MMB、日之出水道、富士PS、宮地E プレキャストPC床版用の新しい継手「HDループ継手工法」を開発

MMB、日之出水道、富士PS、宮地E プレキャストPC床版用の新しい継手「HDループ継手工法」を開発
2025.12.23

HDループコネクタが応力を伝達、横締めPC鋼材、特殊な間詰め材不要

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 エム・エムブリッジと日之出水道機器、富士ピー・エス、宮地エンジニアリングの4社は、NEXCO3社で主に行われているプレキャストPC床版への取替の際の新たな継手工法としてHDループ継手工法を開発した。同工法は、HDループコネクタと呼ばれる高強度なダクタイル鋳鉄(FCD600-3:JIS G 5502、サイズは100×80×70mm、1.5kg)製の継手金物をループ鉄筋内に挿入することで、ループ鉄筋と金物が当たり、接続した鉄筋同士の応力を直接伝達できるようになるもの。通常のループ鉄筋継手はコンクリートにひび割れ等が生じた場合、応力の伝達に不具合が生じるが、同コネクタを使ってループ鉄筋を内側から支持することでコンクリートを介さずに応力伝達できるため、長期的な性能の確保が期待できる。さらに通常の横目地だけでなく、半断面、あるいは複数断面の床版取替を想定した縦目地の継手に使うための輪荷重走行試験も行っており、横締めPC鋼材を使わず、さらに特殊な間詰め材なども用いることなく、RC構造でも成立することを確認した。4社は複雑な工程を必要とする複数断面の床版取替をより効率的に行え、さらに鉄筋の応力を適切に伝えることができる継手工法として実橋への適用を目指していく方針だ。(井手迫瑞樹)

人をつなぎ夢を架ける 人をつなぎ夢を架ける

縦目地の継手に厳しい輪荷重試験施し、耐久性を確認

同コネクタは1箇所当たり約30秒で取付可能

間詰め幅も従来の約350mmを約220mmまで狭める

 同工法に用いるHDループコネクタは、図のような構成となっている。ループ鉄筋内に挿入する際は、スムーズに入るよう、上下の鉄筋クリアランス以下の高さとなっているが、挿入した後にM12ボルトを回すことでくさび状のC金物が、外側のL1およびL2金物を拡げ、鉄筋にタッチさせることでコンクリートを介さず、応力を適切に伝達できるようにしている。鉄筋と同コネクタを確実に接触させるため、トルク管理の必要はあるが、専門的な技術や工具の必要はなく、締めこむだけでよいので熟練工も不要である。同コネクタは1箇所当たり約30秒で取付可能ということだ。


HDループコネクタの構成



ループ鉄筋への取り付け状態イメージ /  HDループコネクタ

取付手順

取付状況


 また、同コネクタを使うことで、ループ鉄筋の重なり部分は楕円形でなく真円形状にすることができ、間詰め幅も従来の約350mmを約220mmまで狭めることができる。


ループ鉄筋の重なり部分は楕円形でなく真円形状にすることができる

ダクタイル鋳鉄製伸縮装置 ヒノダクタイルジョイントα 人をつなぎ夢を架ける 人をつなぎ夢を架ける

縦目地の継手に厳しい輪荷重試験施し、耐久性を確認

横締めの施工の手間も低減、材工コストも大幅縮減

 さらに4社は、横目地だけでなく縦目地の継手にも適用可能なことを確認するため、接合部の直上と、両側のせん断力が大きくなる箇所に車輪を走らせた輪荷重走行試験も行った。


試験状況


 試験体は、床版支間2.5m×橋軸方向長さ4.5m、床版厚220mmのものを使った。縦目地は床版支間中央部に打ち継ぎ目が位置するように配置し、さらに橋軸方向と(橋軸直角方向の)のクロス部が生じる実際の現場を模擬して試験体にも横目地を配置した。その床版上に接合部直上、接合部直上をかすめるように隣接する両側の3コースを輪荷重走行載荷させる試験を行った結果、耐用年数100年間を想定した載荷回数を加えても大きな損傷は生じず、その後の漏水試験でも漏水は確認されず、縦目地においても同工法が使えることが確認された。なお、間詰めコンクリートは50N/mm2の通常の間詰め材相当のコンクリートを用いている。


縦目地部試験後の床版下面状況


 縦目地に同工法が適用された場合、横締めPC鋼材で繋ぐ工法と比較すると、材工コストを大幅に縮減でき、さらには両端部の狭い箇所からPC鋼材を挿入する手間も省け、ポステン定着部の耐久性なども気にしなくてよくなる。さらには間詰め材も通常のコンクリートのため、打設コストを安くし、養生も普通のやりかたで施工できるというメリットを有している工法といえそうだ。

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