NEXCO大規模更新シリーズ⑦ 中国自動車道 小郡IC・JCT~山口JCT間 リニューアルプロジェクトが本格化
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その2工事が本格化
【その2工事】耐震構造工事などが本格化
本線迂回路復旧・耐震補強・断面修復などを順次施工中。2027年12月の完了を目指す
その2工事では、本線迂回路復旧工事をはじめ、耐震構造(落橋防止構造、横変位拘束構造、支承取替工、水平力分担構造、縁端拡幅工)、炭素繊維巻立て工、構造物掘削工、コンクリートはつり工・断面修復工、鋼桁補修工、その他付属物工などが主要工種となっている。
対象となる下部構造は経年劣化が進んでおり、早急な補修が必要と判断されたことから、たたき調査を実施。その結果をもとにNEXCOと現地踏査を行い、コンクリートはつりおよび断面修復箇所を決定した。その1工事の進捗に合わせて施工計画を立て、2024年11月12日の工期開始以降、2025年3月3日より本線迂回路復旧工事、耐震構造(あと施工アンカー)工事に着手した。
本線迂回路復旧工事では、高速道路の昼夜連続規制を実施しながら中央分離帯側の防護柵・円形水路復旧工事を進めていたが、高速道路の中央分離帯部を掘削する工事であるため、梅雨時期には一時休止。7月22日より再開し、8月2日に完了した。現在はコンクリートはつり工、断面修復工、および耐震構造工事を進めている。
断面修復工は、モルタル吹付工法が採用されていたが、着手前に劣化状況に応じて橋台の塩分量調査を実施。その結果を受けて、マクロセル対策の追加施工が決定された。修復部分と既存部分の間で電位差が生じ、マクロセル回路が形成されることで、既存部分の鉄筋が局所的に腐食してしまうことを防ぐため、断面修復の際に遮蔽材を塗布して絶縁化を図る対応が不可欠となった。
断面修復工とマクロセル対策(川田建設提供)
耐震構造については、アンカーボルトを設置するコンクリート孔は既設コンクリート構造物に配置されている避ける必要があるため、鉄筋が密に配置されているほどコンクリート孔が設計位置から逸脱することから、施工したコンクリート孔の位置で再度構造計算を行い、取り付ける鋼製ブラケットの形状や板厚等を決定する必要がある。現在、設計照査を設計部門と連携しながら慎重に進めている。なお、本工事の工期は2024年11月12日から2027年12月26日までの1140日間である。
その2工事元請けは川田建設株式会社・コーアツ工業株式会社(JV)。主な一次下請は、株式会社SDC工業、株式会社ケー・エフ・シー(耐震)、株式会社ケミカル工事(WJ、断面修復)、日特建設株式会社(構造物掘削)が担当する。
リニューアルプロジェクト 工事現場見学会(プレスツアー)
床版取替工事の現場だけでなくテストハンマーを用いた点検のデモンストレーションも公開
昨年、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)山口高速道路事務所は、報道各社を対象に椹野川橋の床版取替工事に関する現場見学会(プレスツアー)を実施した。見学会では、老朽化した橋梁の床版取替工事の現場が公開され、実際に大型クレーンによる新設床版の架設作業を見学する機会が設けられた。
床版取替工事の現場を公開
あわせて、既設床版の損傷状況や、テストハンマーを用いた点検のデモンストレーションも行われた。打音の違いから劣化の有無を判別する方法が紹介され、床版の診断に関する技術的な説明がなされた。
床版の損傷状況
テストハンマーを用いた点検のデモンストレーション
また、高所作業車を使用し、上空から現場全体を見渡す見学も実施された。
高所作業車から見た現場
見学会を通じて、橋梁の劣化の現状や、それに対応する補修・更新の取り組みについて、報道関係者の理解促進が図られた。