高専発、インフラメンテナンス人材育成・KOSEN-REIM(高専レイム)の挑戦

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2026.01.01

第16回  構造物の詳細調査のコーディネートを学ぶ専門特修講座「構造物の詳細調査」

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>毛利 聡氏

舞鶴工業高等専門学校 社会基盤メンテナンス教育センター
副センター長
(舞鶴高専准教授) 

毛利 聡

●はじめに

 インフラの維持管理の重要性が高まっている現状において、実構造物を調査・診断するために多くの非破壊・微破壊調査手法が考案・整備されてきています。その中で、メンテナンス技術者は数多くある非破壊・微破壊調査手法の中から対象構造物の調査・診断に必要な試験を選定する必要があります。一方で、例えば、テストハンマによってコンクリート表層の反発硬度を得ることでコンクリート強度を推定するように、多くの場合において知りたい構造材料の物性値に関連深い他の物性値を非破壊・微破壊調査により得ていることに過ぎない点を理解した上で調査の計画と結果の分析をすべきです。さらに、材料(主に鋼、コンクリート)特性の理解も非破壊・微破壊調査を使いこなすためには重要です。

 KOSEN-REIMでは橋梁メンテナンスに関するリカレント教育プログラム(連載第1回参照)として、「橋梁点検技術者」の資格を持つ人が「橋梁診断技術者」の資格を取るために、関連する4つの専門特修講座を受講することを義務付けています。それが、「施工技術と施工管理(連載第7回参照)」、「橋梁長寿命化対策(連載第14回参照)」、「建設ICT(連載第15回参照)」、そして「構造物の詳細調査」です(図1)。

 今回は、専門特修講座の紹介の最終回として「構造物の詳細調査」について紹介します。


図1 教育プログラムにおける本講座「構造物の詳細調査」の位置付け

私たちは、循環式ブラスト・ショットピーニングで予防保全型メンテナンスを推進します。 キレイに、未来へ コンクリートを”はつる”

●講座の概要

 「構造物の詳細調査」の教育コンセプトをまとめると次のようになります。

 ・鋼、コンクリートの両方について、材料特性を踏まえた詳細調査のポイントを学ぶ。
 ・多種多様な非破壊・微破壊調査手法を、機器を手に取り体験できる。
 ・詳細調査が必要な構造物の判別と詳細調査が必要な場合の調査項目や数量をコーディネートできるようになる。

 舞鶴高専社会基盤メンテンナンス教育センター(iMec)には、「鋼構造物の非破壊検査」という講座があり、それにコンクリート構造物の詳細調査の内容を追加した上で講座を開発しました。

 本講座は、佐々木昇氏(神鋼検査サービス(株))、掛園恵氏(日本ミクニヤ(株))、著者が開発を担当しました。佐々木氏は、鋼構造物の非破壊検査技術者で既存講座の講師でもありました。掛氏は、橋梁の点検・診断技術者で特にコンクリート構造物の非破壊・微破壊調査に精通しています。加えて、ふたりはKOSEN-REIMで展開している「実務家教員育成研修プログラム」を修了した実務家教員(「専門教士(建設部門)」)でもあります(連載第8回参照)。ちなみに著者はコンクリート材料に関する教育研究を行っている高専教員です。

 KOSEN-REIMの講座の特長は、事前のeラーニングと少人数による対面でのアクティブラーニングであり、上記コンセプトを踏まえて図2のようなカリキュラムとしています。

 以下では、講座の詳細を紹介していきます。


図2 「構造物の詳細調査」カリキュラム

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●鋼構造物の詳細調査

 講習会の1日目は鋼構造物の詳細調査について佐々木氏を中心に講義します。

 はじめに、鋼構造物の主要な劣化現象である疲労と腐食ならびに鋼構造物の非破壊検査について座学講義をします。ここでの内容は、eラーニングで事前に学習しているものですが、講師による解説により理解をより深めてもらうことを意図しています。

 次に、疲労亀裂の生じやすい部分と亀裂の入り方についてiMec内の実物劣化教材を用いた体験型学習を行います。写真1はUリブを使用した鋼床版を対象にした実習の様子です。受講者には生じ得る応力の方向を矢印マグネットで、その応力により発生する亀裂の位置に細切りにしたマグネットでそれぞれ貼ってもらいます。そして、「溶接継手の疲労強度等級分類」(継手の種類、応力方向により疲労強度を等級分けしたもので日本鋼構造協会疲労設計指針に示されている)中のどの等級に該当するか検討します。これらを通して、一般的に疲労亀裂が入りやすい溶接継手形状や応力条件を理解してもらいます。


写真1 疲労亀裂の観察、点検実習


 そして、鋼構造物の非破壊検査実習を行います。本講座で体験できる非破壊検査は次の通りです。

  磁気探傷試験(MT)
  放射線透過試験(RT、フィルムの観察)
  渦流探傷試験(ET)
  超音波探傷試験(UT)
  浸透探傷試験(PT)
  赤外線サーモグラフィ試験(TT)

 本講座の受講者には鋼構造物よりコンクリート構造物の点検経験が豊富な方が多いので、とても興味深く鋼構造物の非破壊検査を体験しています(写真2、3、4)。


写真2 磁気探傷試験



写真3 超音波探傷試験(奥は渦流探傷試験)



写真4 浸透探傷試験


 1日目の最後には、「非破壊検査の業務依頼」として、鋼構造物の非破壊検査を発注する上での留意点を講師の経験も踏まえて講義します。

私たちは、循環式ブラスト・ショットピーニングで予防保全型メンテナンスを推進します。 キレイに、未来へ コンクリートを”はつる”

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