WJ施工時に発生濁水を全自動循環ろ過 『WJ濁水再生装置』を開発

WJ施工時に発生濁水を全自動循環ろ過 『WJ濁水再生装置』を開発
2024.11.14

第一カッター興業と流機エンジニアリングが共同開発

Tag
WJ 環境対策 生産性向上
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 第一カッター興業㈱と㈱流機エンジニアリングは、WJ施工時に発生した濁水を全自動で循環ろ過できる『WJ濁水再生装置』を開発し、10月23日に第一カッター興業本社で試験施工を公開した。この装置は4tトラックで運搬できるコンパクトな機械で、1バッジ当たり2㎥(2,000lL)、1時間当たり4㎥の濁水を全自動でろ過し、WJにて使用した水量の6~7割程度をWJ作業水として再利用できる(回収濁水量により変動)。従来、WJ施工で発生した排水濁水は分離処理後に、うわ水をpH処理し、公共下水等へ放流していた。同装置はその放流水を再度利用すると共に、そのpHや硬度の調整といった課題にも対応している。

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99.95%の不純物を取り除き、WJに再利用 1時間当たり4㎥の処理能力

99.95%の不純物を取り除き、WJに再利用 1時間当たり4㎥の処理能力

実際のWJ(高圧低水量)に使用する水量の最大値にほぼ相当

 同装置は、原水(WJ濁水)中に炭酸ガスを添加循環しながら、化学反応をセンサーにて検知し、運転ボタン1つでろ過装置を全自動制御できる。原水中に溶け込んだカルシウムを炭酸ガスにより化学反応させ、析出し、0.15μm以上をフィルターで除去することで、99.95%の不純物を取り除き、WJに再利用可能な水を得られる。1時間当たり4㎥の処理能力は、「実際のWJ(高圧低水量)に使用する水量の最大値にほぼ相当」(流機エンジニアリング談)である。


WJによって生じた濁水を模擬した水

再生して使用される水と選り分けられたノロ

左から原水、ろ過水、不純物を選り分けたノロ部分、ろ過水が非常にきれいなことが分かる


 連続して5バッチ施工が可能で、5バッチごとに1回、約20分のフィルターを洗浄が必要である。装置には自動洗浄機能があり、洗浄水として原水を使用できるため、外部からの水道水やろ過水を使う必要はない。膜交換自体も50~60tの水量でもほとんど差圧が変わらないため、年レベルで交換の必要がない。センサーも1年に1回の交換でよい。カルシウム析出のために必要な炭酸ガスのボンベのみ、交換が必要となる。

 このろ過水を使うことで、水道水の使用量を大幅に削減でき、給水作業や運搬車、排気ガスの削減にもつながる。

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ろ過装置は4tトラックで運搬可能なコンパクトサイズ

長距離でも集水してろ過ができる

 また、ろ過装置は1.5t、タンクは700kg、発電機が700kgと4tトラックで運搬可能なコンパクトサイズであり、この装置を使用すれば、新たにヤードを占用する必要もない。「圧送ポンプなどの能力を上げれば、使用した水を長距離でも集水してろ過ができる」(同社)。


4tトラックで運搬可能


 課題としては、はつり対象となる構造物やコンクリートが場所や地域によって異なる点が挙げられる。特に塩化物イオンが多い場合は、炭酸ガスによる化学反応が影響を受けpHが変化しないことがある。pHが下がらないと析出が起きず、濁度も下がらない。さらに、化学繊維製の膜は強アルカリ環境下では劣化しやすいため、pHを8以下に保つ必要がある。

 今後、両社はWJ削孔研究会などを通じて、橋梁の部位や施工地域ごとの濁水の初期値データを収集し、装置の改良を図っていく方針だ

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