千代田区 雉子橋の景観を重視した耐震補強

千代田区 雉子橋の景観を重視した耐震補強
2026.02.27

橋軸方向 補剛桁、縦桁において引張でNG

Tag
鋼橋 防食
Share
X Facebook LINE
ラスタッフ(E)2110 ラスタッフ(E)2110 ラスタッフ(E)2110

床版下面は塩害対策必要

床版下面は塩害対策必要 歩道を2m拡幅、車道は床版防水を施す

塗装塗替え 塗膜剥離剤などを使用 塗替え塗料は『ラスタッフ2100シリーズ』を採用

 現在施工を進めているのが塗装塗替えである。桁下の上部の作業については、足場を構築して作業を行ったが、足場がアーチに沿った高さ600mmしか認められず、それに従う形で足場を架けざるをえずクリアランスに乏しい中での剥離剤施工、2種ケレン、塗替えを強いられた。ただし、両端は鋼材を仮置きする場として使うため、高い位置にクイックデッキを組んでいた。


左から端部のクイックデッキ足場、中央部の主体足場、高欄部の足場

足場設置状況(遠景)

密閉養生設備の設置状況

クリーンルーム設置状況 / 負圧集塵機設置状況


 既設塗膜は最も厚い部分は一般部でも700mm、桁が漬かる部分の厚さは最大で4,900mmに達していた。加えてPCBや鉛など有害物質を有するため、塗膜剥離剤(ペリカンリムーバーアクア)を用いて(剥離剤施工回数は5回要した)塗膜を掻き落とした上で 2種ケレンを施して塗り替えた。潮位の関係で漬かる部分については、ハンマリングによる叩き落しを実施したうえで、鋼構造物表面処理用レーザークリーニング工法による塗膜除去を行い、さらに2種ケレンを施した。


塗膜剥離剤の塗布状況(上段) / 掻き落とした後の鋼材表面


鋼構造物表面処理用レーザークリーニング工法を採用
(上段、機材の配置および遮光養生状況)、下段左施工状況、下段右(施工後の鋼材下地状況)

ラスタッフの塗布状況


 塗替え塗料は『ラスタッフ2100シリーズ』を採用した。同製品は、金属粉末、セラミック、特殊ポリマー等で構成される金属コーティング材である。JIS K 5600-7-1に準拠した防食性能試験(塩水噴霧試験)でも24,000時間腐食が生じないなど高い防食性能を有する。雉子橋は、汽水域に架かる橋であり、現状でも塩害の影響が大きく、さらには漬かる部分もあり、乾湿繰り返しも生じ、塗替えも難しいことから防食性能が高い同塗料を採用するに至った。塗装塗替えは現在、全体3876m2(一般部3667m2、浸水部91m2、下フランジ118m2)のうち、9割ほどが完了している。残る部分はアーチの下フランジ部分であり、台船を使って塗り替えを行っていく予定だ。


クレーン付き台船を用いた塗装塗替え状況①

クレーン付き台船を用いた塗装塗替え状況②


 歩道部RC床版については、裏面で塩害による損傷が見受けられるため、真空吸着型圧力調整注入工法を用いたひび割れ注入、鉄筋防腐材(亜硝酸リチウム配合ペースト)の塗布、SSI工法(塩分吸着材入りモルタルを用いた断面修復工法)による断面修復や、高浸透性コンクリート改質剤を用いた表面改質を施し、場所によっては剥落防止工をも施す予定である。床版の施工は来年度以降となる。


RC床版の損傷状況(上段および下段左写真、いずれも井手迫瑞樹撮影) / コンクリート補修工図(下段右)


 路上については下流側(共立女子大学や一橋中学校がある側)歩道について朝夕の通行人数が多くなることもあり、歩道部の幅員を現在の4.5mから6mに拡げる。拡幅は橋全体を広げるのではなく、車線を1つ潰して歩道を拡幅する。これは交通解析を行った上で車線を減らしても交通に影響がないことを確認している。

 この場合、課題になるのは歩車境界の移動である。従来、歩道部はRC床版、車道部は鋼床版であったものが、歩道部が鋼床版側に寄ることになり歩車境界の地覆なども鋼床版側に新たに設置されることになる。

 橋面上の雨水はA1、A2側に流すようにし、桁端部で流末処理するような構造としている。歩車境界の車道側に排水パイプを設けて、桁端部まで導水する手法を取る予定である。

 車道部は床版防水工を施工し直すと共に舗装を打ち替える予定だ。伸縮装置、可携性踏掛板の設置も行う設計としている。

鋼構造物用 水系塗膜剥離剤 ペリカンリムーバーシリーズ アクアDX ラスタッフ(E)2110 鋼構造物用 水系塗膜剥離剤 ペリカンリムーバーシリーズ アクアDX

笠木や欄干パネルは竣工時と同様のものに取替え

親柱の洗浄方法を検討

 景観もお茶の水橋、後楽橋同様に配慮する。笠木や欄干パネルは、現在のものは竣工時と変わってしまっているため、当時の竣工図からデザインを読み取り、それに近づけたものに交換していく。具体的には復元するため鋳鉄製の高欄を新たに作る。高欄のデザインは、中間部では格子状の桟、端部は特殊な幾何学的模様の入ったデザイン性の高い桟をそれぞれ復元する。橋側灯も当時のものを復元し、四隅に配置してある親柱は照明を新たに付ける方針だ。また欄干や桁の塗装色については削り取り試験を行って、当初に塗装した色を特定し、それをマンセル値で比較して、最近似色を学識経験者などと協議しながら塗替え色を決定した。


四隅に配置してある親柱は照明を新たに付ける方針、更に洗浄も行う、笠木や欄干パネルも取り替える


 

 親柱(花崗岩製)も変色を落とすため洗浄を行う。洗浄方法は今後施工業者と検討しながら詰めていく。加えて舗装も脱色アスファルトを使用するなど雰囲気を持たせる予定だ。

来年度以降の予定

 来年度は支承を支えるブラケットの設置を行うと共に、鉛直材を交換するための準備工として仮設の鉛直支持材の設置を進めていく。「何せ足場を設置して施工できる期間は年に半年しかなく、施工スペースも非常に狭く低いため、どうしても一足飛びに鉛直支持材の完全交換を1年で行うことは難しい」(東洋建設)ということだ。


鉛直材の交換も今後実施していく(井手迫瑞樹撮影)


 施工工程も改善を図る。現在までは、桁下の施工であるため、非出水期の半年間しか施工できていなかったが、再来年度以降は、路上工事にも着手することで通年での施工が可能になるようにしていく方針だ。

 雉子橋の設計は復建技術コンサルタント。工事監理は髙島テクノロジーセンター。元請は東洋建設。一次協力会社が株式会社OGISHI(足場工)、Bカラフル(塗装工)、富士スチール(耐震補強)。従事する技術者は3人、技能者は繁忙期で20人程度となる見込みだ。

鋼構造物用 水系塗膜剥離剤 ペリカンリムーバーシリーズ アクアDX ラスタッフ(E)2110 鋼構造物用 水系塗膜剥離剤 ペリカンリムーバーシリーズ アクアDX

pageTop