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2025.02.02
首都高速道路 高速八重洲線の長期通行止めを2025年4月上旬から10年ほど実施へ
シールドトンネル施工のための仮受け橋脚は10基 既設橋脚との超近接施工

今年度内に仮受け橋脚の施工に着手
KK線は廃止
①新設・更新事業などの進捗状況では、まず、日本橋区間地下化事業について説明した高速八重洲線の通行止めの他、将来の地下化ルートと干渉する橋脚を撤去する仮受け橋脚の施工に2024年度内から着手する。新たに建設するシールドトンネルの外回り線が現在の橋脚と干渉した箇所にあるため、それを撤去するために仮受け橋脚を設置するもの。仮受け橋脚はシールド工の掘進により、既設橋脚を撤去する直前から、トンネル供用後の既設桁撤去までの期間を支えるためのもの。既設橋脚とかなり接近しているため、変位を細かに管理しながら施工する必要がある。
仮受橋脚とは全部で10橋脚を予定しており、既設構造物との離隔(近接)は、最低1m確保する必要があるが、かなりの近接施工であり、様々な安全対策を施さねばならない。一方で新設と同様の耐震性も必要であり、ある意味新設以上の難工事といえる。
地下化工事に伴い、高速八重洲線のトンネルを一部改築する必要があり、都心環状線と八重洲線の分岐部、地下で八重洲トンネルを改築する必要があるため、八重洲線を通行止めし、同時に東京高速道路(KK線)は廃止する。
新京橋連結路 八重洲地区の開削トンネル工事を年度内に契約
新大宮上尾道路 桁架設などが順調に進捗
新京橋連結路については、都心環状線と八重洲線を2本のトンネル構造で結ぶ連結路である。シールド工法で掘進していく構造であり、令和6年度に東京都と共同で事業化している。現在はボーリング調査に着手、用地測量や建物調査を進めている。東京駅の八重洲口にほど近い八重洲地区の開削トンネル工事について2024年度内に契約を行う予定。
東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業については、更新下り線の工事を実施中である。東品川桟橋部は、橋脚・橋桁の設置が完了しており、地覆・落下物防止策工などの橋面工を実施中。鮫洲埋め立て部は橋面工が完了しており、今後舗装工を実施する。
新大宮・上尾道路(与野~上尾南)新設事業は、与野JCT北側では用地取得中、与野JCT部では本線高架橋の工事に先駆けた与野出入口の付け替え工事を施工中、橋桁の一括架設、擁壁工、橋台工を順調に進めている。
高速大師橋更新事業は、旧橋の撤去が完了した。今後はスライドに使用した仮設物の撤去をおこなっていく。
ETC専用化 2025年度内に新たに55箇所を追加運用
2028年度には一部の料金所を覗いてETC専用化を目指す
ETC専用入口の拡大、通行止めを伴う料金所リニューアル工事も進めていく。「過去の半導体の供給不足等々で、私どもが進めていたETC設備等の整備に遅れが発生してきたところではあるが、遅れていた半導体の納入が開始され、納入の目処が立ってきたということから、2025年度から新たにETCの専用入口の拡大に着手していきたい」(寺山社長)としており、ETC専用入口の拡大とあわせて、更新時期を迎えた料金所の設備の工事も進めていくもの。
今年の5月下旬からそれぞれの入口を通行止めした上で順次開始する。ETC専用入口は現在35ヶ所で運用しているが、2025年度内には新たに55ヶ所を追加運用する予定でETC専用入口は合計90ヶ所となる。3年後の2028年春までには本線料金所など一部の料金所を除いて、高速道路入口にある料金所についてはETCの専用化を目指していく。
ETC専用化によりメリットとして、寺山社長は「ETC車と現金車の錯綜、あるいは停車発進の繰り返しが削減され、安全性、快適性が向上される効果を期待している。リニューアルにより古いETC機器が新しくなるとレーンの閉鎖機会が減少する」などその効果について語った。
一方で、ユーザに配慮して「インターホン等を整備して、お客様に対する安定したサービスを継続させていく。ETCカードの挿忘れなどで車両停止したお客様に対しては、追加設置したアンテナで、そこで通信処理ができるようにしている」とした。
今年3月に、全線開通10周年を迎える中央環状線については、様々な広報イベントを企画している。
中央環状線全線開通10周年 年間8,200億円の経済効果を発揮
渋滞損失時間や車両事故発生率も2000年比5~6割減少
中央環状線全体では現在、1日33万台のもの交通量を有している。1都7県に対し、年間当たり8200億の経済効果(GRP変化額)を齎しているほか、中央環状線の内輪にある都心部の渋滞損失時間を2023年現在、2000年比で56%も削減させる効果を発揮している。
安全安心面も向上している。中央環状線内側の追突・車両接触事故は、2000年に13.8件/日であったが2023年度には5.8件/日にこれも約6割減少させることに寄与している。
広報・イベントについては1月24日から特設サイトを既にオープンさせている。さらに3月からは特設会場での展示イベントの開催や、参加型イベントとして大橋JCTを舞台とした探検ツアーを実施する予定だ。探検ツアーでは普段見ることができない山手トンネルの喚起諸設備や、中央環状線大橋JCTの屋上に作られた大橋里の杜(グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」を受賞)などを見学できる。
首都高快適走行ビジョン2040を策定
21の柱で2040年には渋滞半減を目指す
首都高快適走行ビジョン2040の策定についても言及した。
寺山社長は、「2015年3月の中央環状線全線開通、それに前後して色々なJCT改良を行ってきたことにより、この4半世紀で渋滞が半分に減少したが、それでも主要渋滞箇所を中心に混雑が残っている」と指摘、「首都圏で事業化されている高速道路網が概成する2040年に向けて、さらに21の柱を進めていくことで、渋滞半減を目指していきたい」と話した。
21の柱は①羽田トンネル付近更新事業、②日本橋区間地下化事業・新京橋連結路事業、③池尻・三軒茶屋出入口付近更新・付加車線増設事業、④渋滞緩和のための機能強化検討、⑤新規路線の検討、⑥出入口の新設・再配置検討、⑦スピーカーなどによる注意喚起、⑧交通安全対策、⑨本線合流部の渋滞対策、⑩高速道路の入口流入制御、⑪ETC専用化の概成、⑫ロードプライシングの導入、⑬様々なサービスとの連携、⑭混雑時間帯の広報、⑮インタラクティブな情報提供、⑯リアルタイム道路交通情報の提供、⑰ETC2.0やナビアプリと連携した情報提供、⑱渋滞予想カレンダーの高度化、⑲AIドライブ支援の研究、⑳インフラ走行支援、㉑交通マネジメント高度化。
更新事業やETC事業など既に着手されているものもある。その一方で新規路線や出入り口の新設・検討など夢のある話も詰まっている。