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2024.11.22
東芝 AEセンシング技術を活用した橋梁コンクリート床版の健全性評価サービス提供を開始
損傷度合いを解析して健全度マップとして可視化
東芝は、京都大学と共同でAE(アコースティックエミッション)センシングを用いた床版内部のひび割れ調査方法を開発していたが、さらに研究を進め、走行車両の重量・速度や橋梁の構造などによらず、統一した基準で評価する手法を確立した。それに伴い、同技術を2024年度中に、本技術を活用した橋梁のコンクリート床版の健全性評価のサービス提供を開始する方針だ。(井手迫瑞樹、図写は全て東芝提供)
同技術は、外観からは分からない橋梁のコンクリート床版内部の健全度を解析・可視化するもの。車両が橋梁を走行する際に路面で発生する微弱な波動を、床版下面に設置したセンサで取得・データ化し、その損傷度合いを解析して健全度マップとして可視化する技術である。2022年には、福岡北九州高速道路公社(福北高速)と共同でその効果を実証した。具体的には損傷した床版の補修前の状況を同方法で測定し、ひび割れ注入を用いた補修工法であるIPH工法を用いた後にさらに測定して補修効果を確認するもので、前後の補修効果を確実に測定することができた。
実用化に向けては、走行する車両の重量・速度や橋梁の構造などの条件の変化が健全度マップに与える影響について、施工総研に設置した模擬橋梁を用いて福岡高速と検証を行っていた。検証の結果、舗装の違いなど異なる条件での計測はそれぞれ異なる評価結果となったが、評価結果を適切に補正することで、統一した基準で評価ができる手法を確立した。東芝では「同技術を用いることで、統一した基準で、橋梁の床版内部の健全度が分かるだけでなく、それぞれの床版の状態に応じた補修の計画策定・実施および補修効果の確認が可能となる。これにより、橋梁の老朽化対策のデジタル化を推進し、橋梁補修の効率化および社会インフラの長寿命化に貢献する」としており、今後、東芝プラントシステムと共同で、発注者や管理業務を行うコンサルなどに向けて積極的に適用を働きかけていく。
同技術は、φ23.5mm、高さ39.5mmの円筒形のAEセンサを約80cm間隔で床版下面に取り付けていく。取り付けに際しては床版とAEセンサの間に空隙ができず、弾性波が通りやすくなるようシリコーングリースを設置面に塗布したうえでAEセンサを取り付ける。また床版から落下しないよう、AEセンサの取りつけてあるホルダを粘着テープで下面に張り付けて設置する。
同技術は、専用車や大型車両を走らせずとも、通常の供用状況により発生する弾性波をAEセンサで取得(震源探査)して、その密度を算出することで密度が高い部分は健全(コンクリートが密実に入っているので弾性波が通りやすい)、低い部分はひび割れなどの損傷状況がある(空気が存在するため弾性波が通りにくくなる)ことを測定できる。通常の下部からのたたき点検では、床版の上側鉄筋の上面に沿った水平ひび割れなどは確認し辛く、「路面状況や目視、打音などでスクリーニングしたうえで、損傷が疑われる床版を抽出し、さらにその損傷程度を確認して補修補強の優先順位を決めるための点検手法として使われることを想定している」ということだ。
施工総研での実験では、模擬橋梁を1橋設けて、同橋梁に2m×2mの実験用パネルを2体(いずれも健全な床版を)設置し、その上に排水性舗装、密粒度アスファルト舗装を舗設し、車両走行させた弾性波を測定して診断する実験を行った。舗装種類により、異なる解析結果が出たが、舗装種ごとの補正をかけることで、診断結果を統一することができ、実用化にめどがついた。
センサは市販センサを使用しており1個約10万円と高額だが、今後は開発中のセンサを量産化することで安くしていく。もっとも、同社ではセンサ売りではなく、パネルの調査を請け負うといった形でサービスを進めていく方針だ。既に日本非破壊検査協会でも規格NDIS2434「能動弾性波計測手法を用いたコンクリート部材の損傷評価法」が制定されており、同規格に拠ることで同社外のインハウスエンジニアリング、コンサルタントでも測定可能である。このとき測定したデータは東芝および東芝プラントシステムが一旦引き受けて解析し、その解析結果を提供していくサービスモデルを想定している。
