NEXCO中日本 北陸道高時川橋の床版取替工を現場公開

NEXCO中日本 北陸道高時川橋の床版取替工を現場公開
2024.07.31

70日の短工期 元請10人、下請110人の120人体制で施工を進める

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NEXCO中日本 大規模更新
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 NEXCO中日本名古屋支社は、北陸道長浜IC~木之本IC間の滋賀県長浜市高時川渡河部にある高時川橋の床版取替工事を公開した。同橋は開通から45年が経過した橋長247mの鋼2+3径間連続非合成鈑桁橋で、上下線5,060㎡の床版を取替えるもの。上下線合わせて198枚の新設床版パネルを用いて取替える。床版1枚当たりのサイズは橋軸1.8m×橋軸直角13m(斜角のため幅・長さとも斜角に並行しておいたパネル形状としてのサイズ)、標準床版厚は220mm、重さ12t。斜角は60°ときつく、A1、P2、A2近傍のそれぞれ3m程度を現場打ちとした。横断勾配は2.5%、縦断勾配は1%未満で、曲線半径はR=4,000mとなっている。間詰め部は通常のループ継ぎ手を採用するオーソドックスなもので、間詰め幅は330mm、間詰めコンクリートは50Nの早強タイプを使用した。断面交通量は23,000台と比較的少ないが、上下線とも片側車線規制を行える工期は70日程度と短く、その期間内で完了させるため 元請10人、下請110人の120人体制で施工を進めている。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)

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供用後51年が経過 凍結防止剤や床版防水未設置の影響で劣化が進行

床版下面および張出し床版下面には亀甲状のひび割れ

斜角や、事前シミュレーション、工程管理などに非常に神経を使う

 同橋は昭和46年鋼道路橋の鉄筋コンクリート床版の設計に基づいて、1980年4月7日に供用された橋長247mの鋼2+3径間連続非合成鈑桁橋で支間長は全て49mとなっている。主桁本数は4本で幅員は11.65m、主桁間隔約3mと比較的長くなっている。1日交通量は上り線約11,300台/日、下り線約11,200台/日と比較的少ないが、大型車混入量は3割程度に達しており、累積疲労損傷という意味ではインパクトが大きい交通量である。さらに冬季の凍結防止剤散布量も多いことから、疲労と塩害による影響で、床版上面ではポットホールが頻発し、床版下面および張出し床版下面には亀甲状のひび割れが生じていた。


高時川橋概要

劣化状況


 ただし、補修についてはポットホールの都度補修以外、上面補修や上面増厚などは行っておらず、床版防水工も上り線は2005年、下り線は2013年にグレードⅠで実施するまでは未設置の状態であった。そのため今回床版取替を選択したものである。

 本現場での床版取替上の課題は、斜角と床版取替施工に使える期間の短さである。


斜角対応が必要だ


 そのため「60°というきつい斜角に対応するためにG1、G4桁の(床版を)橋軸直角方向のどこに載せるのかというのを主桁の上に墨出しするのと、それと同時に60°の角度を持った斜めに墨出しして、載せる時には橋軸方向の位置と橋軸直角方向の位置と、回転と、全てを合わせながら載せていくというのが非常に難しく苦労した」(鹿島建設)。

 「70日強という非常に限られた時間の中で床版を取替え、舗装や路面標示までを終えて交通開放せねばならず、天候など不意のリスクも含めて、どのようにスケジュール管理するか、事前シミュレーションや工程管理などに非常に神経を使いながら施工管理した」(NEXCO中日本名古屋支社)ということだ。

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切断は斜角なり 中央から両端部に開く形でクレーンを2台使って施工

米原チェーンベースに予めプレキャストPC床版を運び込み、タイムロスを防ぐ

 施工は5月16日に対面通行を開始し、7月29日に対面通行から車線規制にするスケジュールである。手順及び日数は、防護柵設置後⇒舗装撤去(1日)⇒既設床版切断(10日)⇒床版撤去および床版架設(約2週間)⇒間詰コンクリート打設(約2週間)⇒プレキャスト壁高欄架設及び間詰め(約2週間)⇒床版防水(約1週間)⇒舗装工(2日)⇒規制解除というものである。床版架設、間詰めコンクリートの打設、プレキャスト壁高欄設置工は多少施工がラップする。


舗装撤去工


 手順通り、舗装撤去完了後、既設床版(厚さ220mm)をロードカッターによる切断する。切断は斜角なりに長さ2.1m、橋軸直角方向はG2・G3桁の中間で切断する。これを全長で施工したのち、250tATCを2台配置し、中央からA1あるいはA2側に進む形で既設床版の撤去・架設を繰り返していく。


床版切断工


 既設床版および壁高欄の撤去は、全幅員を半割とし、片側の壁高欄ごと撤去した(撤去パネル一枚当たり約9.3t)、床版の剥離はセンターホールジャッキにより引き剥がし、クレーンを用いて吊り上げ、後方のトレーラーに積み、処理場に直送する。そして主桁上に残っている鉄筋を切断し、上フランジをケレンして有機ジンクリッチペイントを塗布した後、桁とプレキャストPC床版を接合する(すなわちスタッド溶植部周辺)部分にスポンジ型枠(モルトメール)を配置する。これらの撤去及び架設準備工は午前中に行う。


センターホールジャッキを用いて床版を引き剥がす



クレーンで床版を吊り上げて撤去

切断面

上フランジ上面のケレン(左2枚)および有機ジンクリッチペイント塗布(右2枚)

モルトメールの設置


 午後はプレキャストPC床版を架設し、間詰め部に鉄筋を配置していく。プレキャストPC床版の架設を遅滞なく行うため、現場から車で25分の所にある米原チェーンベースに規制前からあらかじめ製作工場(オリエンタル白石滋賀工場)からプレキャストPC床版パネルを運び込んで置き、輸送のロスが起こらないようにしている。


米原チェーンベースで仮置き

プレキャストPC床版の架設状況

床版が斜角なりに配置されていることがよくわかる(井手迫瑞樹撮影)


 プレキャストPC床版およびプレキャストRC壁高欄は全てエポキシ樹脂塗装鉄筋(高付着型)(『エポザク』(明希製))を用いて、防食性および付着性能を高めている。

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