新しい時代のインフラ・マネジメント考
⑳「インフラマネジメント戦略小委員会」が発足

植野インフラマネジメントオフィス 代表
一般社団法人 国際建造物保全技術協会 理事長
植野 芳彦氏
1.はじめに
今年も早1ヶ月が経過しました。まだまだ寒い日々があります。昔と比べ、寒さが一段と応えます。みなさん年度末でお忙しいでしょう。私も忙しくほとんど休みがない。スケジュールが詰まっている。問い合わせも相談も多い。
国では、新たな委員会が始まりました。「インフラマネジメント戦略小委員会」です。蒼々たるメンバーで、私など末席でビビってます。(笑い)審議会の下なので急いで諮問に関する答えを出さないといけないようです。ということはこれまで言ってきたように、インフラ問題は、予断を許さない状況に来ていると言うことです。
2.新たな委員会
昨年の八潮の事故後の対応として、1月30日「インフラマネジメント戦略小委員会」が発足した。これは皆さん、新聞などでご存じだと思う。そして、事前にHPで告知されていたので、傍聴された方もいるだろう。私にも、事前に問い合わせてきた方もいる。
そういう熱心な方もいれば、群マネを、まだ知らない人たちもいる。これはどうなっているのか、世の中まだ点検さえしていれば良いと思うのが多いのではないか?
まがりなりにも、専門家の世界でもそうなのだから、一般の方々が理解はできないであろう。せめて専門家はアンテナを張らなければならない。
昨日も、依頼された講演をしてきた。ここのところ講演の依頼も多い。個別の相談も多い。しかし意外と身近な方々はそういうことをしない。では何のために、講習会等を受けるのか?逆にこれが私の疑問である。実はCPDのためであるというのが多くの講習会の実施体での考え方である。CPDは継続教育のための物であるはずである。では継続教育とは何か? CPDのポイントだけ取ればよいのか?
本来の教育とは違うだろう。決められた制度なので、したがうのだろうが、それではマネジメント思考などできるはずはない。まあ、点検等という作業に特化した知識を得るためと割り切るのならばそれでも良いかもしれないが。
個人個人で考え方が違うので何とも言えないが、私は情けないと思う。本来資格習得も、CPDも自己実現のためであるはずである。本当に必要ならばそれは大いにやるべきである。ただ、安易にしてほしくはないし、資格ビジネスに巻き込まれてもいけない。
まあ、資格ビジネスと言っても我々の世界は、そんながめつい実施者もいない。
最近考えるのはこの点検であるが、点検は重要である。しかし現在の手法は表面を見ているだけである。それでどこまでわかるのか?それで、診断する。正しい診断はできているのか?おそらく多くの方々は、こういう状況になってから点検をやっている。いややらされている。そもそもが、造った経験もない者が、破壊実験をしたこともない者が、表面のひび割れを見ただけで、構造物の状況を理解できるはずはないのである。

これがまずは、今の制度の弱点である。点検の資格を取得したからと言ってそれで分かるはずもないのである。どれだけのものを診てきたかが重要になる。
皆さんいろいろ難しいことを言うが、すべてをやるのは個人でも組織でも無理がある。それぞれの役割分担がある。何でもわかっている、はずの大手コンサルでも「行政経験」がある方は少ない。最近中途で公務員をやめた方を採用してはいるが、数はまだまだ少ない。これは日本という国が、民と官を言ったりできるシステムがなかったからである。個人的にやれば私のようにかなり損をする。今の日本の制度では、退職金も下がるし、年金も下がる。下手をしたら退職金は出ない。だからといって、長くいればよいと言う者でもない。様々なキャリアを積む必要がある。自己実現に向かうにはどうしたらよいかというのも当然考えるだろう。
これも、マネジメントで一番重要な部分である、「判断」「決断」の部分の経験がない。インフラマネジメントにおいて、判断決断をするのは一番重要であり、これができなければ、マネジメントにならない。この部分を勘違いしている方々がいるが、公共物という物の判断は民ではできないのである。権限がないのである。
今、群マネが旬であるが、これをやるには十分な協議が必要である。まずは官側の意志である。何をどうやろうと言う意思がなければ、できない。できないと言うよりも何をやったらよいかわからないはずである。そして協議をして決めていかねばならないが、どうも大手コンサルの中には単なる、「行政支援」のつもりでいるところがあるようである。それではうまくいかない。「お任せ定食」となってしまう。行政側は、「ラーメンが食いたい」(山口県の中越君の売り言葉かります!)のかもしれない。これでは、出来上がったものでは満足はできない。意思決定は、行政側の仕事であって、いくら大手でも優秀だと思っていても、民間側の仕事ではない。さらにはその後には、政治決定というものがある。行政は行政で、最終的には思い通りにはならない。政治的判断が入る。

