アストンのけい酸塩系コンクリート表面含浸材『CS-21』 JR西日本の認定材料に
アストンは、橋梁等コンクリート構造物の長寿命化を図る製品としてけい酸塩系コンクリート表面含浸材『CS-21』(上写真は5㎏ポリ缶の荷姿)を広く展開している。その同製品が、このほどJR西日本エリアの温暖で降雨量や日照時間が多く、かつ海沿いに位置する厳しい環境下における約7.5年におよぶ供試体暴露試験の結果、同社が求める要求性能を満たしたとして、新設コンクリート構造物の初期欠陥を補修する認定材料となった。
中性化進行、塩分浸透とも20年経過でもコンクリートかぶり範囲内で抑制
温暖で降雨量や日照時間が多く、かつ海沿いに位置する和深の暴露試験場で7.5年間経過観察
一般的に土木におけるコンクリート構造物は、通常40~50mm、塩害地域においては70~80mmのかぶりを確保している。JR西日本は、同社が定める「コンクリート構造物の補修の手引き【第8版】」(右写真)において、一般環境においては、ひび割れ幅を0.2mm未満、15mm以下のかぶり不足を生じている構造物の中性化の進行を20年程度阻止できる、また塩害環境においては、ひび割れ幅を0.2mm未満、10mm以下のかぶり不足を生じている構造物のかぶり部分の塩化物イオンの浸透を20年程度阻止できることをけい酸塩系コンクリート表面含浸材の性能として求めていた。
さらに、表面含浸材を塗布した箇所において、耐久性が低下してきた時を想定して、塗り重ねを行えることも要求性能として求めていた。
JR西日本は和深(紀伊半島の先端、和歌山県東牟婁郡串本町で温暖で降雨量や日照時間が多く、かつ海沿いに位置する箇所)にある暴露試験場で2015年から5種類のけい酸塩系コンクリート表面含浸材の供試体を用いて暴露試験を行っていた。
和深暴露試験場の位置と試験状況
CS-21は暴露後7.5年経過しても中性化深さはコンクリート表面から2mm以下、塩化物イオン浸透深さも同9mm以下と抑制できており、そのままコンクリートが劣化して20年が経過しても、かぶりの範囲内で中性化の進行、塩分浸透とも抑制できることが明らかになったことから、正式にコンクリート構造物の補修材料として認定されたものだ。
JR西日本は、従来、新設時のコンクリートのかぶり不足には表面保護塗装を施すことで対応してきた。しかし、「施工に手間がかかりコストも比較的高い」(同社)ことから、比較的かぶり不足が小さい場合に対しては施工の手間やコストが縮減できるけい酸塩系コンクリート表面含浸材の採用を検討していた。
東北新幹線、北陸新幹線でも多く採用
開発以来31年間で2,800件以上の実績
CS-21はJR西日本以外でも、東北新幹線や北陸新幹線のスラブ上面の躯体防水など鉄道における重要構造物で多くの実績を有している。また道路橋やボックスカルバートなどの表面保護工など、1993年の開発以来、2024年までの31年間で、シリーズ製品累計2,800件以上の実績を有している。温暖で降雨量や日照時間が多く、かつ海沿いに位置する厳しい環境下での暴露試験を乗り越えて得たJR西日本での材料認定を梃子にして、より一層橋梁など土木構造物への適用拡大を図っていく方針だ。
(採用事例①)東北新幹線_八戸-新青森間_散水消雪PC橋の橋面防水 / 北陸新幹線_新九頭竜橋
(採用事例②) 道路橋の上下部工事にも使われている