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2025.04.17

首都高速 2025年度は高速道路事業に2951億円を計上
ETCの広域的なシステム障害への対応「速やかにバーを開くなどのオペレーションを行う」 

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 首都高速道路(寺山徹社長、右写真は井手迫瑞樹撮影)は16日、社長会見を開催し2025年度事業計画の概要を発表した。高速道路の新設、改築事業として、新大宮道路(与野~上尾南)、新京橋連結路などの新設、改築に178億円、日本橋区間、東品川桟橋・鮫洲埋立部、高速大師橋の大規模更新に793億円を計上した。さらに高速道路の維持・修繕として首都高速道路327.2kmの維持、修繕に1,564億円、大規模修繕などに415億円を割く。とりわけ新京橋連結路事業は今年度から本格化していく状況であることや、労務費の増額などが大きな増額要因となっている(以下、図写は首都高速道路提供資料より抜粋)


 日本橋区間地下化事業は、高速八重洲線の通行止めを4月5日から開始、高速八重洲線トンネルの一部改築を伴う、本格的な地下化工事に着手する。同区間は将来の地下化ルート(トンネル)と干渉する都心環状線の既設橋脚を事前に撤去する必要があるが、交通の流れを止めずに撤去が行えるよう仮受け橋脚工事を開始した。現在は浚渫工を行っている。
 寺山徹社長は同事業の意義について「日本橋の地下化により地上部の価値向上につながる」と強調すると共に、「トンネルの上には日本橋川や文化的価値の高い江戸城の石垣なども存在しており、それらへの影響も防止せねばならず、首都高速道路が行う都市土木としては1、2を争う難工事であると共にやりがいのある工事である」と述べた。とりわけ仮受け橋脚の工事は既設橋脚との離隔が最小で1m程度しかなく、非常に慎重な工事が要求される。


 東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業は、2025年内の更新下り線完成に向けて、完成済みの更新上り線と東京モノレールに挟まれた狭隘な空間で更新下り線工事を進めている。東品川桟橋部、橋脚・橋桁、床版の設置が完了、高欄・落下物防止柵工事を実施している。鮫洲埋立部は舗装工が完了しており、付属物工事が進んでいる状況だ。

 同工事については、更新線の工事は終盤を迎えているが、今後難しい工事が予想されるのが、う回路の撤去工事である。更新線と隣接する建物との狭いヤードに挟まれた箇所であり、撤去時は細心の注意が必要となる。


 新大宮上尾道路(与野~上尾南)新設事業は、用地取得を実施すると共に、与野JCT部では入口部の橋桁の設置が完了し、床版工、高欄工などを実施している。さらに出口部は擁壁工が実施されている。擁壁工と既設の路線接続部は高架構造が予定されている。


 ETC専用入口の拡大も進める。更新時期を迎えた料金所のリニューアル工事を順次開始し、工事完了後はETC専用入口として運用を開始していく。リニューアル工事は40日程度の通行止めを伴うため、通行車両などへの影響が極力少なくなるように、隣接する入口は同時に工事を実施しないなどの対策を取る。25年度には現在の35箇所に加え、新たに55箇所のETC専用入口が設置される予定だ。

 リニューアル工事は5月25日20時以降、1号羽田線(上)鈴ヶ森、3号渋谷線(上)高樹町、9号深川線(下)福住、湾岸線(西)臨海副都心、湾岸線(西)三渓園の5箇所で開始、以降6~9月に20箇所、10~12月に15箇所、25年1~3月に15箇所で施工する。


 同工事は入口通行止めにより2レーンを道示に施工し、40日程度で1つの料金所の工事を完了させていく。料金所ブースおよび一部の連絡階段の撤去に加えて、ETC設備のリニューアル、遠隔対応設備の整備など、多岐にわたる工事を実施していく。


 今般、中日本高速道路管内で生じたETCの広域的なシステム障害については、NEXCO中日本等の障害への検証や対応を見定めつつ、そうした事態が生じた際の、緊急対策を含めたマニュアルなどの整備について検討していく方針だ。「当社は過去に、大雪の際に大きな車両滞留を生じさせてしまった苦い体験がある。基本的には渋滞や滞留を発生させないようなオペレーションを考えており、速やかにバーを開くなどのオペレーションを行っていく」(寺山徹社長)と述べた。事後の料金収受については「今後の有識者の議論を見極めていきたい」(同)とした。

 社会インフラサポート事業としては、首都高グループの有する技術・経験・ノウハウを他事業者に展開していく3NEW(新分野・新顧客・新地域)を引き続き進めていく。EPSフラットブロックとEPSスロープ、軽量土嚢&ゴムマット、ゴージャッキ。F-DECKなどからなる首都高防災セットの販売に着手した。防災セットは数十万~数百万と割高ではあるが、「救急など多用途でも引き合いがあり、構成内容などを見直したうえでユーザーニーズに対応していく」方針だ。


 また、新たに北海道エアポートと同社が管理する7空港の維持管理に係る相互協力に関する基本協定を締結し(2025年3月)、インフラパトロールを空港分野へ初めて導入(2025年4月)した。今後は、首都高側は「都市高速道路の維持管理」、北海道エアポート側は「積雪寒冷地域における空港の運航管理」など、保有する技術・知見を活かし、両社の維持管理の効率化・高度化を共に目指ていく。

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