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2025.04.24

NEXCO中日本 ETC大規模障害の原因は送信データ蓄積によるデータ破損
プログラムは速やかに改修し、当面の対策を実施

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 中日本高速道路は22日、「広域的なETCシステム障害発生時の危機管理検討委員会(第2回)」を開催した。ETCシステム障害の原因としては、深夜割引の料金の見直しのためのシステム内にある広域管理システムから地域管理システムの間でデータ配信をする際に、送信済みの宛先データを消去するための機能が装備されておらず、消去できずに送信済みのデータが蓄積し続け、領域外のETCカードの判定データに侵食し、データ破損を引き起こしたものと特定した。当面の対策としては、今回の広域的なETCシステム障害の原因となったプログラムを速やかに改修するとともに広域的なETCシステム障害に対する復旧体制の構築を行うとしている。

左から久保謙吾氏(西日本高速道路 危機管理防災担当部長)、中西規祥氏(東日本高速道路 管理事業本部 本部付部長)、村上修一氏(中日本高速道路 社長COO付防災担当部長)、佐々木拓次氏(中日本高速道路 保全企画本部 営業管理担当部長)、藤村宏之氏(中日本高速道路 保全企画本部 施設担当部長)

 原因となったデータ破損だが、ETC料金の課金データは、既存のシステムを活用して送信されており、ETCカードの取り扱い是非を判定するためのデータは、深夜割引の見直しに向け構築中のシステムを活用して配信されていた。

 ETCシステムでは、ETCレーンでの即時判定により円滑な通行を確保するため、当該ETCカードが使用可能かの判定に係る個々のETCカードのデータを、日々各料金所のサーバに送信している。各システム間のデータ送信にあたっては、送信毎に、各システムにおいて、どのシステムにデータを送信するかの「宛先データ」が生成され、 セットされる。送信データは「宛先データ」と「ETCカードの判定データ」で構成され、 通常、毎回の送信後に宛先データは破棄されることとなっている。今回、「広域管理システム」から「地域管理システム」への配信の際、「広域管理システム」に「宛先データ」の消去機能が 装備されていなかったことにより、「宛先データ」が消去されずデータを圧迫され、「ETCカードの判定データ」が破損。その結果、破損した「ETCカードの判定データ」が、各料金所サーバに送信され、正常なETCカードの一部についてETC通行不可の判定がなされてしまった。

   


 データ破損のメカニズムを実証すべく工場にて再現試験を行った結果により、同一の破損状況の出現が確認できたことから原因が判明した。

 現在は応急復旧として、「広域管理システム」から「地域管理システム」への配信を手動で配信の都度メモリーを消去している。 なお、深夜割引の見直しに向け構築中のシステム内にある「宛先データ」の消去機能が装備されていなかったのは中日本高速道路のシステムのみであり、東日本高速道路、西日本高速道路のシステムには実装されている。

 さらに料金所におけるETCレーンの運用に関しては、ETCシステム障害発生直後は既存のマニュアルに基づき各料金所の判断でレーンを運用していたが、広域的なETCシステム障害時のマニュアルが なかったことから、迅速に適切な対応が取れず、渋滞等の交通障害が発生した。また、出口料金所の発進制御バーを開放した際、料金表示器のエラー表示による混乱等を避ける観点から、ETC通信を切断し、後日精算とした。 広域的なETCシステム障害が発生した場合には、料金所で渋滞を発生させないよう、速やかに出口料金 所の発進制御バーを上げる対応など、ETCレーンの運用を定める。今回と同様のシステム障害が起きた場合は、出口料金所の発進制御バーを上げるとともに、料金表示器はカバー(目隠し)を設置し、ETC通信を行い続けることで、通常時と同様にETCによる料金徴収を行うとした。

 当面の対策として、広域的なETCシステム障害が発生した場合にはあらかじめシステム障害を疑う目安(同一支社管内の複数の料金所(2箇所以上)で、1箇所当たり異常停止車両が30分間に10台発生)を設定したうえで、迅速かつ組織的に対応できるようにするとした。(発表した5項目の対策は以下の図を参照)


 また、発生から応急復旧までに38時間かかったことに関し、広域的なETCシステム障害に対する速やかな復旧体制が確立ができなかったこと、システム改修時に広域的な障害が発生することを想定した備えができていなかったことを課題としてあげ、システム障害の発生時において、迅速に障害発生状態をチェックし、応急復旧できるよう、あらかじめグループ会社に加え、ベンダーとの間でも24 時間の連絡体制を確立すると述べた。特に、システム改修時には、現地作業日程及び内容を関係するベンダー間及びNEXCO3社で共有し、速やかな早期復旧体制を確保するとした。 今回の広域的なETCシステム障害の原因となったプログラムについては、速やかに改修するとともに深夜割引の見直しなど今後のシステム改修時には、システム障害発生に備え、作業時間外(休日夜間)においても速やかな原因究明および応急復旧が図れるよう関係するベンダーによる体制構築を行う。



 今後の委員会のスケジュールとしては、6月中を目処に再発防止策のとりまとめと広域的なシステム障害への危機対策マニュアルの策定を行う。

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