川田建設と三協立山 アルミ合金製常設足場『パーマネントデッキ』を開発、現場適用

川田建設と三協立山 アルミ合金製常設足場『パーマネントデッキ』を開発、現場適用
2024.11.01

耐久性だけでなく景観性や意匠性にも優れる

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 川田建設と三協立山は高速道路の高架橋などにおいて、一般道や鉄道などの交差部といった、建設後に維持管理がしにくい箇所を対象としたアルミ合金製常設足場『パーマネントデッキ』を開発した。耐久性だけでなく景観性や意匠性にも優れており、既に首都高速道路東京西局所管の浜崎橋工区や古川橋工区などで採用されている。今後も主に都市部の高架橋などを対象に積極的に採用を働きかけていく。


浜崎橋工区 / 古川橋工区(いずれも川田建設提供、以下同)

キレイに、未来へ 私たちがもとめるもの それは豊かな未来を支える確かな技術です。 景観や安全に配慮した

部品数を非常に少なくして製作および施工時のコストを縮減

部品数を非常に少なくして製作および施工時のコストを縮減

パネルは1枚10kgと軽量 しかし搭載荷重は1㎡当たり210kgを有する

 高架橋の常設足場は既に合金アルミ製、チタン合金製、ステンレス製、FRP製など様々な製品がある。両社は後発メーカーであることを意識して、①コストを先行製品よりも安くする、②現場対応力や安全性、施工性に配慮する、③高い景観意匠性を確保する――ことを開発のテーマとした。


パーマネントデッキイメージおよび実施工写真例


 例えばアルミ合金を使うことによる、施工点数の削減と高い景観意匠性の両立である。三協立山の押出成形技術と川田建設の設計力を生かし、パネルの部品数を非常に少なくして製作および施工時のコスト縮減を図っている。形状は底面をフラットタイプとアーチタイプ、側面をフラットタイプと、三協立山がビル建材分野で培った外装材の技術を用いたルーバータイプのそれぞれ2種類を用意、さらに開放型と密閉型の2つのタイプを用意した。配色も5色を用意しており、これらを組み合わせることで都市内高架橋の景観性向上を図ることができる。


軽量かつ様々な組み合わせが可能

配色も5色を用意


 パネルは1枚(幅250×厚さ50×長さ2,000mm)10kgと軽い。しかし搭載可能荷重は1m2当たり210kgと通常の維持管理工事(塗装や床版の補修補強など)であれば十分対応可能な足場となる。


フラットな内部床材 / 剛性の高いパネル / 防汚対策


 耐風安定性についても首都高速道路の強風時基準である40m/sに対応している。

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恒久足場設置に用いる仮設足場が大幅に削減

止めボルトはステンレス製を採用しジオメット処理を施す

 施工面では、送り出し工法による工期短縮およびコスト縮減を期待できる。手すり先行足場のような要領で、施工した常設足場内から図のような送り出し治具を用いて片押し施工することが可能だ。まずビーム材で横梁(鋼製、上面は処理して電蝕を防ぐ(後述))を送り出して配置し、横梁に固定した橋梁間に 裏面パネルを順に設置することを繰り返す。これにより恒久足場設置に用いる仮設足場が大幅に削減できる。恒久足場設置を予定している補修補強現場においては、状況によっては恒久足場を設置したのちに 作業を行えば、仮設足場のコスト縮減にもつなげることができる。


常設足場の送出しイメージ


 設置後の足場は、内部を常時点検可能な状態となり、交差点部の煩わしい規制や、仮設足場設置工が一切不要となる。さらに密閉型を使えば、外面塗装のグレードを通常の内面塗装系にダウングレードすることも可能になる。たとえ開放型にしたとしても、頻繁に点検可能であることから、塗装塗替えを部分補修程度に切り替えていくことができ、大幅なLCCの縮減につなげることができる。


設置後の足場は、内部を常時点検可能な状態に



交差点部の煩わしい規制や、仮設足場設置工が一切不要となる


 常設足場の耐用年数は100年以上を目標としている。アルミ合金製であるため、さびにくく、さらに横梁は溶融亜鉛アルミニウム合金メッキ、止めボルトはステンレス製を採用しジオメット処理を施すことで電蝕を防いでいる。

 同製品は、JR浜松町駅近くのJR東海道新幹線の脇に架かる首都高速道路浜崎橋工区で、1径間33m、620㎡で裏面および側面ともフラット、密閉タイプのSC色を施工している。また、同じく首都高速道路の明治通りと麻布通りの交差点を跨ぐ箇所にある古川橋交差点では3径間140mの2,100㎡で裏面がアーチ、側面がルーバーの開放タイプ、配色はUCを採用している。

 今後は首都高だけでなく、跨道・跨線部を中心に都市内の高架橋や点検困難な橋梁へ積極的な採用を働きかけていく方針だ。

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