首都高速 寺山社長会見 「安全・安心な道で、ひと・まち・くらしを未来につなぐ」

首都高速 寺山社長会見 「安全・安心な道で、ひと・まち・くらしを未来につなぐ」
2025.10.16

100年先も豊かに進化し続ける首都圏を目指す

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 首都高速道路株式会社は9月19日、寺山徹社長(右写真、井手迫瑞樹撮影)の定例記者会見を開催した。寺山社長は10月1日に民営化20周年記念を迎えるに当たって、「安全・安心な道で、ひと・まち・くらしを未来につなぐ」というパーパスを新たに定め、100年先も豊かに進化し続ける首都圏を目指すために、これまでも、そしてこれからも皆様に信頼されるそういう存在であり続けるよう、各種の取り組みを推進して参りたい」と語ると共に、安全と安心を守る取り組みとして、「24時間365日の管理運営体制 を引き続き維持し、1日交通量104.5万台のお客様が安心して首都高速道路を利用できるように努めていく」と述べた。また、道路構造物のきめ細かな点検と計画的な補修を実施した結果、年々補修箇所が減少傾向にあり、適切な点検・補修の成果が現れていることについても実績を交えつつ、具体的に述べた。大規模更新修繕事業については、東品川鮫洲区間、高速大師橋、日本橋区間(竹橋江戸橋JCT) 、羽田トンネル(新規事業化)などの進捗について語った。

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民営化20年を振り返る 24時間365日、首都高速道路を守り続ける

民営化20年を振り返る 24時間365日、首都高速道路を守り続ける

大規模更新・修繕事業を計画的に実施、ネットワークも着実に整備してきた

 記者会見では、安全安心を守る取り組みを中心に6つのトピックについて語った。

 1点目は、「民営化20周年」について述べた。寺山社長は、「「お客様第一」という経営理念のもと、民営化後20年間にわたって、24時間365日、首都高速道路を守り続けるということを行ってきた」と語り、具体的な取り組みとして、道路構造物のきめ細かな点検と計画的な着実な補修を挙げた。

 その成果として、年々補修する箇所は減ってきており、2014年で年6万件程度の補修件数であったものが、24年には3.4万件まで減っていることなどを示した。


減少傾向にある補修実施件数(以下、資料は首都高速道路公開資料より抜粋)


 2点目は、安全・円滑な交通の確保について述べた。総事故件数、落下物回収件数、車両火災件数のグラフを示し、「事故件数は大きなトレンドとしては減りつつあるが、最近は若干の交通量増加に伴い少し事故が増えている」と話し、「引き続き事故の削減に取り組み、万が一事故が起きた時も、できるだけ早く復旧するというようなことに取り組んでいる」と語った。さらに2輪車の事故や、車両火災事故の増加にも言及し、安全運転や車両点検などを心がけるようお願いさせていただきたい」と注意を喚起した。


 3点目は立ち入り、逆走による重大事故への対策について言及した。「路面の文字、看板、センサーによる監視などを行い、逆走車が高速道路内に入ってきた際は、スピーカーで警告をすると共に、交通管制室ので瞬時に認識して必要な対応をとるということを適宜行っている」と示した。


 4点目は、激甚化する災害への対応力の着実な強化について語った。2011年に発生した東日本大震災では、首都高も大きな被害が生じた。湾岸線を中心に液状化で舗装が大きく損傷、構造物も損傷を蒙った。これについても着実な対応を行っている。


 また、「大きな自然災害が生じた際も24時間365日、首都高速道路グループ全体で対応できる体制を確保している」例として、2019年の台風19号による横羽線における飛来物撤去作業や2024年の大雪時の除雪作業を示し、「今後も万全の準備を行っていく」と述べた。

 5点目は大規模更新・修繕事業の計画的な実施である。20年間で大規模修繕、大規模更新事業を立ち上げ、進捗させてきたが、東品川鮫洲埋立部区間、高速大師橋、日本橋区間地下化などについて順次工事を進め、最近では羽田トンネル付近について、大規模更新事業化し、計画を進めている。


