NEXCO東日本 圏央道4車線化の長大高架橋 谷田川高架橋の建設が佳境
東日本高速道路関東支社つくば工事事務所は、圏央道の4車線化を図るべく茨城県つくば市島名~同市平間において、つくばエクスプレス万博記念公園駅付近で同鉄道を跨ぐ位置、都市計画道路、谷田川を跨ぐ位置などに谷田川高架橋の建設を進めている。同橋は橋長876m、幅員9.26m~最大10.51m(非常駐車帯部)、鋼重約1,600tの鋼10径間連続主鈑桁×2連で、床版は合成床版(SCデッキ)を採用している。1期線と近接しており、ヤードが極めて限られている個所や、つくばエクスプレスや都市計画道新都市中央通り線を跨ぐか所があり、また、調整池などを埋め立ててヤードを作らざるを得ない箇所、高圧電線により架設に大きな制約を受ける箇所などがある。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)
橋梁概要図
上部工概要
パンタグラフ式ジャッキを先端に取り付けた手延べ桁を用いる
つくばエクスプレス跨線部 合成床版の底鋼板や壁高欄部の鋼製埋設型枠、常設足場の金具までを設置して架設
夜間の短い時間での架設 最速1.2m/分の速さで連続的に送り出し
現在はトラッククレーン+ベントで建設しているPD8~PD11間とPD17~AD2間、送り出しで施工したつくばエクスプレスを跨ぐ部分のPD3~PD4間の桁架設が完了している。PD3~PD4間については、桁だけではなく合成床版の底鋼板や壁高欄部の鋼製埋設型枠、常設足場(今回はNSカバープレートを採用)の金具までを設置して一括架設を行っている。
PD4付近 / PD8付近
さて、つくばエクスプレスを跨ぐ桁架設は、同エクスプレスの西側のヤードで送出し架台および台車、後方ジャッキ、エンドレスローラーの設置および桁の地組を行い、4月15、16日の両夜間に送り出し、4月22、23日の両夜間に桁降下作業をそれぞれ行った。
送り出し概要図およびステップ図
PD3~PD4の径間長は43mであり、手延べ桁と合計した送り出し長さは65.6m、鋼重は約210tである。これを午前1時20分~3時50分(饋電停止から始発準備開始時間)までの2時間30分で、1日目48.5m、2日目17.1mをそれぞれ送り出した。時間との戦いであるため、オックスジャッキ製のダブルツインジャッキを使い、最速1.2m/分の速さで連続的に送り出している。また、スムーズな施工および逸脱を起こさないように、PD3背面のベント上にはエンドレスローラーを設置するとともにその脇にガイド装置を設けて施工した。
跨線橋部送り出し構台の設置状況
(左)PD3アンカー推進装置組み立て完了/(中)PD1惜しみ・引き戻しアンカー設備組み立て完了
(右)送り出し推進設備組み立て完了
(左)惜しみ・引き戻し設備組み立て完了/(中、右)後方台車組み立て完了
(左)前方台車組み立て完了状況/(中)PD3エンドレス装置組み立て完了状況/
(右)手延べ機組み立て完了状況
夜間架設状況
送り出し手延べ桁先端にはたわみ取りの手間を軽減するため、川田工業が開発した、パンタグラフ式ジャッキを先端に取り付けた手延べ桁を用いている。同ジャッキを用いて先端で500mmに達するたわみをスムーズに解消することで、その後の架設作業を楽にした。桁降下は油圧ジャッキを用いて2夜間(施工可能時間は送り出しと同様2時間30分)で約300mmの降下作業を行った。
PD4~PD7間の架設は地盤が軟弱なことから1.4mほどの砕石を積む
PD8~PD11 運ばれた桁を橋脚越しに吊り上げ、ほぼ180°回転させて橋脚及びベント上に架設
そのほかの現場は基本的にクレーン+ベント架設である。クレーン+ベント架設は、主桁1ブロック(8~12m程度、約8~12t程度)あるいは地組桁2~4ブロック(18~46m程度、12~38t程度)及び合成床版底鋼板を架設していく。その施工方法はヤードによってさまざまで、PD4~PD7間の架設は、横に地組及びクレーン設置用のヤードは確保できるものの、地盤が軟弱なことから1.4mほどの砕石を積み、さらに鉄板を敷き詰めて水平性を確保したうえで桁や合成床版底鋼板の架設を行っている。
1.4mほどの砕石を積み上げている
PD4~PD7間の架設計画図
また、横にヤードが確保できないPD8~PD11においては、架設径間に1~2基のベントを建てた後、その背後にクレーンを据え付け、隣接する径間にトレーラーによって運ばれた桁を橋脚越しに吊り上げ、ほぼ180°回転させて橋脚及びベント上に架設していく作業を繰り返していく。合成床版底鋼板も同様に架設していく。
横にヤードが確保できないPD8~PD11
PD8~PD11架設計画図
合成床版はSCデッキを採用している