同技術は、外観からは分からない橋梁のコンクリート床版内部の健全度を解析・可視化するもの。車両が橋梁を走行する際に路面で発生する微弱な波動を、床版下面に設置したセンサで取得・データ化し、その損傷度合いを解析して健全度マップとして可視化する技術である。2022年には、福岡北九州高速道路公社(福北高速)と共同でその効果を実証した。具体的には損傷した床版の補修前の状況を同方法で測定し、ひび割れ注入を用いた補修工法であるIPH工法を用いた後にさらに測定して補修効果を確認するもので、前後の補修効果を確実に測定することができた。
実用化に向けては、走行する車両の重量・速度や橋梁の構造などの条件の変化が健全度マップに与える影響について、施工総研に設置した模擬橋梁を用いて福岡高速と検証を行っていた。検証の結果、舗装の違いなど異なる条件での計測はそれぞれ異なる評価結果となったが、評価結果を適切に補正することで、統一した基準で評価ができる手法を確立した。東芝では「同技術を用いることで、統一した基準で、橋梁の床版内部の健全度が分かるだけでなく、それぞれの床版の状態に応じた補修の計画策定・実施および補修効果の確認が可能となる。これにより、橋梁の老朽化対策のデジタル化を推進し、橋梁補修の効率化および社会インフラの長寿命化に貢献する」としており、今後、東芝プラントシステムと共同で、発注者や管理業務を行うコンサルなどに向けて積極的に適用を働きかけていく。
同技術は、φ23.5mm、高さ39.5mmの円筒形のAEセンサを約80cm間隔で床版下面に取り付けていく。取り付けに際しては床版とAEセンサの間に空隙ができず、弾性波が通りやすくなるようシリコーングリースを設置面に塗布したうえでAEセンサを取り付ける。また床版から落下しないよう、AEセンサの取りつけてあるホルダを粘着テープで下面に張り付けて設置する。
センサ取付状況
同技術は、専用車や大型車両を走らせずとも、通常の供用状況により発生する弾性波をAEセンサで取得(震源探査)して、その密度を算出することで密度が高い部分は健全(コンクリートが密実に入っているので弾性波が通りやすい)、低い部分はひび割れなどの損傷状況がある(空気が存在するため弾性波が通りにくくなる)ことを測定できる。通常の下部からのたたき点検では、床版の上側鉄筋の上面に沿った水平ひび割れなどは確認し辛く、「路面状況や目視、打音などでスクリーニングしたうえで、損傷が疑われる床版を抽出し、さらにその損傷程度を確認して補修補強の優先順位を決めるための点検手法として使われることを想定している」ということだ。
床版内部の弾性波伝搬のようす
施工総研での実験では、模擬橋梁を1橋設けて、同橋梁に2m×2mの実験用パネルを2体(いずれも健全な床版を)設置し、その上に排水性舗装、密粒度アスファルト舗装を舗設し、車両走行させた弾性波を測定して診断する実験を行った。舗装種類により、異なる解析結果が出たが、舗装種ごとの補正をかけることで、診断結果を統一することができ、実用化にめどがついた。
車両走行状況(左:床版中央,右:床版端) / AE センサー配置
センサは市販センサを使用しており1個約10万円と高額だが、今後は開発中のセンサを量産化することで安くしていく。もっとも、同社ではセンサ売りではなく、パネルの調査を請け負うといった形でサービスを進めていく方針だ。既に日本非破壊検査協会でも規格NDIS2434「能動弾性波計測手法を用いたコンクリート部材の損傷評価法」が制定されており、同規格に拠ることで同社外のインハウスエンジニアリング、コンサルタントでも測定可能である。このとき測定したデータは東芝および東芝プラントシステムが一旦引き受けて解析し、その解析結果を提供していくサービスモデルを想定している。