コンクリート打設は失敗から学ぶ

コンクリート打設は失敗から学ぶ
2025.02.01

④危険な横方向ひび割れ

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生産性向上 コンクリート打設は失敗から学ぶ 維持管理
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材料選びと施工を考えていけば良いコンクリートとしてイメージに近いモノとなる

 ここで、何故、多くの技術者が高スランプを好み、または採用するのか不思議に思う方もおられると思います。おそらく発注側としては人手不足解消や効率化を意図しての高スランプ化だと思うのですが、現場としては別の思惑があると思います。施工者が高スランプとしたい思惑は、施工者自体に密実・高品質とするノウハウがなく、硬いコンクリートと比較して高スランプは施工性が向上し、熟練労働者がいなくても少ない人員で綺麗に仕上げやすいからだと思います。

 実は私にもそうした経験がありましたので、失敗談としてお話します。私が社会人1年生の時、どのようにしたらコンクリートを綺麗にできるのか、最初に考えたのは高スランプに変更することでしたが、材料単価が上がるので出来ませんでした。そこで今では考えられませんが、スランプの上限要求、さらには加水してシャブコンとして施工しておりました。すると真っ白で不具合が少ない仕上がりとなる経験を積みましたので、良かれと思ってスランプの上限要求や加水が常態化しておりました。当時、周りはどうであったかと言うと、土木・建築ともにビックプロジェクトでさえも加水は日常的に行われていましたので、全国的に同じ状況だったと思います。付け加えますと、当時は大雨でも生コン打設する現場が少なくなかったので、そうした時代の駆体はひび割れがとても多いように感じます。

 コンクリートは単位水量・単位セメント量が多いとひび割れリスクが高いはずですので、高スランプで施工して綺麗だとしても、それをもって品質が高いという訳ではないだろうと思います。ただし、綺麗なコンクリートを構築する技術を知らなければ、その先の技術に挑戦するにも難しいかと思いますので、まず綺麗なコンクリート構築が高品質化・密実化のはじめの一歩だろうと思います。そして綺麗な駆体を構築できるようになった後、ひび割れを少なくする材料選びと施工を考えていけば良いコンクリートとしてイメージに近いモノとなるのではないでしょうか。

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我が国にいまの形での働き方改革が必要なのか

 近年、現場では効率化、働き方改革等で品質向上の声があまり聞かれなくなったように思いますが、やりたくても人も時間もお金もないといった苦しい現状があるからだろうと想像しております。

 現場の技術力は長年継続して世代を超えて継承するのが最も効率的だと思いますが、もし技術継承が途絶えるとマニュアル通りの施工と追い込まれ、マニュアルは品質の底上げまでが記載されていると思いますので、そこから高品質とするには技術継続するコストの何倍も努力と時間が必要と思いますが、その技術継承が難しいこの建設業の今後は、将来的にストック効果を発揮できないモノが多くなると感じております。

 ここ数年、全国のあちこちでコンクリートを見て回っていますが、技術継承が途絶えかけているように見えて残念です。

 ここで、話しは変わりますが17年前の個人的経験を紹介したいと思います。当時、海外企業の巨大建築物を造る現場へ配属された時、その企業がコンクリート打設に関して特別な思い入れがあって、そこで開催されたコンクリートの講演を一度だけ聞いた事があります。

 その企業は耐久性について重きを置いており、小樽港の廣井勇博士の事例を紹介し、「建築でも可能な限り低スランプとしたい、この現場では柱のコンクリートはスランプ8cmで施工して欲しい」と言われ、元請けは驚いていましたが可能な限り要望に従いスランプ8cmで施工した結果、仕上がりはとても良かったようでした。当初、現場ではスランプ15cm程度を使おうとしていたと思いますが、発注者はスランプ8cmで指導していたので、海外と日本で何か違うのかと不思議でした。その海外企業が地震の少ない地域で配筋量が少ない駆体を施工するなら、さらに低スランプで梁やスラブも施工できるか挑戦するだろうと思うことから、長期耐久性が日本より圧倒的優位であろうと想像しております。

 私達は建設業で国を豊かにするのが使命だと思いますので、基準にとらわれず、良い事は協議し在るべき姿を追求できたなら物づくりの楽しさや業界の魅力が感じられるのではないでしょうか。

 先ほど紹介した巨大建築物の現場において、私はコンクリートの工程にほとんど関係せずに工程管理や雑用を引き受けていましたので、土日なし、早朝から夜中から朝方まで私の持ち場は現場で重機を休み無く動かす異常な状況で働いておりました。そこでは圧倒的な仕事量のために品質に割ける時間はほとんどなく、多くの業者から私の担当の仕事とは無関係な事でも相談の電話で午前中だけで着信履歴が全部更新されるような事もありました。そんな大変な現場でもそれなりにやり甲斐を感じて楽しかったものです。

 そのような現場は今、ほぼ無くなったかも知れませんが、働き方改革で残業はあまりできませんし、圧倒的な人手不足となれば時間のかかる技術継承はやりたくても出来ず、今まで以上に書類業務に追い込まれていくだろうと想像しております。

  我が国にいまの形での働き方改革が必要なのか、必要な人はそれなりの待遇とし、働きたい人には働ける環境を与え、常に選択ができるようにすれば良いと個人的に感じております。そもそも私たちが若い頃、建設業に不満だったのは休みがない事もですが、それ以上に残業時間を無償で働いていた事であり、正直に働くモノが損をする不条理があって魅力を感じなくなったモノだと認識しております。

 建設業の地位が低すぎて人が集まらないのであればそこを改めるべきだと。

  今回もお付き合いくださりありがとうございました。

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