たのしい土木
中井商工 伸縮装置目地補修工法『Exリライフ工法』が、国道2号新観音橋で採用
中井商工が開発し、展開を進めている橋梁の伸縮装置目地補修工法『Exリライフ工法』が、国土交通省中国地方整備局が所管する国道2号新観音橋で採用された。同橋は橋長約100mの2径間連続鋼9主鈑桁橋で、その上下線のA1、A2の伸縮装置目地48m部分に採用されたもの。目地の遊間は50mmと非常に狭小ではあるが、同工法は最小30~最大100mmの狭小遊間を路面上から施工し、伸縮目地の止水工を取り替えることができることから採用されたもの。同工法はNEXCO試験法438-2011に合格している。施工は1夜間(今回の実施工時間約6時間)で各端部の半断面(6m)を施工することができた。同社では材料の反応を鈍感にすることや、施工の効率化およびマニュアル化を図ることで、将来的には自社施工だけでなく、一般の施工業者への材料拡販による採用の拡大を図っていく方針だ。
『Exリライフ工法』 標準断面図
材工コストは1m12万円ほど
低モジュラス性のポリウレア樹脂『Reライフシール』を止水材として採用
耐候性・止水性・伸縮追従性に優れた伸縮目地補修工法
同工法は、中井商工が開発した低モジュラス(柔らかい)性のポリウレア樹脂『Reライフシール』を止水材として採用しているもの。同シール材は、耐候性・止水性・伸縮追従性に優れており、これを劣化した伸縮装置の止水目地を撤去し、伸縮装置の鋼材表面をケレンしたうえで、止水目地材として充填することで補修を行うものだ。
材料物性値
簡易鋼製ジョイントの補修要因は、内部に設置されている目地止水材の損傷により、伸縮装置下部にある下部工や支承などを劣化させる、あるいは伸縮装置の鋼材を腐食させることが主因である。そうした場合、本現場のような狭小遊間の伸縮装置は、伸縮装置本体がそれほど劣化していなくても、止水効果の喪失により、本体ごと取り替えることが行われており、維持管理の高コスト化および床版端部の破損を招いていた。
Exリライフ工法は、狭小遊間にも適用できる止水材および止水材取替工法を確立することで、伸縮装置の維持管理コストを低減しつつ、必要な性能確保、長寿命化を図ることを目的とする工法である。材工コストは1m12万円ほど。
施工はまず、劣化した伸縮装置の止水目地材を電動工具および人力で、粗々に撤去する。次いで鋼材表面にブラスト面形成動力工具を使用してReライフシールが付着可能な下地処理を施す。
旧止水目地の撤去状況
下地処理状況
下地処理完了研掃後は、Reライフシール用のプライマーを鋼材表面に塗布し、次いで必要な深さに底面の型枠としてバックアップ材を挿入、そこにReライフシールを流し込み、コテ等で表面を仕上げて、完成となる。
プライマー塗布状況/バックアップ材設置状況/主材および混和材の攪拌混合状況(右2枚)
止水目地材の充填状況
施工完了状況
新観音橋における撤去~交通開放までの施工に要する時間、人員は、施工長6mで約6時間、7人であった。6月3日から施工を開始し、途中で降雨が連続して施工ができない日もあったが、同19日には48m全長の伸縮装置目地止水材の取替を完了した。
今後は施工開始から完了までの時間を「できれば5時間程度に短縮」(同社)することや、材料の改良による材料管理や製造のしやすさの追求、製造・施工のチェックシートやマニュアルの作成を進めることにより、自社施工だけでなく、他施工会社への材料の拡販も図っていく方針だ。