ブラスト施工技術研究会 第11回総会を開催

ブラスト施工技術研究会 第11回総会を開催
2025.07.02

『これからの 10 年 ~ブラスト業界のアリカタ~』を議論

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鋼橋 塗替え 防食
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 ブラスト施工技術研究会(小寺健史会長、右写真)は、6月30日に都内で第11回総会を開催し、2024年度の活動報告、事業報告および25年度の事業計画、予算案が承認された。また新理事としてリッジテックの望月氏、のびるの竹内氏、コウノの山田雅人氏が就任することも承認された。

 

ブラスト施工技術研究会 ブラスト施工技術研究会 ボタニカルブラスト® 「使える塗膜」は残しませんか?

「やっちまった事例」を収集し、ブラスト施工の改良と安全性向上に役立てる

SPROUT PROJECTでスポットクーラーの実装例を報告

 小寺会長は、「当研究会も設立後10年を経過した。年月を経るごとにブラストの必要性はますます高まっている。本研究会では、ブラスト業界全体の若返りや持続可能性を向上させるよう『SPROUT PROJECT』を立ち上げ、これからの10年のブラスト協会のあり方について、考える場を作っていきたい」と述べた。

 同日は品質WG(増田聖史WG長)、安全WG(澤木文彦WG長)、SPROUT PROJECT(望月功騎WG長)の各WGの報告もなされた。


左から増田氏、澤木氏、望月氏


 品質WGでは、数年前から研究会独自で進めている『ブラスト施工マニュアル(案)』策定の進捗状況について、報告がなされた。また同WGではブラスト品質や安全性の向上に資するための「やっちまった事例」(各種失敗事例や、トラブル事例)を施工会社、メーカーなどから集めており、それらもマニュアルに織り込み、橋会員各社の品質・安全性向上のための改良に役立てていく考えを示し、会員各社に事例の提出を求めた。

 安全WGでは、月1回の頻度で開いている安全にかかわる会議で出された内容や現場見学会の内容について報告がなされた。

 SPROUT PROJECTは若手中心にブラストの各種課題について議論を行っている。

 議論により取り組むべきテーマは絞り込んでおり、①シートの吹き上がり対策(特にパネル式足場について)、②中断足場用巾木、③ホースの引っかかり対策(ホースのジョイント部で起こる)、④特注ブラスト養生テープ→メーカーと検討中、⑤移動式足場の改良+現場検証などとした。

 さらに成果の一つとして熱中症対策として運用しているスポットクーラーについて報告した。猛暑化の作業においては足場内の湿度や温度を快適にしなければそもそも作業できない。SPROUT PROJECTでは、温度や湿度を大幅に下げることで、足場内の環境を快適にし、「休憩時に作業者が、場外に出ず、逆に場内で涼む」状況を作り出し、施工効率の向上、熱中症の防止による安全性の向上に役立てた例を報告した。

 報告後は出席者を4グループに分けたフリーディスカッション『これからの 10 年 ~ブラスト業界のアリカタ~』を議論する場を開催し、3つのテーマについて議論した。①「ブラスト業界の目指す先は」というテーマでは、人材不足がやはり深刻な課題としてとらえられた。その解決策として、一般人へのブラスト業界や技術の認知、ロボットを用いた自動化や、海外人材の積極的な登用、などが語られた。

 ②「ブラスト業界の課題点は」では、「人材確保についても、品質改良においても、全ての道はお金に通ずる」とし、古い研削材を用いた標準単価ではじかれている現状が、現在に即しておらず、それを是正することが必要とした。また、渇水期しか施工できない問題も指摘があり、河川内においても「渇水期だけでなく通年施工できないか?」という議論もなされた。

 ③「ブラスト業界はこうなってやるぜ!」では、ブラストという技術に他にない付加価値を付けなくてはいけない。また、お金を稼ぐことができ、担い手が来たくなるような業界になるべく様々な働きかけを行いつつ、塗装工とは別に「ブラスト工」という枠を作ることが必要、などという点が意見として出された。



フリーディスカッションの様子

各テーブルで議論された内容をSPROUT PROJECTのメンバーがまとめて報告した


 ディスカッション後、小寺会長は、「今回出てきた議論の内容や課題を他団体も巻き込む形で展開し、業界を良くしていくことができれば」と語った。

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