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2025.06.12

土木学会 DEI行動宣言を公表
相互に多様性を尊重し、魅力的な土木界を目指す

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 土木学会(佐々木葉会長)は、5月16日の理事会で「土木学会DEI行動宣言」を正式に決定し、6月4日にその内容を公表した。この宣言は、2015年に発表した「土木学会ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)行動宣言」を基に、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂性(Inclusion)という価値観のもと、土木学会とその会員が進めるべき具体的な行動指針を明確に示すものとなる。



 土木学会は2015年の宣言以来、D&I推進に積極的に取り組んできたが、社会におけるD&Iに関する理解が深まる中で、活動内容の見直しが必要となったと話す。そこで、2024年度に設置された「土木学会の風景を描くプロジェクト」の一環として、「D&I行動宣言フォローアップWG」が2015年の宣言の改訂に向けた活動を開始。WGによる改訂案は、理事会での議論を経て、5月16日に正式に承認され、新たに改訂された「土木学会ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)行動宣言」として公表された。


 改訂された宣言では、DEIの定義を示した上で、土木学会及び会員が取り組むべき3つの柱として「認め合う」「発揮する」「育つ」を掲げ、それぞれに具体的な内容や取り組みが記されている。


 まず一つ目は「認め合う ~多様性を尊重し、ちがいを認め合う~」であり、質の高い社会基盤を整備するために、エンドユーザーや整備を担う技術者、専門家は多様であることの認識を深め、相互に多様性を尊重し、ちがいを認め合うことが重要とされる。次に「発揮する ~多様な人材が参画し、自らの能力を発揮する~」であり、社会基盤へのニーズの多様さと変化に対応するよう、マイノリティ当事者を含め、その整備に関わる主体の創造性・柔軟性・問題解決能力などを高め、社会に貢献することを目指す。最後に「育つ ~多様な人材や組織が自ら育ち、魅力ある土木界をつくる~」であり、土木界を担う多様な人たちが土木界に魅力を感じて関わり、自律的に成長し、その能力を発揮できるよう、人材と組織が成長する取り組みを進め、魅力ある土木界をつくることを目標としている。

 主体別の取り組みとして、土木学会の役員や各組織は本行動宣言を率先して実行し、多様性の向上(ポジティブ・アクション)や意識啓発、交流・情報共有の機会拡大を通じて、土木学会および土木界全体のDEI推進を牽引する。会員一人ひとりも、あらゆる場面でこの行動宣言に基づき、主体的にDEI推進に取り組む。DEI委員会はその核として、各組織の実践状況の把握や支援、学会内外への情報発信、議論やネットワーク形成の場づくりを担う。さらに、産業界や行政機関、教育研究機関など土木に関わる多様な分野においても、組織のDEIマネジメントや当事者参画の促進、多様なエンドユーザーに対応した制度・仕組みづくりなどを掲げている

 会見の中で佐々木会長は、「先日公表した『JSCE2025』を検討した際、『DEI』は外すことはできないだろうということで入れていただいた。どのような組織も、従来のメンバー、従来の議論のままでは、様々な問題に気づきにくい。多様な経験、多様な視点が適切な運営を行う際には不可欠なのではないかと思う。まずは、現状を正しく認識していくことからはじめたいと考えている。また、『DEI』に関してさまざまな認識の差がある中で、今回「Equity(公平性)」を明確に含めたことの意義を広く理解してもらうため、学会誌などを通じて積極的に発信していくことができれば」と述べた。

 

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