュー)、新分野、新顧客、新地域に拡大展開していきたいと、このように考えております」。

「6月13日には、タイ国に現地法人「首都高インターナショナル・タイランド株式会社」を設立いたしました。国内だけでなく海外においてもインフラ事業者が抱える多くの課題の解決をサポートする事業の拡大に挑戦していきたいというふうに考えております」。

 「人材の活用、育成も重要なテーマだというふうに考えております。首都高は、来年2025年に民営化20年の節目を迎えます。これまで60年以上首都高速道路が、培ってきた技術力やノウハウを後世に伝承し、私達を取り巻く急激経営環境の変化や将来の諸課題にも対応するために、DX人材、あるいはグローバル人材等を含め多様な人材の確保・育成にも取り組んでいきたいというふうに考えております」。

 

先人の強い情熱や使命感が基調

 以下、記者との質疑は次の通り。

 ――プロパー初の社長就任についてどのように考えているか

 寺山新社長 プロパーかどうかっていうことに関わらず、今後も首都圏の交通インフラを支える社会的使命、これが首都高に与えられた使命だというふうに考えておりますので、そういったことに積極果敢にチャレンジしていきたい。私自身も今までいろんな社長に仕えてきたが、首都高の社会的使命を果たすという強い信念と、情熱を持っていた。私もそういう覚悟で社長を務めていきたい。

 首都高は昭和37年、1962年に京橋・芝浦間が初めて開通して、今まで60年以上が経過している。先人が様々な苦労をして首都圏のインフラを運営・管理してきたが、その過程においては経験やノウハウを積み重ね、強い情熱や使命感が基調にあったのだと感じている。当然、そうしたことを変わらずに続けていくべきであると思っている。一方で少子高齢化、DX、カーボンニュートラル、サステナブルなど、世の中の流れの中で変えていかなければいけないところもある。社長という形で、グループ組織のリーダーとして、任命させていただいたことをきっかけとして、守っていかなければいけないものと、変えていかなきゃいけないことをうまくこなしていきたいと考えている。

社会インフラサポート事業 2026年度に100億円の目標を掲げる

人材の多様性をさらに進める 女性の新卒採用は中計のなかで4割を目指す

 ――社会インフラサポート事業について

 寺山 今回新たにこの7月から海外・社会インフラ事業部を立ち上げる。元々あった技術コンサルティング部を改組したもの。今までは主にコンサルティング事業に限られた仕事を行ってきたが、それ以外にも、国内ではグループ会社が維持修繕などでお困りの自治体でお仕事をさせていただいている。あるいは用地補償についての実績もある。道路事業全体で培った技術力、ノウハウを国内それから海外も含めて、お困りの方々のサポートができればということで、今までやってきた事業を少し全体として再整理して、社会インフラサポート事業という枠組みで今回の中期経営計画の中でも進めていきたいと考えている。当社だけでなく、ニーズに応じてグループ会社も含めた全体で対応していきたい。グループ会社連結での受注金額は、2026年度に約100億円という目標を掲げている。

 ――人材の価値向上について
 寺山 今後一層の多様性が必要になることは疑いえない。例えばDXに関しては1年前にDXビジョンを作り、この6月にはDXアクションプログラムを策定した。全社員にDX系の研修を受けていただいている。DXは変化の激しい分野と認識しており、DXと長いスパンのインフラの建設・管理をどのようにうまくマッチングさせるというのは大きな課題である。2030年ぐらいのDXとインフラ管理を思い描きながら、策定したDXビジョン、DXアクションプログラムに基づき、社員にある一定レベルのDXレベルを持たせていきたい。さしあたってはこれからあと数年かけて、DXに関するレベルを徐々に上げていく。

 グローバル人材については、タイをきっかけに、大きな視野を持った人たちとコミュニケーションができるような人材を育成していきたいと考えている。

 多様性という意味では女性が重要だ。今年の4月に入った女性の新入社員は3割に達している。これを中期経営計画の中で4割程度まで向上させていきたい。

 

思い出に残る横浜環状北線の生麦JCT

 ――首都高入社以来思い出に残っている業務は

 寺山 課長時代あるいは局長時代に神奈川に勤める経験が長く、横浜環状北線や北西線には携わった経験も長く、かなり強い思いをもっている。北線の生麦JCTはキリンビール横浜工場の付近に設置されている。このJCTの景観については、課長時代に心を砕いた。キリンビールの方々や亡くなられた大野美代子さんにもご相談させていただきながら、いい仕事をさせていただいたと思っている。結果的に土木学会の賞もいただくことができた。自分だけの力でなしえたものではもちろん決してないが、非常に強い思いがある仕事かなというふうに思っている。


建設中の横浜環状北線 生麦JCT


 ――新地域参入について

 寺山 今までも、首都圏だけでなく、多くの島が橋などでつながっており、構造物の維持管理点検についてはかなりご苦労されている地方自治体と協定を結んで、インフラ管理に関してお手伝いさせていただいている。私どものノウハウを提供してご負担を少しでも軽減していただけたらという思いを持っている。日本全国、首都圏にとどまらず、いろんな地域に行って、私どものノウハウを使っていただけるところがあれば使っていただきたい。

 海外についてもタイでスタートさせたが、将来的にはASEAN全体に広げていきたい。

ドライバー人口の減少 大きな課題と認識

 ――現在、高齢ドライバー4人に1人の割合に達している。ある時点から突然運転をする人が減っていき、利用者の急激に減少していく可能性が高い。こうした現象をどのようにとらえているか。また海外や国内の社会インフラサポート事業の拡充は、その売り上げ減少を補うという考えか

 寺山 少子高齢化に伴いおそらく免許所有人口が減っていく。運転する人が減っていくことは大きな課題として認識している。

 我々は、民営化以降、お客様のご利用料金できちんと建設時の債務をお返しさせていただくというのが、経営上の一番大きな課題である。その中で利用者の減少は大きな経営課題ととらえている。(人口減少は)私どもだけで対応できる話ではないが、その対応策については考えていくべきだとも感じている。

 しかし、社会インフラサポート事業はそれを補うために行っているものではない。インフラの維持管理において苦労されている自治体の方々をお助けしたいという考えで事業を進めている。

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