プレビーム振興会 プレビーム合成桁橋技術講習会および川口跨線橋現場見学会を開催

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2026.02.27

川口跨線橋におけるプレビーム合成桁の採用と施工

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50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁 50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁 50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁

路面標高を1期線に合わせた鉄道直上橋の成立

鉄道直上で成立させたプレビーム合成桁

川口跨線橋現場代理人の山田健太郎氏(川田建設)インタビュー

 見学会では、本工事の施工を担当する作業所長の山田健太郎氏(川田建設)(左写真)から、設計コンサルタントにより計画された川口跨線橋におけるプレビーム合成桁採用の背景や、鉄道直上という厳しい制約条件下で求められた構造的配慮について説明を受けた。

  川口跨線橋のP7―P8径間は支間長31mと、他の径間と比べて長く設定されている。この支間長を一般的なPC桁で成立させる場合、構造上、桁高を大きく取る必要が生じる。桁高を確保すれば路面標高を引き上げざるを得ず、その結果、既設の1期線よりも高い構造となり、縦断線形が揃わないばかりか、景観面でも不揃いな構成となる。一方で、路面標高を1期線に合わせたままPC桁を採用すると、今度は桁下標高が下がり、鉄道の建築限界を満足できなくなる。

  こうした条件整理の結果、プレビーム合成桁が採用された。プレビーム合成桁を用いることで、支間長31mであっても桁高を抑えることが可能となり、他の径間と同一の桁高で構造を成立させることができた。山田氏はこの点について、「路面標高を1期線に合わせたまま、鉄道のパンタグラフとの必要な離隔を確保できたことが、今回プレビーム合成桁を採用した最大の理由」と述べている。



 A1からP6までの径間には、PC6径間連続プレテンションT桁が採用されている。桁高自体はプレビーム合成桁と大きく変わらないが、P7―P8径間をPC桁で設計した場合には、現状よりも桁高を高くする必要があった。プレビーム合成桁の採用により、橋全体として桁高を揃えた構成とすることが可能となっている。

  本橋の設計にあたっては、(一財)国土技術研究センターの「プレビーム合成桁橋設計施工指針」を適用している。同指針は道路橋示方書Ⅱの鋼橋およびⅢのコンクリート橋に対応しており、鋼とコンクリートを組み合わせた複合構造として設計が行われている。プレビーム合成桁は桁の剛性が大きく、低い桁高を選択できる点に加え、道路の縦断線形に合わせて桁形状を比較的自由に設定できる点が特徴である。桁端部を低く、中央部を高くするといった断面構成が可能で、構造的合理性と経済性を両立した設計がなされている。


プレビーム合成桁を採用することで路面標高を1期線に合わせたまま鉄道のパンタグラフとの必要な離隔を確保することが可能となった


 本橋の縦断勾配は5%、横断勾配は2%で、歩道・車道とも共通の条件が設定されている。鋼桁の製作は令和6年3月から8月まで行われ、鋼材の手配から製作完了までを含んでいる。その後、追加で調整が必要となった期間もあったが、プレビーム桁の製作は令和7年2月から5月まで、架設作業は5月30日から7月2日まで実施されており、準備期間を除き、クレーンの組立・解体やP7―P8径間の地組作業もこの期間に含まれている。

 P7―P8径間では、当初計画していた架設方法からの変更が生じている。当初は、P8―P9径間上にプレガーダーを架設し、その上で地組を行い、360tのトラッククレーンで主桁を架設する計画であった。しかし、クレーン配置予定地を借地できなくなったことから、配置計画の見直しを余儀なくされた。クレーン配置を側道上に変更した結果、作業半径が24mから28mに拡大し、360tでは能力が不足することが判明したため、550tのクレーンへと変更されている。ただし、550tのクレーン配置条件ではプレガーダー架設が困難であったことから、別の土地を借り受け、そこを主桁の地組ヤードとして使用する計画へと変更された。

 クレーン設置にあたっては、通常の敷き鉄板を敷設した上で、クレーン専用の敷き鉄板を設けている。平板載荷試験を実施し、クレーン架設において地盤に問題がないことを確認したうえで作業が行われた。

 桁架設の手順としては、P7―P8径間ではクレーンの組立後に地組を行い、主桁を架設した後、足場を組み立てている。P8―P9径間以降はベントを用いた架設とし、主桁架設後にベントを解体し、吊り足場を設置する方法を採用している。すべての径間において、G1桁から順に架設が行われた。埋設型枠については、主桁WEBコンクリート天端にアーチフォームを設置し、アーチフォームと鋼桁WEBとの間に生じる約10cmの隙間に無収縮モルタルを打設している。床版コンクリートの打設は、P6―P8径間が令和7年9月末、その後P8―P9、P9―P10、P10―A2径間については11月から12月にかけて順次実施され、品質確保のため膨張材を配合する計画とした。 











 伸縮装置については、P6に橋梁メンテナンス製のKMAジョイントが採用されており、非排水型の構造としている。排水桝は歩道部に設置し、鉄道上については鋼製排水溝を採用することで、下面に排水管が出ない構造としている。プレビーム合成桁区間については、床版工事において鉄道交差部では、はく落防止対策工が計画された

 防食については、プレビーム合成桁がすべてコンクリートで覆われているため、防食塗装は行っていない。支承には免震支承の積層ゴム支承を採用しており、メーカーは住友理工株式会社である。

 鉄道直上での施工にあたっては、既設の1期線と非常に近接していることから、架設桁やクレーンブームが1期線側へ飛び出さないよう、慎重な施工管理が求められた。鉄道上での作業は、き電停止となる深夜1時から4時までの3時間に限定して実施され、主桁架設時には吊り天秤を使用することで、架線への接触防止と安全性の確保が図られている。

 設計は建設技術研究所 (当初の川口跨線橋 全体の計画設計業務)、中央コンサルタント(令和6年度から愛知県西三河建設事務所の積算業務請負)。1次下請負業者は長谷川建設株式会社(架設工事(桁架設工、足場工))、黒滝建設工業株式会社(床版工事(床版・横桁工ほか))。

景観や安全に配慮した 50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁 50年の歴史と実績、時代のニーズに応え続ける複合橋梁

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