オリエンタル白石 作業時間を短縮し、環境にも優しい『エフキュアコンクリート』を実橋に適用
オリエンタル白石は、大阪府発注の柳谷川渡河橋(PC単純プレテン中空床版桁橋、橋長14.466m)の上部工事でプレテンション方式スラブ桁橋に、同社が開発した「エフキュアコンクリート(Environmentally Friendly CURing concrete、環境にやさしいコンクリートの意)」を初適用した。エフキュアコンクリートは、スランプフロー45㎝の締固めを必要とする高流動コンクリートを採用して生産性の向上を図り、添加剤(硬化促進剤)を配合することで、年間を通して蒸気養生を行わずに早期の強度発現性を実現する。ボイラーを稼働するためのA重油を使用しないため、燃料消費による二酸化炭素排出量を約6割削減(1,408t→562t)できる。こうした効果があるにもかかわらず、コストは従来とほぼ同等というのが魅力だ。
エフキュアコンクリートを用いて制作されたプレテンション桁(オリエンタル白石提供、以下同)
高流動コンクリートの配合
硬化促進剤を用いる
プレストレス導入に必要な強度に材齢15~17時間で到達
打設作業の生産性が約3割向上
エフキュアコンクリートを使用した桁の製作は同社の滋賀工場で昨年11月下旬から12月中旬に製造された。通常のコンクリートは翌日のプレストレス導入に必要な圧縮強度を得るために蒸気養生で強度促進を図る必要があるが、新技術を採用したことで、蒸気養生が不要となり、プレストレス導入に必要な強度に材齢15~17時間で到達できる。
柳谷川渡河橋の採用実績から導き出した比較表
同社によると、実際に製造を行った結果、打ち込み時間や仕上げ時間が短縮され、さらにバイブレータによる締固め作業を減らせたことで、従来と比べて打設作業の生産性が約3割向上したという。
ここで使っているのが硬化促進剤である。添加量は3.5~4.0%とした。硬化促進剤を用いることで、凝結始発までの時間が短縮され、それに伴いコンクリート打設の仕上げ時間そのものの短縮も行うことができた。さらに圧縮強度の発現も従来より早期に発現できる。硬化促進剤を用いる分、1バッチ当たりの製造量は従来の2/3程度(1㎥)となるが、硬化促進剤を用いることによって仕上げまでの時間が短縮できることから「残業の抑制も図ることができ、施工に必要な人員も減らすことができ、働き方改革にも資する」効果を有している。
また、長期強度の増進や、塩分浸透抵抗性の向上も期待できる(下図)。
プレキャストコンクリート製品に対してエフキュアコンクリートを積極的に採用
低炭素化と生産性向上を図る
現在、同工事では主桁の架設が完了し、完成に向けて工事が進められている。
同コンクリートは「工場製品であれば径間長、形式などは特に問わない。ただ、製作サイクルが1日単位であるプレテンション方式の方が環境に対して、より効果が見込まれる」としており、同社では、今後、工場で制作するプレキャストコンクリート製品に対してエフキュアコンクリートを積極的に採用し、低炭素化と生産性向上を図っていく方針だ。