NEXCO大規模更新シリーズ⑧ NEXCO東日本・東北道石田川橋下り線の床版取替にHydro-Jet RD工法を採用

NEXCO大規模更新シリーズ⑧ NEXCO東日本・東北道石田川橋下り線の床版取替にHydro-Jet RD工法を採用
2025.12.08

鋼合成鈑桁部の桁と既設床版のずれ止めは馬蹄形ジベル

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NEXCO東日本 大規模更新
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馬蹄形ジベル残部12mm程度をほぼツライチでプラズマ切断

両側を同時に切断することは桁構造及びプラズマ切断機の構造的に難しい

馬蹄形ジベル残部12mm程度をほぼツライチでプラズマ切断

 上り線側を上下一車線にして、下り線を通行止めにした後は、まず舗装切削、ガードレール撤去を行っている作業と並行して、桁下においては鋼製補強材を外し、さらにプラズマ切断機で上フランジ上面から15mm程度の高さで切断し、床版と桁の縁を切る作業を行った。切断位置は馬蹄形ジベルの根元のコの字部分とその左右の輪型筋の根本を切る必要がある。両側を同時に切断することは桁構造及びプラズマ切断機の構造的に難しく、片側で切断した後に、もう片側を切断する作業が必要となった。さらに肉厚は12mm、輪型筋接続部はさらに厚い、そのため片側の切断だけでも2分以上かかった。これを本現場では290箇所以上で施工する必要がある。一方で、(既設床版切断断面の)四隅さえ安定していれば、床版パネルを自立させることは可能であるため、規制開始当日から桁下で先行切断に入り、各パネルの中間部に位置しているジベルから溶断を開始し、床版の撤去をスムーズに行わせることに努めた。


プラズマ切断機で切断している状況

プラズマ切断後の馬蹄形ジベル、コの字状の馬蹄形ジベル残部12mm程度をほぼツライチでプラズマ切断している


 合成桁部は橋軸2.4m×橋軸直角は幅員の半分で、事前に床版切断し、撤去した。床版を撤去した後、さらにコの字状の馬蹄形ジベル残部12mm程度をほぼツライチでプラズマ切断し、さらにサンダーケレンして表面を研掃した。ジベルを根元まで撤去したのは、「残部が新設床版と桁をつなぐモルタル打設時の壁となり、充填の邪魔になる可能性があったため」(飛島建設)である。

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合成鈑桁部の床版架設 全て既設床版を取ったうえで、新設床版を架設

非合成桁部は 約65°の斜角に配慮して架設手順を工夫

 合成桁部については、キャンバーなどをそろえなくてはいけないことから、全て既設床版を取ったうえで、新設床版(パネルサイズ約1730mm×10,500mm、11.5t)を架設していった。合成桁に負荷を掛けないよう、主に橋台部(BA1側)の外側に設置した360tATCを用いて撤去・架設を行っている。360tATCは非合成桁部の床版撤去、架設にも位置を変えて用いた。


クレーン配置図

既設床版の撤去状況写真


 研掃後は表面に有機ジンクリッチペイントを塗布し、シールスポンジ型枠を設置した後、プレキャストPC床版を架設、スタッドを溶植し、間詰めコンクリートや、スタッドジベル部の間詰めコンクリートを打設し、桁と床版を一体化させた。

 非合成鈑桁部の床版更新については、合成桁部同様に舗装・ガードレールの撤去、床版の切断まで行った後、センターホールジャッキで引き剥がし、撤去していった。非合成鈑桁部の床版は、新設パネル換算で1日5枚撤去、5枚架設する手順で施工した。

 同橋の単純合成鈑桁部は直橋であるが、2径間非合成鈑桁で約65°の斜角を有している。同箇所については、5枚ずつ撤去、架設を繰り返して施工していくが、新設パネルの配置に当たっては施工する5枚の両端部に先行設置し、その後で中央部を埋める手順で、斜角に合わせて調整ができるよう工夫を施した。


床版パネル配置手順図

斜角がついていることが分かる

直橋部の架設状況

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壁高欄はプレキャスト EMC壁高欄を使用

高性能床版防水はレジテクトGS-M工法を施工

 壁高欄施工はプレキャストブロック、具体的にはEMC壁高欄を採用した。

 EMC壁高欄は、1ブロック(長さ4m、3t)を25tクレーンで架設した。床版側に埋め込まれたアンカープレートと壁高欄切欠きに配置した支圧板をアンカーボルトにより緊結するもので、アンカープレートに溶接された鋼管とスリーブが鞘管構造となり、アンカーボルトが交換可能な構造となっている。さらにアンカーボルト先端とナットに被せる保護キャップにより切欠き部に充填する無収縮モルタルと縁切りしており、交換時に嵌合が不良とならないようにしている。


EMC壁高欄施工状況


同グラウト充填状況(井手迫瑞樹撮影)


 壁高欄架設後は、高性能床版防水(レジテクトGS-M工法)を2日間かけて全面積に施工、舗装基層はFB13、表層は高機能舗装Ⅱ型を採用している。


床版防水施工状況

橋面舗装まで完了した状況


 夏場の安全対策

 今年も酷暑であったが、休憩を多めに入れ、さらに現場近くに熱中症対策室を設けて、飲み物や氷などをすぐに引用、補充できるようにした。また、カナリア+というリストバンドを60歳以上に配布し、アラームなどを通じて注意喚起した。また、基本的には各職長には携帯用のWBGT値測定器を持たせて作業環境の把握に努めている。

 元請は飛島建設、一次協力業者は栄喜工業(床版撤去・架設・コンクリート工・壁高欄工)、第一カッター興業(床版切断・コア削孔・ウォータージェット斫り・ジベル切断)、ボンドエンジニアリング(端部ブラケット設置)、原建(伸縮装置設置)、開発重機(クレーン揚重作業)、茶谷建設(安全設備、雑工)、世紀東急工業(渡り線工事・床版防水工・舗装工)など。床版製作は極東興和、壁高欄製作は日本ヒュームが行った。最盛期には規制要員も入れて120~130人が現場に従事した。

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