福北高速 福岡高速2号線でリフレッシュ工事を実施

福北高速 福岡高速2号線でリフレッシュ工事を実施
2025.01.01

千鳥橋JCT(太宰府⇒天神方面)と呉服町入口 区間延長は約1.5km

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福岡北九州高速道路公社 維持管理
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 福岡北九州高速道路公社は、福岡高速2号線の千鳥橋JCT(太宰府⇒天神方面)と呉服町入口について、2024年11月16日0時~25日24時までの10日間終日通行止めを行い、床版の補修やジョイントの交換、舗装の打換えなどを行った。同工事にはのべ約400人が参加した。(井手迫瑞樹)

NIPPOの断面修復材 スーパーブラスター工法

福岡高速で唯一の床版防水未設置区間

福岡高速で唯一の床版防水未設置区間

舗装打換え面積は約9,500㎡に及ぶ

 同工事の区間延長は約1.5kmである。昭和61年4月および昭和63年10月に供用された区間であり、36~38年の供用期間を経過している。「福岡高速で唯一の床版防水未設置区間」(同公社)であり、一部で床版下面からの漏水やエフロレッセンス、床版上面の浮き剥離や舗装の轍掘れ、ポットホールの発生、伸縮装置の劣化などが見られていることから、今回、供用後初の大規模補修工事を行うものである。


床版の損傷状況(福岡北九州高速道路公社提供、以下注釈なきは同)

伸縮装置の橋面(上3枚)、下面(下2枚)の損傷状況

舗装の損傷状況

建設年次が示されている(供用年次ではない)(井手迫瑞樹撮影)


 舗装打換え面積は約9,500m2に及ぶ。通行止め区間の線形は少し複雑で呉服町入口と千鳥橋JCT付近のいわゆる分岐部が1車線、そのほかの本線部分は4車線中の2車線となる。分岐部はカーブとなっており、一部本線区間は走行車線が隣接する車線規制であり、安全面は大きな留意が必要となっている(写真)。


厳しいR(井手迫瑞樹撮影)

一部本線区間は走行車線が隣接する車線規制となっている(井手迫瑞樹撮影)

静かな破砕に!! 太平洋ブライスター スーパーブラスター工法 静かな破砕に!! 太平洋ブライスター

RC床版8,600㎡、鋼床版810㎡、土工部の90㎡も新たな舗装に打ち換え

低騒音・低振動切断工法「SJS-H工法」を採用、路肩コン撤去は『ブライスター』を使用

 さて、RC床版は8,600m2、鋼床版は810m2でさらに土工部の90m2も新たな舗装に打ち換える。ジョイントも現在のゴム型止水ジョイントを12か所中11か所(117m)で簡易鋼製ジョイント(ヒノダクタイルジョイント)に交換、1箇所(5m)のみ同様のゴム型ジョイントに交換した。ジョイントの交換については、通行止め期間ではなく、7月~10月の夜間規制期間内に既設ジョイントの撤去を行い、アスファルトで撤去部を仮埋めして置き、通行止め期間内に新たなジョイントへ設置し直した。ジョイントの撤去に際しては、住宅の多い周辺環境に配慮して、低騒音・低振動切断工法「SJS-H工法」を採用した。


SJS-H工法を用いて伸縮装置を撤去
ヒノダクタイルジョイント設置状況


 路肩コンクリートについても約1,500m(770m2)の延長で撤去したが、これについても7~10月の夜間規制期間内に施工した。具体的には路肩コンクリートの中央に2本の溝を掘って静的破砕材『ブライスター』を流し込み、72時間以上養生した後に、バックホウで撤去した。撤去後は仮舗装をかけて安全性を確保し、通行止め期間に仮舗装を撤去して床版補修、同防水、舗装を行うのは床版中央部と同様の手順を踏んだ。


ブライスター注入状況 / ブライスターを用いて撤去した路肩コンクリート部(白い部分)(井手迫瑞樹撮影)

