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2024.09.15

阪神高速 喜連瓜破高架橋鋼桁が閉合
桁長39m、幅員約19m、重量330tの桁を自動多軸台車で100m運搬し、8m吊上げて架設

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 阪神高速道路は、2024年9月14日夜から15日未明にかけて、阪神高速14号松原線喜連瓜破付近橋梁大規模更新工事における中央ブロックの架設を行い、無事閉合させた。桁長39m、幅員約19m、重量330tの桁を4+5軸台車を左右に2台並列配置した自走多軸台車に載荷し、ヤードから交差点まで約100m運び、交差点で90°回転、架設予定地に到達した後、左右の架設済みの鋼桁端部に配置している4基ずつのジャッキ(能力は1基当たりの最大吊り上げ能力150t)で8m程度吊り上げた。約1,500人のギャラリーが見慣れたPC橋から鋼橋に生まれ変わる瞬間を見守っていた。同高架橋の更新工事は今後橋面工および舗装工に移っていくが、事業はスムーズに進行しており、2025年3月の供用を1~2か月程度前倒しできる見込みだ。(井手迫瑞樹)

 同橋は、橋長154mのPC3径間連続箱桁(中央にゲルバーヒンジを有していた)を新たに同橋長の3径間連続鋼床版細幅箱桁橋に架替える工事である。旧橋は経年と共にヒンジ部付近で垂れ下がりが生じ、PCケーブルで補強するなどの対策を重ねたが24cmの沈下を生じたことから架け替えることになった。架替えにあたっては、府内有数の交差点が直下にあることから安全性を重視し、本設桁とほぼ同様の耐震性を確保した仮設桁を本線上に架設し、足場上に厚く養生を施し、撤去時の震動や粉じん、騒音を防止しながら施工した。既に撤去、橋脚の改良、側径間の送り出し架設(これも単なる送り出し架設ではなく、自走多軸台車を用いて引き出す形で架設する工夫を行っている)を完了し、本日は事前にヤードで大型クレーンを使って上下4車線分の巨大なブロックを自走多軸台車上に組み、21時からの夜間架設を待った。


移動前の中央ブロック、常設足場で箱桁が覆われている

この空間も見納めである


 21時に交通規制を完了後は、自走多軸台車を安全に走行させるための平坦性の確保と舗装の養生のための敷き鉄板を設置し、同時に走行に支障となる信号機を仮撤去した。22時半から自走多軸台車の運搬を開始した。自走多軸台車の載荷重量は桁本体が330t、治具などを含めると約500tもの重量である。そのため慎重にゆっくりと確実に移動していった。交差点に到達後は、実際の橋の線形に合わせるため、桁を90°回転させ、所定の位置に据え付け、24時過ぎに吊り上げを開始し、25時過ぎには吊上げを完了して桁の接続作業を開始した。吊り上げ桁と左右の架設済みの桁の隙間は左右40mm程度しかなく、それをさらに40mmセットフォーして離隔を20mmずつに縮めたうえで、仮添接を行っている。


移動開始 / 離隔30cmしかないところを慎重に抜ける

ヤードから交差点に向けて移動

交差点に到達すると桁を回転させていく

回転を完了させ吊上げていく

吊上げがほぼ完了した状況


 同橋には箱桁の周囲に点検のしやすさ及び防食性の向上を兼ねた常設足場を、鋼桁のほぼ全長に設置しているが、これは同社で初めての採用ということだ。また、鋼床版は疲労耐久性の高い高性能鋼床版を採用している。さらに鋼床版上面の添接ボルトは通常の高力ボルトより凹凸の少ない皿形状のボルトを採用しており、舗装の耐久性向上も図っている。

 同工事は大成建設・富士ピー・エス・エム・エム ブリッジのJVであるが、鋼桁の架設はエム・エム ブリッジが担っている。(10月下旬に詳細版記事を掲載予定です)


午前4時過ぎ、自走多軸台車も退出し、高所作業車を用いた作業が続いていた

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