能登大橋の応急復旧と新橋建設について

能登大橋の応急復旧と新橋建設について
2025.12.23

橋台背面に大きな段差が発生、橋台本体が損傷、長期的には架替えへ

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人と自然が微笑む社会へ 電極を用いたPCグラウト充填検知システム

う回路橋の設計と施工

橋脚高最高は、P9橋脚の41.5m

透水性試験を行い調査

 次いで下部工の構造(下図)である。橋脚高はP1~P7橋脚はフーチングを入れて平均10m弱のRC橋脚であり、基礎は場所打ち杭とした。P8~P11橋脚は一転、橋脚高が高くなり、P9橋脚は41.5mに達する。P11橋脚も25mに及ぶ。P9、P10橋脚は直接基礎、P8、P11橋脚は大口径深礎(深さ22mに達する)を用いる。 


 地盤は悪くないと思われるが、水の影響はこれから透水性試験を行い調査する。仮に水の影響が懸念される場合は、岩盤であるため薬液注入か、ディープウエルで対策していく計画である。

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橋脚は施工速度を追求しプレキャスト施工

1リフトあたり最大4段6m積み上げ、内部にコンクリートを打設

 さて、橋脚の建て込み方はどうするか。

 橋脚は、工場にて製作したプレキャストブロックを用いる施工方法を採用する予定だ。コの字形状タイプのプレキャストブロック(P8~P10橋脚は厚み1,500mm、P11橋脚は同1,000mm)を1段に2つ配置していく手法を採った。1リフトあたり最大4段6m積み上げ、プレキャストブロック内部にコンクリートを打設していく。また、プレキャストブロックは薄肉部材であり、現場におけるコンクリート打設時の温度応力などに対応するため、鋼繊維や収縮低減材を添加した配合として、ひび割れ抵抗性の向上を図っていく。P8~10橋脚のプレキャストブロックは形状を統一して同じ製作型枠を転用して製作する計画だ。P11橋脚は断面形状が違うため、別途製作型枠が必要となり、さらに低い橋脚でもあることから製作費が割高となる。そのため、P11橋脚のプレキャストブロック製作を先行して、使用した製作型枠をうまく加工してP8~P10橋脚で使うことにより製作費を抑える計画だ。


橋脚の建設はプレキャストブロックを用いる施工方法を採用する予定

橋脚施工イメージ


 工期は従来の現場打ち施工と比べて4割程度は縮むと想定。プレキャストブロック同士をつなぐ帯鉄筋接手部の型枠は鋼製型枠を使用する。

 橋脚は中空断面であり、型枠は1段につき4枚必要になる。なお、プレキャストブロック帯鉄筋継手部の鉄筋は継ぎ手部も含めて裸仕様となるため、防錆剤による対策を行う予定。足場はオールステージングを用いる方針だ。

 下部工は現在A1~P7橋脚までが発注手続き中(取材後のR7.10.10にフジタ・戸田組JVと契約済み)で、P8~P11橋脚を三井住友建設・姥浦建設JV、A2橋台は昭和建設・大豊建設のJVが施工中である。

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橋長678m、7径間284mが連結ポステンT桁、5径間394mが連続PCラーメン箱桁

剛結部のマスコン対策は工夫が必要

 次いで上部工の計画である。上部工は全長が678m、内A1~P7が7径間連結ポステンT桁橋で284m、P8~A2が5径間連続PCラーメン箱桁橋で394mとなっている。


 とりわけ剛結部では柱頭部がマスコンとなるため、鉄筋量削減に努めると共に、温度応力解析を行い、かつコンクリート打設時期を考慮した暑中コンクリート・寒中コンクリート対策、コンクリートの品質管理、遮蔽物が無い能登大橋でのコンクリート打設に関する工夫を施す予定である。

 PC箱桁部の架設は、各脚頭部から移動作業車(ワーゲン)で張り出しする工法を用いる。ワーゲンは、橋体幅員14m以下、最大容量3,430kN・m、最大施工ブロック長5.0m、高さ15m程度、移動作業車質量84t、全装備質量135~150tの大型のものを用いる。工期を少しでも縮めるため、下部工が出来上がった橋脚からワーゲンを載せて上部工を施工していく予定だ。

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ポスT部はプレキャスト施工

現場では支保工は一切つくらず、360t吊クレーンを2台使って架設

 一方、ポステンT桁部は、下部工は現場打ちで施工する。一方、上部工は工期短縮を図るため、桁は分割してプレキャストブロックを輸送し、現場ヤード内で連結させ(1径間7ブロック程度を1つの桁に)PCで緊張させた後、桁を2台のクレーン相吊りで架設し、桁同士の接合部を現場打ちする手法を計画している。ただし、P6-P7橋脚間については、クレーンの配置場所が限定されるため、架設桁を使用する。現場では支保工は一切つくらず、クレーンは360t吊を2台使って架設する。場所打ちと比べるとコストはかかるが、工期短縮を最優先して工法選択した。

 支承構造は、全て全方向の免震沓を採用する方針である。

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上部工の防食 シラン系含浸材を外面に塗布する予定

 上部工の防食については、凍結防止剤を多量に散布するため、塩害を考慮した被り厚を確保し、さらにシラン系含浸材を外面に塗布する予定である。一方、床版防水はコスト面を勘案し、塗膜系床版防水(アスファルト加熱型)を選定した。

 P8~P11下部工の元請は三井住友建設・姥浦建設JV、主要一次下請はSMCシビルテクノス(橋脚および直接基礎)。ハツカワ建設(大口径深礎)。コンクリート打設はサイクル施工なので、色々な二次下請の班を作って施工していく予定。

 同橋の設計は大日本ダイヤコンサルタント。

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