Interview

ドイツのWJ(ウォータージェット)機械メーカーファルヒが日本に拠点を開設

2024.11.28

世界50か国以上に展開、高い施工性、安全性を有する

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>クリストファー ゲックラー氏

Falch(ファルヒ)
パートナー開発マネージャー

クリストファー ゲックラー

 ドイツのWJ製造メーカーであるファルヒは、日本に法人ないし、支店を開設を検討している同社は世界50か国に販売実績を有するWJ製造メーカーであり、日本においても20年以上前から主にハンドガンタイプのWJ機械について、札幌市のグーテックプロを介して国内のエンドユーザーに販売していた。日本国内におけるWJ需要の高まりに対応するため、今回、日本に拠点を開設する。パートナー開発マネージャーのファルヒのクリストファー・ゲックラー氏にその狙いを聞いた。(井手迫瑞樹)

超高圧ウォータージェット ファルヒ社製品販売代理店 メンテナンスの力でコンクリートを守る ウォータージェット工法・超高圧洗浄工 コンクリート表面処理鋼などのご用命は当社まで 超高圧ウォータージェット ファルヒ社製品販売代理店

WJに関する主要部材を自社生産 ロボット式WJの日本市場への導入も積極的に図っていく

塗装時のクリーナー開発が創業の端緒

コンクリート分野の超高圧WJポンプ開発は1999年から

 ――ファルヒという会社について

 ゲックラー・マネージャー 1986年に弊社の創業者アヒム・ファルヒが、父の営んでいた塗装業をサポートする中で、自らが満足できなかった塗装施工の際のペイントローラークリーナーの品質を向上させるためのメーカーとして設立しました。現在はその息子のアクセル・ファルヒが引き継ぐ予定をしており、100%同族出資の会社として現在に至っています。

 WJは1986年の設立当初から洗浄分野で始めており、高圧洗浄やはつり、表面処理といったコンクリート用途にも使える分野の超高圧WJポンプの開発を1999年からスタートしました。その後、四半世紀、コンクリートの補修補強分野に寄与するWJを製造し続けており、支店はヨーロッパを中心に、販売実績はメキシコ、ブラジル、オーストラリア、サウジアラビア、南アフリカなど50か国以上に及んでいます。アジアではインド、タイ、中国などに納入実績を有しています。そして今回、日本にて、直接社員を雇用し本格的に日本市場参入するインフラを整えていくことにしました。

置賜建設 環境事業部 超高圧ウォータージェット ファルヒ社製品販売代理店 メンテナンスの力でコンクリートを守る ウォータージェット工法・超高圧洗浄工 コンクリート表面処理鋼などのご用命は当社まで

WJに関する主要部材を自社生産

25年スペアパーツ供給保証も行っている

 ――ファルヒが有している他社にないWJの技術的特徴などがあれば教えてください

 ゲックラー WJに関するすべての部材を一気通貫して納入できるところが弊社の最大の特徴です。WJの性能を大きく左右する超高圧ポンプ主要部材は自社生産しております。ホース、ノズル、ハンドガン、廃水処理装置も提供しておりそのためユーザーからのWJに関するご要望は全て当社に集まり、的確に製品を改良していくことによって、さらにWJの品質向上やコスト縮減、安全性の向上を図ることができます。


WJに関するすべての部材を一気通貫して納入(ファルヒ社提供)

WJ機器例(山形県米沢市の置賜建設で井手迫瑞樹撮影)

廃水処理装置まで有している(ファルヒ社提供)

ハンドガンからロボット式、表面処理からはつり、穿孔に至るまで対応できる(ファルヒ社提供)


 「25年スペアパーツ供給保証」も当社の特徴です。WJ機械も他社では新しい機械を導入すると、古い型式の機械についての供給は数年で切らすことがありますが、当社は買っていただいた後、25年は必ずスペアパーツの供給を行います。そのため、安心して使っていただけることができます。

アイスランドからサウジアラビア 極寒から酷暑まで様々な環境に対応

ポンプの停止スイッチを押せばそれだけで全部が止まる

 ――日本は非常に多様な温度環境、気候環境を有しています

 ゲックラー 施工時の環境に対する適応性にも優れています。仰る通り、とりわけ日本は、南は高温多湿の沖縄から、北は寒冷地である北海道まで多様な気候、環境下での施工が求められます。当社のポンプは極寒地域のアイスランドから、灼熱環境のサウジアラビアまで多様な環境で使われていますが、それでも故障などはほとんどありません。日本国内でも主に東日本で用いられていますが、グーテックプロさんが初導入されてから22年、今まで大きな故障した事例はありません。





