鹿児島港臨港道路(鴨池中央港区線)上部工が進捗
合成床版の架設はクレーン付き台船を活用
SCデッキスタッドレスを採用
6径間全て架設した後は、合成床版底鋼板の架設を行う、架設は寄神建設の80t吊りクレーン船を用いて設置していく。合成床版の底鋼板は1パネル(幅12.5m×長さ2.3m)をJFEは122枚、川田は116枚、合計238枚敷き詰めていく。パネル同士の接続は添接ボルトにて接続する。JFEは8月お盆明けから開始し、9月上旬まで、川田は9月頭から開始して同月末までかけて、それぞれを約1か月ずつで設置した。設置に際しての懸念材料は、台風である。H.W.Lと桁とのクリアランスは一番厳しい箇所で4.7m、次いで桁高は2.8~3.1mである。すなわち水面から7.5m程度の箇所に底鋼板を架けるわけであるが、台風時はその高さを越波する可能性があり、海水が底鋼板上に滞留してしまう可能性があることから対sカウの検討が必要だ。


合成床版設置状況
合成床版は、SCデッキスタッドレスを採用している。特徴はスタッドを省略し節付き突起リブを採用していることだ。鉄筋を設置する際にスペーサーが必要ないリブをすみ肉溶接とするため、スタッド溶接に比べて入熱量を少なくでき、底鋼板が従来品の板厚より2mm薄くなるため、底鋼板重量を10%低減できる。節付き突起リブの基本厚さは9mm、高さは床版厚によって異なるが、本現場では床版厚240mmであるため、155mmとしている。上下のフランジ状の突起(17mm)は、リブの曲げ剛性を高め、床版の押し抜きせん断強度を向上させるために設けられている。上下突起の隅角は滑らかな形状にしており、コンクリート打設時の空気や水分などを滞留させることなく、充填性に優れた構造とした。


コンクリート打設前のSCデッキスタッドレス底鋼板
さらに、リブの腹板部に33mm間隔で設けている高さ3mmの節突起は、横リブ方向の水平せん断力に抵抗するために用いているもの。施工の際は、このリブの上に所定の鉄筋(D19、D22)を置いてコンクリートを打設するだけで合成床版の施工は完了する。その結果、疲労耐久性は従来のSCデッキの2倍まで向上させ得る効果を齎している。
施工性も優れている。すみ肉溶接のため、スタッド溶接に比べて底鋼板厚を2mm薄くして軽量化しており輸送・架設に優れている。リブ間隔は600mmと広く、スタッドを省略したため、配筋時や、コンクリート打設時における作業員の移動や作業を阻害しない。また、鉄筋は高さ調整のためのスペーサーを設置することなく、リブ上に置くだけで良いため、配筋作業の手間も軽減できる。


底鋼板上の配筋状況
桁中間部は作業用および維持管理用としてNSカバープレートを設置
床版上面保護のための検討
さらに、本現場は海上という厳しい腐食環境にある。桁および底鋼板裏面は後述する金属溶射+ふっ素樹脂トップコート及び、桁中間部は作業時と維持管理時を兼用した足場として、ステンレス製の恒久足場(NSカバープレート)で腐食環境から鋼材を守っている。

桁間にはNSカバープレートを配置した
架設後は、底鋼板上で配筋作業など準備工を行い、12月から1月にコンクリート打設を行う。床版厚は240mmであり、30-12±2.5cm-Nの膨張材入りコンクリートを用いて施工、1ブロック20人程度の人工をかけて施工した。その際は、コンクリートプラント船を使用し、生コンを製造・圧送し、打設する工程を繰り返した。

床版上のコンクリート打設手順図


同打設状況
鋼桁・添接部 金属溶射+ふっ素樹脂トップコートを採用
支承部は高防錆表面処理+BBバリア
防食
下部工について塩害の影響がある橋脚部は、被り厚を90mmとし、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用した。土中部及び頂版部は70mmとし、鉄筋も普通鉄筋としている。


エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用状況
海上部ということもあり、PC桁については被り厚を厚く取ると共に、鉄筋はエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用するほか、PC鋼材においても防食を施した材料を使用する予定だ。
鋼桁部の塩害環境は厳しい。桁が海面からのクリアランスが比較的低い箇所に架けられていることもあり、飛来塩分による影響はもちろん、飛沫帯にあるといってもよく、H.W.Lからのクリアランスは標準桁高(2.8m)部の一番厳しい箇所では約4.7m、支点部になると桁変化しているのでさらに厳しく、4.4m程度となる。
そのため、鋼桁は従来の重防食塗装ではなく、金属溶射+ふっ素樹脂トップコートを桁全体に施した。具体的には溶射はAl-Mg合金溶射を使っている。膜厚は一般部が150μm、添接部やフィラープレートを200μmとした。フッ素樹脂トップコートは中塗りと上塗りの2層とした。膜厚は中塗りが30μm、上塗りが25μmである。添接部は、外面添接部は頭溶射を施した高力ボルト、一般塗装部でも下フランジの耳の部分は全溶射高力ボルトを採用している。それ以外の箇所は通常の塗装ボルトとした。運搬や取扱時に部材が大きく損傷した場合は交換、損傷が比較的小さい場合はタッチペイントで補修対応した。

合金溶射施工状況

ふっ素樹脂塗装施工状況


外面添接部は頭溶射を施した高力ボルト

一般塗装部でも下フランジの耳の部分は全溶射高力ボルトを採用
また現場は活火山である桜島に近いため、降灰による防錆品質低下を危惧して、現場塗装作業に先立ち主桁全添接部のジョイント足場をシートで完全に覆うことで、降灰による塗装面への飛来、付着等を阻止して品質向上に努めた。


主桁全添接部のジョイント足場をシートで完全に覆って施工
支承の鋼材部の防食には溶融亜鉛アルミニウム合金めっきの上にポリウレア樹脂を塗装した新しい重防食仕様であるBBバリアを被せた。BBバリアは支承を組み立てた後に一体で吹き付け塗装するため、部材同士の隙間までコーティングされ、高い防錆効果が期待できる。ポリウレア樹脂は刷毛塗りも可能であるため補修の際にも使用することが可能な防食である。さらに支承の増し締めを行うセットボルト部には手直しの手間を省くためにBBキャップを採用した。半透明な100%シリコーン樹脂で内部を可視化できる防錆素材である。半透明のため中が透けて見えることで、点検性も向上している。従来も透明なボルトキャップはあったが、変成ではなく100%シリコーンを使うことで塩水・温度依存性、耐紫外線劣化性に対する耐候性を向上させ、防錆効果および透明性の持続期間を長期化している。支承用ボルトに使うために開発されたが、径サイズには拘束されない仕様のため、鋼構造物のあらゆる用途のボルトや鋼材に使用できる。

BBバリアの施工状況

BBキャップの施工例
BBキャップの施工は桁架設後に行った。
PC桁はワーゲンを使って片持ち架設
厳しい合成勾配 コンクリート打設は解析や検討が必要
PC橋部
PC橋部はいずれもR=200mと曲線が入っている。横断勾配は最大で8%に達している個所もある。同桁部分はワーゲンによる片持ち架設を行う予定であるが、こうした曲線及び勾配と、コンクリート対策が必要になってくる。
PC橋部はA1~P3側が289mのPC3径間連続ラーメン箱桁、P9~A2側が307mのPC3径間連続ラーメン箱桁となっている。塩害が厳しい環境であるため、コンクリートのかぶり厚を厚くして、エポキシ樹脂被覆PC鋼材およびエポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる。線形はA1~P3においては特にA1~P1の中間からP2とP10~A2はかなりの曲線である。縦断勾配最大5%、横断勾配も曲線部は8%という厳しい合成勾配を有する。さらにラーメン橋であるため、脚頭部は当然マッシブなコンクリートになるため、「そうした点を考慮した解析や検討を行い、PC桁の架設や打設を考えなくてはいけない」ということだ。
橋梁詳細設計は日本工営。上部工施工元請は川田工業、JFEエンジニアリング。一次協力会社は深田サルベージ建設(FC船、両元請とも)、寄神建設(クレーン付き台船、同)、松田建設工業(架設工、JFE)、日本ピー・シー・テー建設(架設工、川田)、平井塗装(塗装工、JFE)、鉄電塗装(塗装工、川田)、山口建設工業(床版工、両元請とも)。




