2024年春のNEXCO中日本金沢支社大規模更新シリーズ④ 北陸自動車道富山IC~立山IC間布市橋(下り線)A1~P2間の床版取替

2024年春のNEXCO中日本金沢支社大規模更新シリーズ④ 北陸自動車道富山IC~立山IC間布市橋(下り線)A1~P2間の床版取替
2024.11.28

県道を跨ぐ橋梁、クリアランス余裕も少ない

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NEXCO中日本 大規模更新
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鋼構造物の再生と環境の調和 循環式ブラスト工法、循環式ショットピーニング工法 ゴミを減らして世界を変える ここにしかない技術! あふれだす未来!

壁高欄の再構築と同時に踏掛版を左右に打ち足す

打継ぎ目には吸水調整材を塗布

コンクリート防食上の工夫
 プレキャストPC床版の鉄筋は、床版および壁高欄全てでエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用(安治川鉄工)した。PC鋼材は、プレキャスト部材に内包されている横締めはエポキシ樹脂被覆PC鋼より線、縦締めはスープロストランド(いずれも神鋼鋼線工業)を用いている。横締めの直径はφ15.2mm、縦締めはφ21.8mmとした。

 目地モルタル部のディテールも工夫している。事前に吸水調整材(「エフェクトA」)を打設界面に塗布したうえで、目地モルタルを打設する。この工夫を行うことで、目地モルタルの水分が、プレキャスト部材に吸われず、目地部のひび割れの発生を抑止できる。さらに高欄部の目地モルタル打設は、床版と同時ではなく、床版の縦締め緊張を行い形状が固定された後に行うことで、緊張力の影響による損傷を回避するような工程を組んでいる。


給水調整剤の塗布(左)床版部、(中)壁高欄部、目地モルタルの打設(右)


 また、RC構造である場所打ち部は膨張剤入りの高強度コンクリートを用い、さらにバイビングを適切に行い、締固めを徹底することでひび割れ抑制に努めている。打継ぎ目にはプレキャスト部材同士と同様に吸水調整材を塗布した。



現場打ち部の打設状況



縦締め施工 / 床版研掃 / 床版防水 / 舗装の施工


 床版防水は事前にショットブラストによる研掃を行ったうえでグレードⅡ(今回はHQハイブレン工法を採用)の床版防水を行い、その後基層(FB13)、表層(高機能舗装)を施工し、布市橋下り線(A1~P2)のリニューアル工事を完了した。

 床版の撤去・架設は台形版・延長床版を合わせて合計20日程度の工期を必要とした。

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壁高欄の再構築と同時に踏掛版を左右に打ち足す

既設塗膜は循環式ブラストを施工して撤去

橋台背面部も改良

 本工事では橋台部の背面も掘っていたが、これは橋台のウイング部分の既設の直型壁高欄を打ち直すため、既設壁高欄を撤去する必要があったためである。切断面が地中であるためワイヤーソーで切断面を出すために機械が入る高さまで掘り、ワイヤーソーを据え付けて既設部材を切断し、高欄を再構築した。その上で再埋設を行っている。A1側では既設の踏掛版のサイズが小さかったため、壁高欄の再構築と同時に踏掛版を左右に打ち足した(左側1.6m、右側0.3m)ということだ。


伸縮装置の施工状況



背面盛土の掘削状況

踏掛版の拡幅状況 / 壁高欄の再構築状況

橋面の完成状況


塗替えの難しさ

 同橋は県道が下にあるためP1~P2間の上り線は足場を下フランジ上面に板を設置する形で足場を構築する。下り線側はまだ余裕があるため、下フランジ下面から20cmほどの隙間を開けて足場を設置することができた。それでも僅か20cmである。そのため、塗替えに際しては大きな手間がかかることが予想される。研掃状態や塗替え品質の確認は「鏡を使うしかない」(元請のオリエンタル白石)。既設塗膜には鉛が入っているため、作業エリア外へ粉塵が漏出しないように養生を確実に行い、循環式ブラストを施工して撤去する予定である。防食は通常の重防食塗装を施工する。


県道が下にあるためP1~P2間の上り線は足場を下フランジ上面に板を設置する形で足場を構築(井手迫瑞樹撮影)


 元請はオリエンタル白石。下請はトラスト工業(床版取替工)、信栄工業(足場工)、ヤマダインフラテクノス(塗替塗装工)、NIPPO(防水舗装工)

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