日本でも22年間の実績を有する(ウォータージェット・ファルヒ 東日本施工協会提供)


 当社ではこうした多様な気候に対応するために温度、湿度を変えた様々な条件でテストを行っており、そのテストに合格した製品のみ上市しているため、故障を非常に少なくできているのだと自負しています。例えば2万ℓのディーゼル燃料を用いて、WJを継続して動かす試験などを行い、時には過酷な条件下(例えば50℃の高温化)でも稼働しつづけることを確認し、常に改善を行っております。実験で生じた熱エネルギーはコージェネレーションとして、社内の冷暖房のエネルギー源として用いており、環境にも大きく配慮しています。

 安全性でも優れています。他社の工法は、ポンプ、ロボットなどの主要機材を一気通貫して提供していないために、安全が危惧される状況の時に、ポンプと他の部分を別々に止めないと作業が中断せず、安全を瞬時に確保できない製品もありました。当社のWJは「ポンプあるいはロボットの緊急停止ボタンを押せば瞬時に全ての作業が止まる仕様」となっているため、安全性も高いWJと言えます。

今までの販売窓口であったグーテックプロとも引き続き協力していく

ロボット式WJの日本市場への導入も積極的に図っていく

 ――日本という市場に対して協会などを通じてどのようにアプローチしていくか。また、カスタマーに対するサポートをどのように行っていくか

 ゲックラー ファルヒの機械自体は、札幌市にあるグーテックプロさんに、20年以上サポートしてもらいながら販売しておりました。しかし、さらに市場を開拓するためと、日本との時間差、ビジネス環境に対応するために、直接日本の社員を雇用し拠点を持つ必要があると考えました。もちろん、グーテックプロさんやファルヒの日本におけるユーザー団体であるウォータージェット・ファルヒ東日本施工協会とは今後も協力していきます。加えて、日本全体に販売網やユーザーを広げていくために、今後様々な方策を練っていきたいと考えています。

 ――日本においては、ファルヒのWJは基本的にハンドガンタイプが使用されていますが、ロボット式(機械式)WJについてはどのように考えていますか

 ゲックラー 日本以外の各国では、コンクリート構造物のはつりや表面処理などに当社のロボット式WJが使われています。というのもドイツでも日本と同じような問題が建設業に起きているため、当社もロボット式WJについては、前向きに取り組んでいます。


ロボット式WJの運用例(ファルヒ社提供)


 ――問題とは

 ゲックラー 少子高齢化、建設業に対する若年層の忌避感から来る担い手不足です。これを克服するためには機械化(ロボット化)、自動化は必須です。当社のそうした機械式WJも日本においてたくさん使われて行ってほしいと考えています。

アプリケーションエンジニアを早期に日本に派遣

 ――日本においてWJの最大の需要家はNEXCOです。NEXCOではWJ、とりわけ機械式WJにおいては機械の性能だけでなく、扱う人のWJを動かす技量や知識も要求しています。そうした「人の育成」という点での対応はどのように考えていきますか

 ゲックラー 当社の機械の動かし方、機械の組み立て方は、YOUTUBEで学ぶことができますし、ドイツでは機械の動かし方を学ぶためのトレーニング施設があります。日本においてもYOUTUBEで学んでもらうだけでなく、アプリケーションエンジニアを日本に派遣ないし、日本の拠点の社員を教育しエンドユーザーの疑問に答えられる体制を早期に組んでいきたいと考えています。

 NEXCOの資格については、当社のみでは対応できませんが、グーテックプロさんや施工協会と協力して当社の機械を使って資格を取得する技能者を育成することや、施工協会において、既に施工時の積算や安全性のマニュアルが整備されていることを、広く伝えるとによって、ファルヒのWJの知名度と施工性の良さ、安全性の高さをPRしていきたいと考えています。

 ――ありがとうございました


10月29日の訪日の際は、ウォタージェットファルヒ東日本施工協会の川野敬太郎会長(置賜建設社長)と固く握手した
(井手迫瑞樹撮影)

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