奥村組、昭和コンクリート工業 NEXCO3社の床版取替用途向けに新継ぎ手工法『Zスパイラル工法』を開発

奥村組、昭和コンクリート工業 NEXCO3社の床版取替用途向けに新継ぎ手工法『Zスパイラル工法』を開発
2024.07.10

間詰め部の配筋作業の手間を1/3程度にできる 通常の通し鉄筋に比べて鉄筋量を56%削減

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NEXCO中日本 NEXCO東日本 NEXCO西日本 大規模更新
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 株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村 太加典)と昭和コンクリート工業株式会社(本社:岐阜県岐阜市、代表取締役社長:村瀬 大一郎)は、高速道路橋に使用されることが主流となっているプレキャストPC床版を、矩形状の特殊スパイラル筋「Z スパイラル筋」を用いて接合する継手工法「Z スパイラル工法」を開発した。工法は、ループ筋に橋軸直角方向鉄筋を通す代わりに、矩形状の特殊スパイラル筋「Zスパイラル筋」をループ筋の上部に差し込んで結束固定するもの。間詰め部の配筋作業の手間を1/3程度にできることが特徴だ。同筋は、3D設計および加工機で製作するため、斜角(60度まで)など厳しい線形の橋梁においても対応可能である。ばね形状で軟らかく追従性に富むため、現場における施工性も高い。同工法で接合したプレキャストPC 床版は、土木研究所の輪荷重走行試験機を用いた性能確認試験により100年相当の耐久性を有することが証明されており、両社は性能証明書を株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO 総研)へ提出し承認された。今後は実橋への適用を積極的に働きかけていく。(井手迫瑞樹)

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足場の設置や作業ヤードの確保が不要

「Zスパイラル筋」をループ筋の上部に差し込んで結束固定

信頼性の高い標準工法であるループ鉄筋をベースに改良

 同工法は、配筋作業の手間低減の他、①足場の設置や作業ヤードの確保が不要、②特殊コンクリートの使用が不要、といったメリットを有する。①については、標準工法の場合、橋軸直角方向鉄筋を通すために足場の設置や作業ヤードの確保が必要となるが、Z スパイラル筋は床版の上面から差し込むことができるため、それらを要しない。


上面から差し込むだけでよい

構造概要図と側面から見た継手部

施工手順

スパイラル鉄筋結束状況(最左)/スパイラル鉄筋挿入状況

スパイラル鉄筋結束状況(左、中)/配筋確認状況(右)


 ②は、標準工法から他の工法に変更する場合、床版を接合する間詰めコンクリートに特殊コンクリートを使用することがあるが、工法では標準工法と同様、工場出荷時に品質が保証された設計基準強度50N/mm2 のコンクリートを使用するため、特殊コンクリートの場合に発生する現場での練り混ぜ作業、強度試験などの手間が省くことができる。


間詰めコンクリート打設状況

打設完了状況


 また、継手幅は280mmと標準工法の350mmに対し狭めているため、現場打ちコンクリートを20%削減できる。さらに、通常のD19×6本の通し鉄筋に比べ、鉄筋量を56%削減でき、ループ筋上筋を10mm下げることにより、純かぶり40mmも優に確保できる。

 さらにZスパイラル筋はループ筋を包み込む横長形状であるため、ループ筋と一体化し、ひび割れが発生しにくく、間詰め部にはせん断キーを設け、せん断抵抗性向上を向上させている。

 すなわち「奇をてらうのではなく、信頼性の高い従来技術をベースに改良した継ぎ手工法を開発することに主眼を置いた。そうすることで、設計上の煩雑な手間や工法開発時の確認を減らし、市場への投入を早めることができることになった。基本は標準工法であるループ鉄筋を使うため、汎用性が高いというメリットも有している」(奥村組 守屋裕兄・土木本部 土木・リニューアル技術部長)ということだ。 


静的曲げ試験の破壊性状

輪荷重走行試験は土研で行った

破壊性状確認試験の結果


 両社では2022年4月から技術開発を開始し、プレキャストPC床版供試体の製作は昭和コンクリート工業、輪荷重走行試験以外の実験設備の提供・運用は主に奥村組が担当し、開発を進めていた。

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