大規模更新・修繕計画の着実な実施


 東品川鮫洲埋立部については、2016年から事業を進めてきたが、約10年を経て更新下り線が完成し、10月29日午前1時に1.9km区間を新しい道路に切り替えを行う。今後は上り線の迂回路から更新上り線への移行を実施し、大井JCTの連結路も最終的に更新上り線に接続予定だ。


東品川桟橋・鮫洲埋立部の概要図

東品川桟橋で用いられた更新技術

鮫洲埋立部で用いられた更新技術


 日本橋区間地下化事業については、4月5日から八重洲線を通行止めし、作業ヤードとして活用、日本橋川での橋脚工事を継続実施すると共に、地域価値向上を目指した再生事業として一体的に推進していく。また、6月にはプレゼンテーションルーム「Vista」を一般公開している。

 6点目は、ネットワークの着実な整備である。「民営化20年間で中央環状品川線、新都心線晴海線、川崎線、横浜北線、横浜北西線が開通、さらには中央環状線の機能強化として、板橋・熊野町JCT、堀切・小菅JCT間の改良により短い区間で分合流が存在するJCT間の4車線化を進めてきた。さらには小松川JCT、渋谷入口(下り)の新設も成し遂げ、首都圏の大渋滞緩和のためにしっかりと歩みを続けてきた結果、「20年前に比べて渋滞損失時間が約4割減少した」と述べた。


ネットワーク整備状況

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BP(-A)支承の耐震補強技術が2025年土木学会田中賞(技術部門)を受賞

約12,000基が対象、今後対策を進めていく

 道路交通情報アプリ「μT」によるリアルタイム・パーソナルな情報発信、川口ハイウェイオアシスなど地域連携型PAの整備を行うなど関連事業の拡大として、高速道路事業以外の収益を平成17年の32億円から24年で92億円へ約3倍に成長したことを報告した。

 首都高の技術力活用として、社会インフラサポート事業を進めており、道路のみならず空港、鉄道など他分野への技術提供や海外展開などを進めていることも示し、北海道エアポートでのインフラパトロールでの活用やタイ現地法人を1年前に設立し、運営していることについて述べた。環境施策では、2050年にはカーボンニュートラルを実現できるよう、カーボンニュートラル戦略を2022年に策定し、着実に進めている。

 同時に首都直下地震などの大規模災害対策についても、進捗状況やトピックを語った。

 道路啓開訓練を8月27日に湾岸線の横浜市内にある杉田高架橋下で、国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所や横浜市、神奈川県、相模原市等と共同実施し、初動対応合同訓練、ドローン飛行、段差警戒等の連携訓練などを行った。


道路啓開訓練状況(段差啓開 / 天秤吊りでの車両排除)

ドローンの活用


 9月16日には首都圏において震度7以上の地震が起きたことを想定した防災訓練を実施し、
複合災害として首都高全体の停電も想定、地震発生から24時間以内にいわゆる8方向作戦の中の最低でも1路線で1車線確保を目標とした訓練を行った。停電を想定して管制室も仮設照明で対応するなどより実際に即した状況下とした。


首都圏を襲う最大震度下を想定した厳しい訓練


 また、耐震補強技術の進展についても報告した。BP支承の耐震補強技術が2025年土木学会田中賞(技術部門)を受賞したことについて言及、支承を交換するのではなく、また大規模な補強を行うのではなく補強構造を高強度ボルトと鋼棒で鋼製という簡易な構造にすることで、従来の支承補強に比べて短時間・低コストでの施工を実現すると共に、狭い作業空間での効率的な補強を可能とし、首都直下地震への備えを加速していくことを期待すると述べた。

 首都高速道路では、レベル2地震動が導入される前の基準で設計されたBP-A支承が約18,000基設置されている。大規模地震が発生し、支承部材の破断・脱落などが起きた場合、ジョイント部に段差ができて緊急輸送車両の通行が困難になるリスクや部材落下による第三者被害のリスクが生じる。その対策として開発したものであるが、今後活用する可能性がある支承は約12,000基となっており、順次点検・解析を進めたうえで補強が必要な箇所には対策を進めていく方針だ。


BP(-A)支承の耐震補強技術

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