NEXCO東日本 創成川東高架橋で16,000㎡強におよぶ塗替えを施工中

NEXCO東日本 創成川東高架橋で16,000㎡強におよぶ塗替えを施工中
2025.01.27

鋼桁だけでなく札幌新道に囲まれたヤードの少ない箇所の鋼製橋脚も施工

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塗替え NEXCO東日本
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 東日本高速道路北海道支社は、札樽自動車道創成川東高架橋の塗り替えを行っている。対象は同橋全体(橋長1,090.4m)の内、鋼鈑桁部の734mで、さらには同橋は札幌新道に囲まれ、ヤードが少ない一部の場所で採用されている鋼製橋脚部の塗り替えも併せて行っている。16,000m2強におよぶ同橋の塗り替え状況について話を聞いた。(井手迫瑞樹)


創成川東高架橋橋梁一般図(NEXCO東日本提供)


札樽自動車道の高架橋は札幌新道に囲まれている

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鉛が5.1%も含有 塗膜剥離剤を使用した塗膜の除去

ほとんどの径間で初の塗替え

鉛が5.1%も含有 塗膜剥離剤を使用した塗膜の除去

 対象となるのはP261~P272(下り線)の上部工およびP259、P263、P264、P266~P268、P270~P271の下部工である。上部工形式は鋼3径間×3連、鋼4径間×3連の連続鈑桁橋で、いずれも5主桁[終点側3径間(P269~P272)は札幌北IC合流箇所につき7主桁]である。札樽自動車道の高架橋下に札幌新道が配置される形であるため、ヤードが狭く橋脚配置位置が限定されること、また、札幌新道の建築限界を考慮し鋼製橋脚が採用されている。さらに塗替えだけでなく鋼製橋脚と基部コンクリートとの境界に橋脚止水目地工と札幌新道と交差する部分の検査路に爪先板工の施工も合わせて行っている。


塗替え対象平面図


 同橋は昭和55年(1980年)道路橋示方書に基づき設計され、1992年9月30日に供用された。既に札幌新道の国道部上下線が供用されており、島配置となったヤード内で施工する必要があったため、厳しい条件での施工であったことは想像に難くなく、下部工は、ヤードが狭く橋脚配置位置が限定され、札幌新道の建築限界を考慮し鋼製橋脚が採用されている。勾配は縦断が0.3%、横断が2%と小さく、曲線半径は極めて緩やか(R=30,000m)である。横河ブリッジ・川鉄鉄構工業(現在のJFEエンジニアリングの一部)のJVによって建設された。

 塗装は平成16年にP258~P261を3種ケレンで塗り替えている記録はあるが、ほとんどの径間において初の塗装塗替えとなる。PCBの含有はないものの、鉛が5.1%(基準値0.1%以上)も含有しており、その量は27mg/lに及ぶことから特別管理産業廃棄物として除去しなければならない。さらには札幌都心部に近い箇所の高架橋でもあるため、塗膜剥離の施工において騒音や粉塵の発生を抑制できる、塗膜剥離剤を使用し塗膜除去を行ったうえで、塗替えを行う手法を選択した。

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 さて、損傷状況である。主桁下フランジが最も劣化しており、両外桁の外側ウェブ下面や漏水による下部工の劣化が進んでいる状況である。「並行する札幌新道は交通量が多く、排ガスの影響や高速道路上だけでなく国道に散布している凍結防止剤の影響も考えられる」(NEXCO東日本)。しかし、発錆まで至っている個所は多くなく、ほとんどは塗膜劣化の状況にとどまっている。

 既設塗膜の状況は下図の通りである。既設塗膜は6層からなり最大塗装厚は283μm、平均塗膜厚は213~225μmである。膜厚はそれほどではないが、中塗一層目に使っているMIO層が、塗膜剥離剤の浸透をいったん止めてしまうため、塗膜剥離剤は上下部工とも0.5kg/m3を塗布し掻き落としする作業を2回繰り返す施工フローとした。その結果、既設塗膜をきちんと除去することができた。3種類の塗膜剥離剤を試験して、既設塗膜除去に用いる塗膜剥離剤は「バイオハクリX-WB」を使用した。その後、1種ケレンをかけ、重防食系塗装を施した。


既設塗膜構成と既設塗膜確認状況(一般部および下面部)

既設塗膜構成と既設塗膜確認状況(添接部)



塗膜剥離剤の塗布と掻き落とし(1層目)

塗膜剥離剤の塗布と掻き落とし(2層目)

ブラスト施工状況

重防食塗装の下塗り状況

同中塗りおよび上塗り状況

塗装完了状況


 

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SKパネルを使用 当該施工箇所の架設経験がある新成工業を一次下請に

残り1万m2強を後2年間かけて塗替えていく予定

 同橋において、課題となったのは足場の設置である。札幌新道に挟まれ狭いヤードの中で組み、桁下まで上げなければならない。しかし、元請けのショーボンド建設は、この橋で以前剥落防止工を行っており、「その時に足場を架設した経験もある。今回施工箇所については、仮設資材の仮置きスペースが無く、7km程距離のある東雁来に設置した現場事務所ヤード内に仮設材を仮置きし、必要量を毎回小運搬しながらの足場架設を行った。その際もSKパネルを用いたが、同パネルの開発にも携わりかつ、当該箇所の施工経験がある新成工業を一次下請とすることで施工上のロスはあったが、それほど苦労せず足場を設置することができた」(元請のショーボンド建設)。足場をかけた後は、通常の防炎シートで養生し、さらに火災対策として難燃性のシートを3重に設置したうえで塗膜剥離工を施工した。



足場設置状況



完了後の足場外面(左)、足場内面(中、右)


 6月中旬から10月中旬までの工期内では、5,500m2を施工したが、その際は常時平均30人態勢で施工した。

 また、夏場の施工であるため、熱中症対策に大きく配慮した。剥離剤の中毒対策としてはタイベックを着用し、さらに防毒マスクを装着しての作業であるため、さらに厳しい環境にあると言える。そのため、休憩は各自で自由に取らせると共に、「各班のリーダーに対して、それを許容するように徹底した」(同社)。さらに必要量を上回る量の飲料を供給した結果、熱中症による労働災害は一件も起こさなかった。


安全対策(避難訓練)


 今後も残り1万m2強を後2年間かけて塗り替えていく予定だ。

 元請はショーボンド建設、一次下請は平岩塗装(塗装工事)、新成工業、インフィニティ(いずれも足場工事)、M’s(交通誘導警備)、日樹建設(橋脚止水目地工事)。

 重防食塗料は日本ペイント、塗膜剥離剤は山一化学工業。

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