床版キャッチャーとスケルカの両点検車両で床版状態を調査

電動チッパーとWJを併用し、マイクロクラックを防止

 さて、床版中央部である。床版中央部の概略的な補修数量を決めるため、同社では床版キャッチャーとスケルカの両点検車両(いずれも電磁波レーダーを搭載して通常速度で走って点検できる非破壊検査車)で確認した。「両点検結果をもとに補修数量を想定し、補修工事に臨んだ」(同公社)ということだ。


舗装撤去後の床版点検状況


 RC床版損傷部のはつりについては、小規模な箇所に対しては、電動チッパーで人力はつりを行い、橋軸直角方向の幅50cm程度以上の損傷部については機械式WJ(コンジェット)によりはつった。いずれもマイクロクラックが生じにくく、コンクリートに余計な損傷を与えないはつり手法である。WJの施工にあたっては、水養生を行わなくてはならないが、「バキュームの併用など基本的な養生は行うが、勾配方向が通行止め区間側にあることから、第三者への被災防止については、はつり時のガラ飛散防止程度でよく、水の飛散は標準的な対応のみで済んだ。」(同公社)。


手ばつり / WJ(コンジェット)施工状況

WJ(コンジェット)施工状況②


 その後、断面修復を行っている。断面修復は対象界面にエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、その後に低弾性超速硬ポリマーセメントモルタル(スーパーセットリペアP)を用いている。同モルタルは既設床版の弾性係数に合わせた低弾性の補修材料である。


床版上面の断面修復状況(右下写真のみ井手迫瑞樹撮影)


 事前の点検により、より損傷の少ないRC床版に関しては通常のアスファルト系床版防水工を使用し、エフロレッセンスなどが顕著に生じているより損傷程度の高いRC床版については、改質グースアスファルト(BLG、『スマートグース』)を使用した。改質グースアスファルトを使用する床版には、付着性向上のために事前にショットブラスト(投射密度100kg/m2)による表面研掃を行っている。


床版防水工は通常のアスファルト防水工(上左)とBLG(スマートグース)を併用した

床版防水工施工前にはプライマーを塗布(井手迫瑞樹撮影)

鋼床版上面の舗装撤去は全面積でIHを使用

防水工はBLG

 鋼床版部の既設舗装撤去については、全面積でIH(電磁誘導加熱法)を用いている。住宅にほど近く、通常のブレーカーはつりや路面切削機による切削は、施工時の打撃音、鋼桁を伝う伝播音による騒音や切削時の(床版上面に突き出ている)ボルト損傷がネックになるためだ。IH施工後は床版から付着の切れた舗装をバックホウで破砕して積み込み、搬出していった。その後は床版上面をショットブラスト(投射密度150kg/m2)で研掃し、その上にBLGを舗設していった。


IHを用いた鋼床版上の舗装撤去

添接部に残ったアスファルトの剥取りと完了状況


ショットブラストの施工状況と完了状況


 舗装の施工について、従来伸縮装置の後打ちコンクリート部と、舗装基層の境界部の締固めはローラーによる機械での締固めが難しく、従来振動コンパクタなどを用いた人力に頼っていたが、この現場においてはひと工夫加えることで機械による連続的な締固めを可能にし、舗装品質と施工性を向上させている。


舗装基層(左)、表層(右)の施工状況

区画線設置工施工状況


 その後は鋼床版部、RC床版部とも表層施工(40mm)を行い、完成とした。

 元請はNIPPO。一次下請はサンユウテック(WJなどはつり工)、フタミ(ショットブラストなど研掃工)、熊川工業(舗装工)、センター機材(カッター工)、九州ヒノデサービス販売(鋼製伸縮装置工)、西日本とび機工(補修足場工)、日本鉄塔工業(伸縮装置撤去工、SJS-H施工)、九州ニチレキ工事(床版防水工)、グリーンアーム(IH式舗装撤去工)、オーシャンロード(路面切削工)、日本ディックライト(区画線工)など。

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