道路橋床版の高耐久化を求めて~床版の革命的変化を追求した半世紀~
7.2 現場床版の補修工事の報告
落合橋の現場視察から数十日後、大阪府の技術担当者から写真が多数送られてきた。彼らも現場状況は危険であると思ったので、ショーボンド建設㈱大阪支店(以下、SBという)と対策を検討して、このひび割れ部分を含む長さ4mの2本主桁間のコンクリートを斫り、超早強コンクリートで打ち直したとのことであった。事前にこの対策の話が無かったので、少し不満があったが、迅速な対応と工事者が信頼のおけるSBが行ったので承認した。これらの補修箇所の上面に防水工も施工されていた。担当のSBによると、舗装のひびわれが発生していた箇所でブレーカーを当てた瞬間、コンクリートが落下して破壊寸前であったと言われたとのことであった(一連の工事写真を7-4~7.18に示す)。これらの写真で分かるように、きっちりと工事は行われていて手抜きは見られなかった。
写真7.4 工事記録―工事開始時の現場 / 写真7.5 同―床版上面の舗装ひびわれ状況 /
写真7.6 同―床版下面の遊離石灰の沈着状況
写真7.7 同―舗装の切断状況 / 写真7.8 同―舗装除去後にコンクリート面の状況(泥と砂利に変化している)/
写真7.9 同―ブレーカーでコンクリートを除去(鉄筋は健全)
写真7.10 同―床版下面での型枠設置 / 写真7.11 同―コンクリート残存面に接着材塗布 /
写真7.12 同―超早強コンクリートのスランプ試験
写真7.13 同―超早強コンクリートの打設 / 写真7.14 同―表面に養生材塗布 / 写真7.15 同―表面に防水塗膜塗布
写真7.16 同―舗装接着剤塗布 / 写真7.17 同―アスファルト舗装設置と転圧 /
写真7.18 同―完成後の床版下面(綺麗な仕上がりと評価できる)
写真7.8はあの楕円状にひび割れていた舗装を除去した時の写真で、西川室長が言われたように、土砂と砂利が詰まっていた。多分工事の時には溜っていた水が抜けて泥が土砂になっていたと言える、写真7-9で分かるように斫り後の鉄筋には錆は若干発生しているが、減肉箇所は無く非常に健全であった。後日、建設当時の府の職員とお会いしたが、その人は、この箇所にミキサー車からコンクリートを流し落としたのでバイブレーターがかかっていなかったと想いますとの訳の分からない弁明をされていた。そんなことは絶対にないと言いたかったが、無言で別れた。
(次回は『阪神高速道路公団の研究支援によるRC床版へ 水の影響度研究』をお届けします。 )