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2024.10.03

首都高速寺山社長会見 DXアクションプログラムを策定
18の施策群を選定、12の施策群をフラッグシップメニューに

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 首都高速道路は2日、同社本社において寺山徹社長(右写真、井手迫瑞樹撮影)の会見を行った。

次世代iDREAMs® 2030年代の実装目指す
表記の揺らぎなどへの対応必要 マシンリーダブルなデータ


 会見ではまず、DXアクションプログラムの策定について言及した。同プログラムは首都高DXビジョンで掲げた5つの柱をさらに18の施策群に分け、その中でも12の施策群をフラッグシップメニューとして優先的に進めていくこととした。


18の施策群と12のフラッグシップメニュー(首都高提供資料より抜粋、以下同) / 次世代iDREAMs®


 例えば次世代iDREAMs®では、データ駆動型マネジメントにより機械が暗黙知を継承し、熟練技術者並みの判断を実現することを目指す。具体的には機械判読可能(マシンリーダブル)なデータ(正規化・構造化)によるAI処理との親和性向上を図るほか、センシングやIoTの活用によるデータの即時性。正確性の確保を行い、こうしたデータにより暗黙知をAIにより形式知化することで、維持管理業務を最適化すると共に、人による作業を軽減する。ただし、最終判断は人により行うことにしている。
 課題は膨大な過去の点検データである。とりわけAIにデータを入力する際、今後は言葉を確実に定義していくため齟齬はなくなるが、以前のデータは言葉に表記の揺らぎがどうしてもある。「『ひびわれ』一つとっても『クラック』と表記しているものもある状況」(寺山社長)である。部材でも「『床版』や『スラブ』といった表記の揺らぎが存在する。こうした膨大なデータの整理・統合がAIを動かすうえで必須になる。こうした作業も進めていく。また、判断できる熟練技術者は次世代iDREAMsとは別の手法で育成し、最終判断ができる技術者がいなくなるというリスクを排除していく。
 寺山社長は「次世代iDREAMs®は2030年代までに形にしたいと考えており、その際は当社だけでなく、他の機関も活用していただけるようにできれば」と話した。

 

エコセーフ舗装 現在の208万㎡から465万㎡へ拡大していく
6年後の燃費差改善効果は37%まで拡大


 次にエコセーフ舗装の積極的な活用について言及した。同舗装は首都高が独自開発して2015年に採用開始した小粒径(5mmトップ骨材を使用)ポーラスアスファルト混合物を表層に採用した舗装である。首都高では同舗装を208万㎡(全舗装面積の約33%)まで採用しているが。今後も採用を進め、トンネルなどを除く465万㎡(73%)まで拡大していく。


エコセーフ舗装 / その燃費改善効果


 エコセーフ舗装は従来の高機能舗装に比べ、当初でも4.5%の改善効果を有する。優れた骨材飛散抵抗性を有しており、高機能舗装の剥離率が9.4%に対し、エコセーフ舗装は1.1%とほぼはく離は生じず、6年後の燃費を比較すると高機能舗装は10.9km/lまで悪化したが、エコセーフ舗装は14.9km/lと低燃費が持続しており、その燃費差の改善効果は37%に開く模様だ。また30年間の打換え回数は高機能舗装が2回に対し、エコセーフ舗装は1回で済み、工事による交通影響を抑制でき、さらにLCCも高機能舗装に比べ1~2割安くできる。騒音もタイヤ路面騒音測定値で高機能が95.8dBに対し、エコセーフ舗装は88dBに抑制できる。消費燃料が抑制できるため、465万㎡に採用すれば、年間5.7万t程度CO2排出量を削減できる、としている。

 エコセーフ舗装は第26回国土技術開発賞[優秀賞]も受賞した(バインダを開発したニチレキと共同で受賞)。

 

タイに同社初の海外現地法人を設立
 新京橋連結路 ボーリング調査及び地下埋設物などの試掘調査工事に着手

 また、社会インフラサポート事業の取組みとしては、「新分野、新顧客、新地域」の3NEWへの挑戦を掲げた。その実施例として、国内では多摩都市モノレールへの技術支援協定の手結、リニア中央新幹線用地取得業務(山梨県域)の受注・本格業務着手を挙げた。また、海外では同社初の海外現地法人として首都高インターナショナル・タイランドを設立している。

 

新京橋連結路が都市計画事業認可
 東品川桟橋・鮫洲埋立部 事業は終盤

 新設・更新事業も着々と進捗している。
 新京橋連結路(トンネル区間1km、擁壁区間0.1km)については5月末に都市計画事業認可され、現在は用地測量および建物調査を実施すると共に、本体工事に先駆けてボーリング調査及び地下埋設物などの試掘調査工事に着手した。


新京橋連結路事業概要図


 日本橋区間地下化事業においては、トンネル工事の現場着手に向けて6月に工事説明会を実施し、現在は河川内の工事をより安全に行うための河道拡幅工事を施工している状況である。


日本橋地下化事業の進捗状況


 東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業は終盤を迎えている。更新上り線は完成しており、現在施工している同下り線も東品川桟橋部は橋面工の段階にまで至っている。鮫洲埋立部については橋面工も完了しており、排水工を実施中だ。


東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業は終盤を迎えている


 国交省と共同で事業を進めている新大宮上尾道路は与野JCT部の入口部で地盤改良工と桁地組、出口部で橋台工が実施されている状況、ということだ。


新大宮上尾道路は与野JCT部の入口部で地盤改良工と桁地組、出口部で橋台工が実施されている状況

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