BBM 維持管理性に優れた防錆シリーズ『BBキャップ』と『BBシート』を若狭高架橋で試験施工

BBM 維持管理性に優れた防錆シリーズ『BBキャップ』と『BBシート』を若狭高架橋で試験施工
2025.01.01

半透明な100%シリコーンで厳しい塩害環境下でも防食と視認性を両立

Tag
防食
Share
X Facebook LINE

 ビービーエムは、橋梁支承などの高力ボルトの防食用途に半透明な100%シリコーン樹脂で内部を可視化できる防錆ボルトキャップ『BBキャップ』と、同様の素材成分であり支承の鋼材部などに張り付けて用いる防錆シート『BBシート』を沖縄総合事務局南部国道事務所が所管する若狭高架橋のA1橋台部で試験施工した。同製品はいずれも複合サイクル試験(JIS K 5600-7-9 サイクルD 10,000時間)および沖縄県離島で暴露試験も行っている。前者では通常の溶融亜鉛めっき防食ボルトの場合、発錆が確認されたものの、BBキャップを施工していた同ボルトでは、発錆は確認されなかった。また、後者では1年経過した段階で溶融亜鉛めっき防食ボルトのみの防食では劣化が確認されたものの、BBキャップを施工していた同ボルトでは劣化は見受けられなかった。両実験とも防錆効果だけでなく、白化や黄化などの視認性を阻害する変化もなかったことが確認されている。(井手迫瑞樹)


若狭高架橋A1橋台部

比べれば歴然の差 ポリマエースの”極”防食 比べれば歴然の差 ポリマエースの”極”防食 半透明なシリコーンで内部を可視化した防錆ボルトキャップ

変成ではなく100%シリコーンを使う

塩害環境の厳しい沖縄西海岸道路若狭高架橋で試験施工

 BBキャップおよびBBシートは元々、同社の支承の付加価値向上を目的に開発した防錆ボルトキャップおよび防錆シートである。シリコーンによる防錆効果はもちろん、半透明のため中が透けて見えることで、点検性も向上している。従来も透明なボルトキャップはあったが、変成ではなく100%シリコーンを使うことで塩水・温度依存性、耐紫外線劣化性に対する耐候性を向上させ、防錆効果および透明性の持続期間を長期化している。支承用ボルトに使うために開発されたが、径サイズには拘束されない仕様のため、鋼構造物のあらゆる用途のボルトに使用できる。

 今回施工した若狭高架橋は2009年6月に供用された沖縄西海岸道路のPC連続箱桁橋で2009年6月に上部工が完成した橋梁である。西海岸道路でも極めて海岸に近い箇所にあり、厳しい塩害環境にあり、さらにサンドブラストにも曝される環境にある。


少し走ると海である(車の左手は建設中の沖縄西海岸道路)


 今回は、そのうち、上り線と下り線のA1橋台の支承の内、桁の内側に位置している2基ずつ計4基について、BBキャップ、BBシートを施工した。対象となるボルトは発錆が目立つが「ポストスライド時に用いられたボルトであり、現在は構造的には意味がない化粧ボルトのような存在」(同社)ということで試験施工にはうってつけのボルトといえる。


発錆が認められるボルト部や下沓側の鋼材部


 100%シリコーン製のシート厚さは、平滑部2mm、ボルト部3mmとし、ラップ長は50mmとしている。

比べれば歴然の差 ポリマエースの”極”防食 比べれば歴然の差 ポリマエースの”極”防食 半透明なシリコーンで内部を可視化した防錆ボルトキャップ

半ゼリー状の性状 ラップ部にプライマーなどは不要

耐塩性、対応性だけでなく、サンドブラストなどの厳しい環境でも高い耐久性

 施工はまず、ボルト表面および下沓の錆を落とし研掃する。


研掃状況


 次いでBBキャップを施工する。BBキャップは最初からキャップ状になっているのではなく、両面に剥離フィルムを付けている状態で、形状は花びら形で、性状的に半ゼリー状となっている。これをまず片面のフィルムを外してボルト中央に合わせるように貼り付ける。貼り付ける際は空気が残らないように外に向けて貼り付けていく。


BBキャップの貼付け


 上面・側面共に貼り付け終えた後は、外側のフィルムを剥がし、アルコールを内側に吹き付けたインサートカップを上から被せ、さらに楔状のアウターカップをその上から被せて、そのまま押し込む。そうすることで密着性が担保される。押し込んだ後は、少し材料がはみ出すため、それを除去し、完成となる。インサート及びアウターカップ施工後は、ボルトの頂点に突起が出来るようになっており、それがあるか否かで所定の工程を施工したかという確認が行える。


インサートカップ(白い部分)とアウターカップ(黒い部分)/ボルトの頂点に突起


 施工時間は「1個につき3分程度」で、最初からキャップ状ではないため、ボルト径のサイズは小径~大径までどのような用途でも対応できる。但し人力施工のため、あまりにも大きな径の場合は工夫が必要だ。

 次いで、BBシートを貼りつけていく、幅は120mm、長さは450mmのシートで、これをラップさせながら貼り付けていく。BBキャップとも同様にラップしていくが、100%シリコーンの材料を用いているため、ゼリー状の接着性が期待できる(すなわち可使時間)20分内であれば、プライマーなどを使わず、人力で圧着させられる点が大きな特徴で、極めて施工性に優れている。またこうしたシリコーン特有の被膜であり、膜厚もμm換算で2,000~3,000に達する膜厚であることから、「サンドブラストに対しても非常に強い耐久性を有している」(材料供給の信越ポリマー・関東健介氏)。




BBシートの貼付け状況


 シリコーン100%の防錆材は「飛来塩分というより飛沫が生じる時もあるお台場の日本科学未来館の一部でも使われているが、建設後25年経った現在も発錆はなく、クリアな防錆材の黄化も生じていない」(同社)としている。BBキャップは今後、自社製品の支承を出荷する際には工場で予め設置することを提案していく。さらに現地施工のボルト防食においても積極的に提案していく。さらにBBシートは700%の伸び率も有していることから、今後は鋼部材の防食だけでなく、コンクリートの防食材としても展開を図っていく考えだ。

pageTop