これが理解できていない方々が多い。そしてそれを行うには、責任や覚悟が伴うわけである。最近、選挙があり驚くべき結果となったが本来責任をとれない人間がリーダーになるべきではない。政治家を志すならば、責任は取らなければならないはずであるが、30年間も政策ミスを続けていればうやむやになるのか?
官と民との役割分担ができてこそ、マネジメントはうまくいく。
3.マネジメントと責任
インフラ・マネジメントを行う上で、私が感じているのは、この国ではこれまであまりマネジメントというものを意識してこなかったと言うことである。妙に細かいことにこだわり、重箱の隅をつつくような議論はするくせに、大局的なマネジメントという考えがない。だから脆弱な構造物を大量に作り苦労しているわけである。いやいや本当の苦労はこれからである。
マネジメントとは決断の連続である。そしてマネジメントには責任が伴う。責任が取れない方々はやらないほうが良い。もっとも、この国においては責任を取るべき人たちがとらないシステムにはなっている。恥ずかしくないのか?
EBPMというものがある。これを良く売り込みに来る。「わが社のEBPMシステムは・・・」というものだが、それは間違っている。EBの部分はできたにしてもPMのところは、役割分担として官の分野である。EBだけでできたつもりになっていると言うことである。反感も持つだろうが、そうなのである。「あなたに責任は取れますか?」といいたい。
つまり、PMの部分がわかっていない。民間側は自分たちはできていると勘違いしている。しかし、本来は官庁側でやってこそPMなのである。この役割分担である。いろいろやっていると、官側で決定した事業に関して文句を言ってくる者が居るが、これはおかしな話である。そういうとこれもまた批判の対象となるであろうが、政策決定事項というのは熟慮、議論したうえでの判断であるはずである。民主主義の現在ではほとんどの物が議会承認を経て実施されている。行政側の判断と、議決前であれば批判も反対意見も有効であるが、動いてしまうと結締事項なのである。最近の世の中では当然の権利と思っていたりするが手続きの順番が違う。途中で中止させて喜んでいる連中もいるが、本来はその損失や財政負担はどうするのか。個人で責任が取れるのか。また安易に選挙をやろうとするものも多い。これにも税金が使われている。いったい1回選挙をやればいくらかかるのか?わたしは、表には出てこない実際にかかる費用と労力の無駄を感じる。様々な事務費や、職員の経費、労力・・・当たり前だと思っているかもしれないが、これだってコストである。選挙を一回やれば、一つの自治体では橋が1橋かかってしまう。
「公物管理法」というのも、今後重要になってくる。我が国ではこれに関する責任も安易であった。マネジメントはなぜ必要かというと、本質を見て、リスクを見極め、先見性を持って対処することである。どうも、役割分担が不明確になり様々な問題が起きているように思う。権限があれば責任があると言うことも重要である。
4.まとめ
今回は気になっていることを書いた。しかし何かがおかしい。
わたしが長年言い続けてきたことが日の目を診つつある。かつて多くの方々に批判され馬鹿にされてきた。しかし、世の中は変わってきた。事故が止まらない。今後はさらに増加するであろう。責任を取らないマスコミにはさんざん批判された。「トリアージなんてとんでもない。」「補修オリンピック、ネーミングが悪い。」「診断協議、診断はコンサルがやっている。」・・・・
わたしが言ってきたのは、マネジメントの重要性である。マネジメントを行うために個々の施策が必要である。いわば戦略と戦術である。どうもこれがわからなかったらしい。マネジメントを実行していくには様々な手法を駆使していく必要がある。どうもそこからわからないらしい。そういう方々にはマネジメントは無理である。平和ボケしているのである。しかし、日本のコンサルやゼネコンの生い立ちを見てみると、仕方がない。手足をもがれ、爪や牙も抜かれている。取り戻すのは大変だろう。
今、昨年度の確定申告書を作成中であるがこれもどうも経費のほうが掛かっている、一応の経営者としては失格である。ただ、誰を雇っているわけではないのでその点は楽。今後は採算が合わない仕事は断らなければ身が持たない。何よりも、歳である。
写真や図もよく要求されるが、これも現役でないので使ってよいという権限もなくなっている。写真や図が無くてもご容赦ください。今年の年賀状を見ると多くの人が、「これで年頭のあいさつはご遠慮する」と書いている。なるほどなあ!
現在、結構、様々な依頼があり、体力的に疲れてしまうし、重なってしまいダブルブッキングも増えてきた。WEBだとおもったら対面だったりその逆もある。これからは、仕事をトリアージしようと考えている。
みなさんの健闘をいのります。






