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2025.10.06

旧晴海鉄道橋が9月19日から春海橋公園遊歩道にリニューアル
小池百合子東京都知事が9月16日に視察

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 中央区晴海と江東区豊洲をつなぐ「旧晴海鉄道橋」が「春海橋公園遊歩道」として生まれ変わり、9月19日から開放された。

「春海橋公園遊歩道」として生まれ変わった「旧晴海鉄道橋」


 「旧晴海鉄道橋(晴海橋梁)」は、東京港における貨物輸送のために整備された「臨港鉄道東京都専用線晴海線」の一部で、1957年12月に完成し、1989年に廃止されるまでの32年間、主に小麦やロール紙など数多くの貨物を運び、都市の発展を支えてきた歴史的な橋梁である。


 橋長190.3m、全幅3.8m。橋梁形式は3径間連続PC桁橋+鋼単純下路式ローゼ桁橋+3径間連続PC桁橋で、日本初の全溶接構造橋となる。主径間である鋼桁部の径間長は58m。下部構造はケーソン基礎およびRC橋脚で構成される。


 廃線後は長らく立ち入り禁止とされていたが、2017年の「海上公園ビジョン」で有効活用が決定した。事業着手前にはサビで赤茶色となっていたアーチ部分を建設当初の塗装色(青緑)で再現。景観に配慮し、遠望からも存在感を意識させない色で転落防止の高欄を設置した。さらにウッドデッキを敷き、一部をガラス床にしてバラストやレール、枕木が見えるよう工夫を凝らしている。


 今回の施工について苦労した点を工事担当者に聞いた。「橋は健全な状況に保たれており、最低限の補修で済んだが、ヤードの確保が特に苦労した点」だという。また、夏場の施工は熱中症対策のため、十分な休憩が必要であるのだが、現場事務所を直近に構えることができなかったため、限られたスペースの中で、足場下の空洞を活用し、休憩所を作って安全に作業できるよう工夫した。


 歴史的建造物ならではの課題もあった。コンクリートの巻立てを過度に行うと元の外観が変わり、重量増による沈下の原因にもなるため、検討は慎重に進めた。「落橋防止装置などの新しく付けた部材が目立たないよう工夫した(右上写真参照)。また、足場を一つ組む際にもできる限り傷つけないよう養生を徹底し、丁寧な施工を心掛けた。この歴史的構造物と真摯に向き合うため、様々な工夫を重ねた」と話した。 


アーチ部分を建設当初の塗装色(青緑)で再現。ウッドデッキの一部をガラス製の床に置き換え、バラストやレール、枕木が見えるように工夫


 「旧晴海鉄道橋遊歩道化工事」に関しては本サイトのインタビュー「東京都港湾局 歴史的名鉄道橋『晴海鉄道橋』が遊歩道橋に生まれ変わる」でも詳しく紹介されている。

 供用開始に先立つ9月16日には、小池百合子東京都知事が遊歩道を視察し、山本泰人中央区長や大久保朋果江東区長も出席した。小池都知事は「旧鉄道橋はかつて物流の要となっていた大切な橋。遊歩道として生まれ変わるまでに多くの工夫がなされた。歴史的建造物としての価値もあり、橋の中央がガラス床となって枕木や線路が見えるのは楽しい。ライトアップも美しく、『古くて新しい観光スポット』として多くの方に楽しんでいただきたい。さらに中央区と江東区の交流が深まることを期待している」とコメントした。

供用開始に先立ち、9月16日に小池百合子東京都知事が視察した


ライトアップされた春海橋公園遊歩道

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