たのしい土木
エスイー 『電極を用いたPCグラウト充填検知システム』を開発
エスイーは、新設PC橋梁向けに『電極を用いたPCグラウト充填検知システム』を開発した。ポリエチレン製シース断面の上下にビスを用いて電極センサを取り付けることにより上下の電極間を通電すれば充填、通電しなければ未充填とみなすことにより充填状況を確認できるシステムである。コストは先行する光ファイバーセンサと比べ2~3割ほど縮減できる、としている。(井手迫瑞樹)
システム概要図
最大5チャンネルを同時に確認することが可能
グラウトの充填性を確認、先流れによる未充填を防止
エアだまりを的確に調べるため、下り勾配上部に配置
新設PC桁の建設や、床版更新における縦締めないし、分割床版の横締めにはポストテンションを行う際にグラウトの確実な充填は必須である。しかし、シース配置の高低差により、下り勾配のシース配置が生じた際に、グラウトの先流れが生じ、シース上部に空隙を生じてしまう可能性がある。そのままの状態にしておくと、定着部の損傷や、シースが何らかの要因で損傷した場合に、塩分など腐食要因を含む水がシース内部に入り、グラウトで保護されていないPC鋼材を損傷させてしまい、最終的には破断に至ってしまう可能性がある。それを未然に防ぐために、グラウトの通電性を利用することで空隙の有無を確認し、グラウト充填の健全性を確認することが可能となる。
充填センサの仕組みおよび構造 / 電極取付イメージ
センサは先流れによるエアだまりを的確に調べるため、下り勾配上部に配置する。最大5チャンネルを同時に確認することが可能である。電極をケーブル軸方向に複数配置することで、充填状況を位置だけでなく縦断方向の範囲で捉えることができるため、より精密な施工管理が行える。構造はシース断面の上下に電線端子をビスで固定する単純なものであり、取付位置はフレキシブルに選択可能。超低粘性型から、高粘性型までグラウトの粘性を問わず充填状況の確認ができる。
計測データの保存イメージと計測データ表示例(一目で充填・未充填が確認できる)帳票も簡単に出力可能
同社では、実物大のポリエチレンシースで保護されたPC鋼材のグラウトを用いたセンサーの運用確認試験も実施(冒頭写真)しており、想定通りグラウト充填の健全性を確認することができた。今後はPC構造物の建設を担うゼネコンやファブに対して、積極的に同システム付きのポリエチレンシースの適用を働きかけていく。