2024年春のNEXCO中日本金沢支社大規模更新シリーズ② 北陸自動車道鯖江IC~福井IC間天王第一高架橋(下り線)P5~A2間の床版打換

2024年春のNEXCO中日本金沢支社大規模更新シリーズ② 北陸自動車道鯖江IC~福井IC間天王第一高架橋(下り線)P5~A2間の床版打換
2024.10.15

A2橋台背面の盛り土部の撤去、再構築も行う

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NEXCO中日本 大規模更新 床版
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never-ending challenge 超緻密高強度繊維補強コンクリート『J-THIFCOM』 鋼構造物の再生と環境の調和 循環式ブラスト工法、循環式ショットピーニング工法

PC定着部保護するため、張出し床版端部から地覆壁高欄を一体化施工

スランプ15cm、W/C50%の早強コンクリートを使用、暑中コンクリート配合に

打設後養生 防水ワイヤレス温湿度照度データロガー「Logbee」を採用

 床版コンクリートの打換えは、スランプ15cm、W/C50%の早強コンクリートを使用して桁上フランジ及び床版全面343.5㎡を一括打設した。打設厚は桁直上が床版部+上フランジ直上のはつり部260mm、ハンチ部は最大380mm厚で、桁間の床版部は210mm厚としている。


床版コンクリートの打設状況


 6月中旬から7月上旬に施工するため暑中コンクリート配合スランプ15cm、W/C50%の早強コンクリートを使用とした。またポンプ車からの圧送の際にコンクリートの温度が上がらないように配管周りを水で濡らした布で養生している。床版部は500mmマスごとに先行バイブ、さらに追いかけで再度バイビングして締め固めることにより、コンクリート打設の品質向上を図っていた。

 さらに、打設後の養生は自動散水装置を導入している。防水ワイヤレス温湿度照度データロガー「Logbee」を採用しているもので、機械とセンサーを用いて、表面の湿度が設定値以下に落ちた場合、水を自動的に供給して湿度を一定に保つシステムである。床版防水工施工までの7日程度を養生に充てることで、コンクリートの品質をさらに高めている。


Logbeeの活用状況

BRIDGE FOR THE FUTURE スーパーブラスター工法 スーパーブラスター工法

PC定着部保護するため、張出し床版端部から地覆壁高欄を一体化施工

壁高欄のコンクリート打設は「リバイブレーションを徹底」

 その後、壁高欄の現場打ちを行った。壁高欄の打設については、床版橋軸直角方向のPC定着部を保護するために、張出し床版端部から地覆壁高欄を一体化する形で施工していた。定着部を保護できる反面、従来の床版取替のように地覆立ち上がり部までを一体打設するやり方ではないため、床版面の両張り出し部に施工の継ぎ目ができる形となる。そのため壁高欄のコンクリート打設を向上させるべく、「リバイブレーションを徹底した」(同)。


壁高欄部の配筋および型枠施工状況

同部のコンクリート打設状況


 まず、コンクリート圧送の筒先に沿って先行バイブ(φ40mm)を挿入、さらに追いかけでφ20mmのバイブをかけて締固めをしっかりと行うことに加えて、型枠に沿って、エアを確実に抜くためのリバイブレーションをかけている。それでも床版上の継ぎ目が劣化すると定着部の損傷が懸念される。そのため床版防水については従来以上にきちんとした施工が求められる。

 厳密には床版・高欄撤去には1か月、再打設には6週間かけているが、そのうち2週間はラップ作業となっており、「撤去してから追いかける形で打設」(元請の日本ピーエス)した。

土工を再構築し、RC踏掛版を打設

4D(3D+時間軸)による技術伝承にも取組む

 これらの作業と並行して踏掛版の部分(延長8m×幅8.5m×厚さ300mm)で土工を再構築し、さらに400mm厚のRC踏み掛け版を同範囲で打設した。パラペットの直上の伸縮装置は既存のRC連結ジョイントを鋼製フィンガージョイントに取替え、踏み掛け版の上面にはさらにアスファルトの安定処理材を設置したうえで、基層+表層を施工し、橋梁部と舗装のレベルを合わせた。


踏掛け版部の舗装撤去状況



一時的に掘削されたA2背面部

400mm厚をワイヤーソーでいったん切断し、アスファルト系の安定処理材を設置

踏み掛け版設置のための切断機械を設置するためいったん掘った背面土を埋め戻していく

踏掛け版部の鉄筋および路盤コンクリート打設状況

伸縮装置の設置状況

設置が完了後は両側に配筋し、コンクリート打設していく


 橋梁部においては、床版・高欄の打設完了後、高性能床版防水(グレードⅡ、(HQハイブレンAU工法))工、ジョイント部の施工を行った。
 さらに舗装基層(FB13)、舗装表層(高機能舗装)を施工した。施工期間は5月19日~8月5日の79日間。


床版研掃および床版防水の施工状況

舗装工の施工状況


 同現場では引き続いて既設支承を機能分離型支承に取り替える工事も行っていく方針だ。

 現場では4D(3D+時間軸)による技術伝承にも取組んでいる。「BIM/CIMに時間軸を入れているもので、工程管理も4Dで行うことができる。技術的に理解が不足している若手や技能者にも説明して納得してもらいやすく、技術の伝承もしやすくなるため積極的に活用していきたい」(同)ということだ。


4D(3D+時間軸)による技術伝承にも取組む


 同現場では元請の日本ピーエスが最大で4人、施工にあたる技能者を最大で20人配置し、施工にあたっていた。

 元請は日本ピーエス。一次下請はコンクリートコーリング(大阪)(床版撤去工・WJ)、森新建設(床版打替工)、辻広組(防水および舗装工)、信栄工業(足場工)、米原商事(クレーン)。


橋面上の施工が完了した天王第一高架橋

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