識者連載
元気なインフラ物語
6. オワコンとは?
オワコンは、脱炭素対策や環境負荷の低減に役立つ新しいタイプの建設材料です。名前からは「終わったコンテンツ」という意味が連想されるかもしれませんが、実際にはこれからの建設業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。このオワコンは、水を透過する性質を持つ透水性コンクリートで、いわゆる「生コンクリート」を改良して作られています。従来のコンクリートとは異なり、施工時の流動性は必要とされず、普通の生コンクリートのように流動性を精密に管理する必要がなく、より多種多様な材料を使用できる柔軟性があります。
オワコンの大きな特徴は、その環境に対する優しさにあります。通常のコンクリートに比べて、製造過程での CO2排出量を削減できるとともに、ゴミを利用して製造することができるため、リサイクルや廃棄物の削減にも貢献します。さらに、保水性がありヒートアイランド抑制効果も大きいでしょう。
オワコンの実践例として玉名市での成功事例が紹介されました。玉名市では、地域住民の高齢化と労働力不足が進む中で、日常的な除草活動が困難になっていました。オワコンを防草対策に使うことにしたのです。オワコンによる簡易舗装の導入によって、除草の手間を省き、維持管理の省力化を実現できたのです。オワコンはただの建設材料ではなく、地域社会のニーズに応え、地方自治体にとって効果的な解決策を提供していけるポテンシャルを有しています。
(左)写真4 玉名市の法面に施工されるオワコン(撮影:細田)
(右)写真5 オワコンの機械化施工を指示する木下(撮影:細田)
オワコンはさまざまなポテンシャルを持っています。従来のコンクリートとは一線を画すその特性により、これからの建設材料として注目されており、持続可能なインフラ整備や環境問題の解決に向けた重要な一手として位置付けられているのです。そして、オワコンを巡る議論からは、新しい形の材料開発が、いかに社会や環境に良い影響を与えるかが示唆されました。(次回は6月中旬に掲載予定です)