能登復興事務所 地震、そして豪雨災害を乗り越えた中屋トンネル工区の復旧

能登復興事務所 地震、そして豪雨災害を乗り越えた中屋トンネル工区の復旧
2025.09.25

仮橋を全部で7橋(輪島側に6橋、門前町側に1橋)設置

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国土交通省 能登復興
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 国土交通省能登復興事務所が復旧を進めてきた国道249号中屋トンネル工区が、7月17日に復旧を終え、2車線で一般供用された。中屋トンネルは昨年秋に1車線の片側交互通行の形で供用予定であったが、9月下旬に奥能登を襲った豪雨災害により、輪島側の坑口付近やその延長にある道路を中心に大きく斜面崩壊により被災、地震だけでなく豪雨災害によって生じた損傷にも対応しつつ復旧を進めていた。既存道路はほとんどが地震ないし豪雨時の斜面崩壊や土石流によって、埋め尽くされたため、斜面から遠ざける形で、仮橋を全部で7橋(輪島側に6橋、門前町側に1橋)設置し、復旧を進めた。同時にその復旧期間を利用してトンネルの復旧も進めた。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


中屋トンネルを活用した応急復旧ルート(赤)と仮橋の位置、黄色はトンネルが使えるようになる前のう回路(国土交通省発表資料より抜粋)

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中屋トンネル(延長1259.5m)およびその前後区間延長合わせて5.5kmの仮復旧

中屋トンネル(延長1259.5m)およびその前後区間延長合わせて5.5kmの仮復旧

迂回ルートは線形悪く、時間もかかっていた

 同工事は、令和6年1月1日に起きた能登半島地震によって大規模に被災した中屋トンネル(延長1259.5m)およびその前後区間延長合わせて5.5km(輪島市門前町の浦上交差点から輪島市縄又町)で2車線通行を確保するために行われていたものである。中屋トンネルの損傷は非常に大きく、3箇所で覆工の崩落が見られたほか、支保工の変状に至っている箇所も生じていた。そのため、迂回ルートとして県道五十洲亀部田線と輪島市道西円山切割線 で迂回する形で移動していたが、さらに線形も悪い道路であることから早期のトンネル復旧が望まれていた。

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トンネルの復旧工事 全体121スパンのうち90スパンの覆工を補修

覆工崩落などが3箇所、ひび割れやインバートの損傷も

 まず、トンネルである。写真のように覆工崩落などが3箇所で起きたほか、多数のひび割れ、さらにはインバートも損傷が生じた。最も覆工コンクリートの崩落がひどかった区間では、覆工コンクリート背面の支保工も変状しておりインバートも変状していた。インバートの変状は、ひび割れがコンクリート背面まで貫通しており段差が生じていた。この区間の変状は、地層境界であるため地震の影響を大きく受けたと考えられている。


トンネル内部の被災状況(国土交通省提供、以下注釈なきは同

明かり部およびトンネルの復旧状況


 以上の損傷状況を受け、トンネルの復旧工事は大規模なものとなった。トンネルは、1スパン長10.5mを標準長とした覆工コンクリート121スパンで構成されており、既設覆工撤去19スパン、地山改良工9スパン、縫い返し工9スパン、インバート工4.5スパン、プロテクター31スパン、覆工19スパン、補修71スパンである(全体121スパンのうち90スパンの覆工を補修)。

 地震から1か月後の2月7日から復旧作業を開始し、復旧作業と並行して、1車線供用をするためのプロテクターも設置し、昨年9月下旬には片側交互通行で通行確保する予定で、同12月には2車線供用するつもりであった。そこを襲ったのが、同9月下旬。まさに1車線供用する直前に襲った豪雨水害である。  


復旧一歩手前まで来ていたのだが……

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昨年9月の豪雨で予定していた片交復旧が不可能に

トンネル~4号仮橋の区間で約5000㎥の土砂が堆積

 9月21~22日にかけて襲来した線状降水帯は、輪島で412mm、珠洲で315mm(いずれも9月21日8時50分からの24h)の雨量を齎し、仮橋や仮設道路の工事場所で斜面崩壊を引き起こし、トンネル~4号仮橋の区間で約5000㎥の土砂が堆積し、トンネル内にも約1,500㎥の土砂が流れ込み、9月25日に予定していた供用を不可能にした。


豪雨による被災状況① 2号仮橋付近 / 3号仮橋付近

豪雨による被災状況② 3~3.5号仮橋付近 / 4号仮橋付近

豪雨による被災状況③ 5-40仮橋付近


 トンネル部については、2カ月弱で内部の土砂を除去した。しかし、仮橋・仮設道路の早期完成が崩積土によってほぼ不可能になったため、片交による供用を諦め、2車線での供用を目指すべく、対策工法を検討し方針を変更した。

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