高専発、インフラメンテナンス人材育成・KOSEN-REIM(高専レイム)の挑戦

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2026.01.01

第16回  構造物の詳細調査のコーディネートを学ぶ専門特修講座「構造物の詳細調査」

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●コンクリート構造物の詳細調査

 2日目のコンクリート構造物の詳細調査については、掛氏と著者が主担当です。

 はじめの座学講義では、橋梁メンテナンスサイクルにおける詳細調査の位置付けやコンクリートの材料特性(品質の不均質性といった鋼との違いなど)を踏まえた調査結果の分析の必要性などを講義します。

 次に、1日目の鋼構造物の非破壊検査体験同様に、コンクリート構造物の非破壊試験・微破壊試験も実習を行います。本講座で体験できるものは次の通りです。

・ テストハンマによる強度推定(反発硬度法)
・ 鉄筋探査(電磁波レーダー法)
・ 機械インピーダンス法による強度推定(コンクリートテスター)
・ 微破壊調査(コア採取、はつり調査)
・ 超音波法
・ 表面吸水試験(SWAT法)

 テストハンマや鉄筋探査などは受講者にとって見慣れているものが多いですし、「基礎編(橋梁点検)(連載第2回参照)」で一部紹介している試験もあります。そこで、本講座では、例えば、テストハンマではひとつのコンクリート試験体において乾燥面・湿潤面や打撃角度を変えて試験をして比較をしたり(写真5)、はつり調査では露出した内部鉄筋の鉄筋径やかぶり厚さを計測するための道具選びを考えたりする(写真6)など、単に機器の紹介・体験にとどまらず、より実践的な実習を行います。


写真5 湿潤した斜面へのテストハンマ打撃

写真6 はつり範囲の大きさに適した計測器の選定


 中でも、コンクリートの表層品質(物質透過抵抗性)を評価する表面吸水試験(開発者の一人である香川高専 林和彦 准教授より貸与)は、コンクリートの品質が吸水速度の違いで視覚化されることもあり分かりやすくて多くの受講者が感心する試験のひとつです(写真7)。


写真7 表面吸水試験(SWAT法)


 非破壊試験・微破壊試験の実習を終えると、グループワークとしてiMec内の実物劣化教材を対象に劣化機構と必要な詳細調査を検討します。はじめは、対象構造物の写真と初期条件を提示します。そして、時間の経過とともに立地条件や諸元などの情報を徐々に増やしたり、実物の観察を許可したりする中で、受講者は想定した・除外した劣化機構と必要な・不要な詳細調査を理由も含めて検討します。検討の結果、劣化機構と詳細調査項目が記載されたカードを模造紙に貼っていき発表資料を作成します。最後にプレゼンテーションを行い、講師、受講者と質疑応答を行います(写真8、9、10)。質疑応答の後には講師が解説を行いますが、この演習には絶対的な正解は無いので、対象構造物に適した劣化機構と詳細調査を選択できているかに加えて、その選択の根拠を説明できているかにも着目して講評します。それぞれのグループの発表やディスカッションを聴くことで、理解を深めることができます。


写真8 劣化機構と詳細調査の選定



写真9 対象となる実物劣化教材の観察



写真10 プレゼンテーションと質疑応答


 講習会の最後には、択一式の学習到達度確認試験を行います。これは、講習会の内容の修得度の確認を目的としているもので、資格付与に関連する合否判定があるようなものではありません。

●おわりに

 専門特修講座「構造物の詳細調査」は,メンテナンス技術者が修得すべき非破壊試験・微破壊試験といった詳細調査に関する知識と技術を,実務経験豊富な講師のもと実物を教材として学ぶ講習会です。中でも,1回の講習会で鋼・コンクリート両構造物の詳細調査について学ぶことができる点と,多くの検査機器を体験できる点は本講座の特長であると言えます。

 なお本講座を含む専門特修講座は,必ずしも橋梁診断技術者を目指す人だけのものではなく,ステップアップを目指すあらゆるインフラ技術者に学んでいただけます。今のところ舞鶴高専のみでの開講ですが,興味ある講座があれば気軽に問い合わせてみてください。

 

舞鶴高専e+iMec講習会カリキュラム
https://www.maizuru-ct.ac.jp/imec/curriculum.html

KOSEN-REIM財団
https:///www.kosen-reim.or.jp/

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