RC中空床版補修工法として エアチューブ工法+KKフォームを現場適用

RC中空床版補修工法として エアチューブ工法+KKフォームを現場適用
2024.12.18

栗本鐵工所と川田建設 中国自動車道地蔵前高架橋で施工

Tag
WJ 中空床版対策 床版
Share
X Facebook LINE

 栗本鐵工所は、RC中空床版橋の円筒型枠補修用エアー式型枠『エアチューブ工法』を開発し、NEXCOの現場などで試験施工を重ねている。持ち運びのハンドリング性に優れ、上面の鉄筋を(切断する)必要もなく、円筒型枠を補修し、上面のコンクリート打設を簡易にできる工法だ。加えて、円筒型枠の上面の床版厚を確保し、確実な打設を行うためにKKフォーム工法(協立エンジ)を併用して施工する手法も川田建設と進めている。(井手迫瑞樹)(写真は注釈がない場合は全て川田建設提供)

アクアジェット工法 破損した円筒型枠を簡易的に補修、新たな円筒型枠の補修工法をご提案 アクアジェット工法

コンプレッサーを使用して空気を入れるだけで、強度を有した円筒型枠を形成

ポリプロピレン製のため軽く、手軽に持ち運べる

コンプレッサーを使用して空気を入れるだけで、強度を有した円筒型枠を形成

 栗本鐵工所は長年、中空床版橋の円筒型枠を製造・販売してきたが、中空床版橋においては近年防水層未施工による塩害,車両大型化,交通量増大などにより上面床版の劣化が著しい箇所が見つかっている。実際に舗装打ち換え補修工事においても、劣化した上面コンクリートを除去した際、円筒型枠が著しく損傷した状態にある事例が多く報告されている。しかし、これまで破損した円筒型枠を簡易的に補修できる工法が確立されておらず、補修には大きな労力を必要としていた。


上面床版の劣化が著しい箇所


 エアチューブ型枠は、ポリプロピレン製のため軽く、手軽に持ち運ぶことができる。また、鉄筋の隙間からエアチューブ型枠を差し込むことができるため、鉄筋を一時的に除去する手間もいらないという利点がある。さらに埋設されるエアチューブ型枠は、口径・補修延長に自由に対応でき、コンプレッサーを使用して空気を入れるだけで、強度を有した円筒型枠を形成できる。

エアチューブ型枠(栗本鐵工所パンフレットより)

円筒型枠補修用 埋設型枠 KKフォーム 景観や安全に配慮した 円筒型枠補修用 埋設型枠 KKフォーム

上面はつりはマイクロクラックを出さないWJとベビーチッパーを使用

KKフォーム工法を設置し、床版の打設厚を確保

 実際に施工した地蔵前高架橋(NEXCO西日本中国自動車道、川田建設・コーアツ工業JV)では床版の打音確認を行った結果、円筒型枠天端部分のコンクリートの浮きが確認されたため、はつり除去したところ円筒型枠の損傷が認められ、同損傷個所の復旧対策に用いられた。補修個所は3箇所で11.5㎡の面積、円筒型枠の延べ延長は6m分であった。


打音点検とその結果


 施工はまず、劣化箇所の状態確認と補修のためWJとマイクロクラックが生じないベビーチッパーによるはつりを用いて脆弱部を取除き開口を広げた。開口の大きさは埋設型枠の組立が行える範囲で最小の寸法で検討した。


WJによるはつり状況



RCホロー標準断面図及び円筒型枠のそれぞれの位置

WJやベビーチッパーではつった後の状況


 その後、鉄筋間からエアチューブを挿入し、コンプレッサーで所定の大きさ形状に膨らませた。空気圧を確認後、既存の円筒型枠の上部に蓋をするような形で、エアチューブの上面に埋設型枠であるKKフォーム工法(協立エンジ株式会社)を設置し、床版の打設厚を確保した。そして最後に上面に断面修復工として膨張材および高炉スラグ混入コンクリート(50N/mm2)を打設した。


水抜き用塩ビパイプの配置 / エアチューブの挿入状況

円筒型枠内への挿入後の展開状況

エアーコンプレッサー(左)を用いて空気を注入


 鋼製円筒型枠とエアチューブ型枠の隙間には、注入材(シリコンコーキングまたはウレタンフォーム)を設置し、コンクリートの漏れや、打設後の再損傷を防いでいる。



円筒型枠の上に埋設型枠を設置し、断面修復の打設厚を確保

KKフォーム設置状況

断面修復工施工状況(上段)および施工完了状況(下段)


 栗本鐵工所と川田建設株式会社は、今後もRC中空床版橋の補修工法として、エアチューブ工法・KKフォーム工法を併用した手法を広く展開していく方針だ。

pageTop