プレビーム振興会 プレビーム合成桁橋技術講習会および川口跨線橋現場見学会を開催

プレビーム振興会 プレビーム合成桁橋技術講習会および川口跨線橋現場見学会を開催
2026.02.27

川口跨線橋におけるプレビーム合成桁の採用と施工

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 2025年7月15日に西尾コンベンションホールでプレビーム振興会によるプレビーム合成桁橋技術講習会および見学会が開催された。当日は、プレビーム合成桁の構造的特徴や設計思想、近年の適用事例について講演が行われたほか、実際に施工が進む川口跨線橋の現場見学が実施された。本稿では、講演会で示された技術的な考え方を整理するとともに、見学会後に行った施工関係者へのインタビューを通じて、プレビーム合成桁が本橋においてどのような判断のもとで採用され、現場で具現化されているのかを報告する。

景観や安全に配慮した 50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁 確かな技術で社会基盤の発展に貢献する

プレビーム合成桁橋 技術講習会

プレビーム合成桁橋 技術講習会

条件を読み解いた上で選択される工法

 2025年7月15日に西尾コンベンションホールでプレビーム振興会によるプレビーム合成桁橋技術講習会および見学会が行われた。本講習会は、実橋梁を題材に、プレビーム合成桁の成り立ちから設計思想、施工上の留意点、さらには近年の採用実績までを体系的に解説する内容となっており、設計者・施工者双方にとって理解を深める機会となった。

講習会の様子


 冒頭では、プレビーム振興会広報委員長の児嶋哲朗氏により、プレビーム合成桁のこれまでの歩みが紹介された。プレビーム合成桁は1968年、大阪市の玉津橋で初めて採用されて以降、道路橋を中心に実績を積み重ねてきた構造形式である。現在では道路橋だけでなく、鉄道橋や建築分野も含め、1,100橋規模の実績を有している。講演ではまず、プレビーム合成桁の基本的な位置付けが示された。プレビームは、コンクリート橋と鋼橋の中間に位置する複合構造であり、両者の特性を併せ持つ点に特徴がある。一般に「桁高を低くできる構造」として認識されがちだが、桁高を抑えるほどコストは上昇する傾向にあり、用途や条件に応じて桁高と経済性のバランスを取ることが重要で、設計条件を踏まえて選択される構造形式の一つであると説明した。

 続いて、今回の見学対象である川口跨線橋の施工概要が現場代理人である山田健太郎氏(川田建設)から説明された。本橋は愛知県発注の道路改良事業として整備が進められており、すでに供用している1期線と並行して2期線の上部工が施工されている。2期線は、A1からP6までがPC6径間連続プレテンションT桁、P6からA2までが5径間連続のプレビーム合成桁橋という、異なる構造形式を組み合わせた構成となっている。上記の内、プレビーム合成桁橋区間の施工を川田建設が請け負っている。







 

 プレビーム合成桁区間の橋長は116m、総幅員11.65mで、市道および名鉄西尾線と立体交差する構造である。特に鉄道直上部では、夜間のき電停止時間帯(1〜4時)に限定して作業を行う必要があり、施工計画の立案にあたっては公衆災害防止への配慮が不可欠であった。そのため鉄道上部には全面防護足場を設置し、主桁架設時には市道の通行止めを伴うクレーン作業が計画された。

 施工説明では、主桁架設の流れについても詳しく解説された。鉄道直上となるP7―P8径間では、主桁を事前に地組したうえで、トラッククレーンによる一括架設を採用している。この地組作業のため、現場に隣接した土地を借地し、主桁は昼間に搬入され、実際の架設勾配を再現した受け台を設けて組み立てた。5本の主桁を地組したのち、夜間に一括で架設した。



 夜間の架設作業では、鉄道架線への接触をいかに防ぐかが重要なポイントとなった。通常の吊り方では、玉外しの際にワイヤーが自重で鉛直に落下し、架線に接触するおそれがある。そのため本工事では吊り天秤を使用し、ワイヤーの挙動を制御することで、架線に影響を与えない施工を実現している。限られた作業時間の中で安全性と確実性を両立させるための工夫が、写真とともに紹介された。








イメージ写真


 クレーン計画についても、現場条件に応じた柔軟な対応が求められた。鉄道直上部の架設では550tの大型クレーンを使用し、それ以外の径間では220tクレーンを使用するなど、作業半径や設置条件に応じて機種を使い分けている。大型クレーンは分解状態で搬入し、現地で組み立てる必要があるため、道路占用や周辺施設との調整を含めた綿密な計画が不可欠であったという。


220tクレーンと550tクレーンを作業半径や設置条件に応じて機種を使い分けている


 技術講習では、プレビーム合成桁の構造的特徴と設計思想について、技術的な解説が行われた。プレビーム合成桁は、鋼桁と下フランジコンクリート、床版コンクリートから構成され、下フランジ側のコンクリートにあらかじめプレストレスを導入する構造となっている。このプレストレスは、PC橋のように緊張材を定着する方式とは異なり、鋼材に与えた曲げモーメントを利用して導入される点に特徴がある。

技術講習の様子


 完成時の断面状態では、下フランジ側コンクリートの応力が適切に制御され、構造全体として合理的な力の流れが形成される。内部に鋼桁を有することで、縦断勾配や線形条件に応じた変断面設計が可能となり、桁端部を低く、中央部を高くするといった断面構成も比較的自由に設定できる。この柔軟性が、建築限界や景観への配慮が求められる場面で有効に機能する点が、プレビーム合成桁の大きな特徴として説明された。

 さらに、近年の採用実績についても紹介された。河川改修に伴う架け替え橋梁、鉄道交差部など建築限界の厳しい箇所、断崖地形を跨ぐ橋梁など、従来の構造形式では対応が難しかった条件において、プレビーム合成桁が有効な選択肢として採用されている事例が示された。これらの事例に共通しているのは、単に桁高を抑えるためではなく、施工条件や周辺環境、維持管理まで含めた総合的な判断の中でプレビームが選択されている点である。終盤では、プレビーム合成桁は「条件を読み解いたうえ」で選択されるべき構造であることが改めて強調された。桁高、支間長、施工条件、経済性、維持管理といった要素を総合的に評価し、その結果としてプレビームを選ぶという設計姿勢こそが重要であるという考え方が示され、講演は締めくくられた。

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