新しい時代のインフラ・マネジメント考

新しい時代のインフラ・マネジメント考
2026.01.16

⑲群マネが認められだした

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新しい時代のインフラ・マネジメント考
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世代を超えて、感動と笑顔あふれる豊かな世界を創造する ノアの橋梁。 わたしたちは 橋梁・コンクリート構造の専門家です!

4.何が必要か

 最近、この10年間提唱してきたものがやっと評価されるようになった。当初は否定され、さらには非難され、「そんなことはない」「何を言っているんだ」。SNSでも悪口を言われていたのは知っている。馬鹿にしたような投稿もあり、世の中の思慮のなさをこちらが笑った。否定され、マスコミからも非難された。某技術系(?)雑誌でも、地方紙でも、取り上げられると、否定的であった。

 しかし、笹子の事故に続き、昨年の八潮の事故と、笹子から12年もたったが改善されていなかったことも露呈された。「点検はしてました。」という言い訳。当たり前だ、管理者として点検もしていなかったら、犯罪行為である。点検しても危険を見抜けないと言うことに気づけていない。そのほうが問題である。見てもわからないのである。

 今後はさらに厳しいものになっていくはずである。なぜか、きれいごとに惑わされ、魂が入っていないからである。「全数、守らなければならない」というが、我々は、政治家ではないしタレントでもないので、市民に媚を売っても仕方がない。媚びを売ってきれいごとを言っても、何かあれば非難される。自分たちの意見と違う意見を言えば非難されるのだから、仕方がない。何かあれば、面白がって、たたく人々も多い。きれいごとでなく、現実を見据え、安全とまではいかなくても何とか供用に耐える状況をできるだけ長く持続可能にしていくことが望まれるはずである。政治家や、先生方は、希望を持たせなければならないので、それで良いが実務家の我々は真実を判断、議論しなければならない。

 「危険な損傷を見抜けるかどうか」、これが重要なのだ。目視でひび割れを拾って、ひび割れ損傷図を描き、満足している。これでは、何もならない。その、ひび割れが、危険なのか大丈夫なのかという問題がまずある。そして、的確な判断。これが実務家の仕事である。どうすべきなのかの事実を、伝えて考えるこれが重要である。政策的決断をしなければならない。それを、首長や議会に提示し、政治的判断を得るのが仕事である。

 結局マネジメントとは判断や決断の連続である。それぞれの役割分担の中で適正に処理していき、最終的にマネージャーがスポンサー、首長などに決断を求めるこれが重要なのだ。


 自分の手柄だけを強調する人間も多いが、しかし、それは、様々な事業をやっていると運が良いだけ。理解者がいるかどうかというのも大きなも条件になる。報告して判断を仰いだ時に政治的判断が的確かどうかという問題も存在する。みなさん理解していないかもしれないが、我々には最終決定権はない。必ず大きなプロジェクトになれば、政治的判断が必要になる。

 わたしは、失敗してもやり直せばよいと思ってやってきた。富山でのさまざまな手法も、当時は、まあひどい評価だった。しかし、私は「これで、できなければ、申し訳ないが、あとは荒廃しかなく、日本も終わりだ。」と思ってやっていた。現在は比較的、多くの方が、理解くださるようになった。やっとである。「富山の事例を広げればよい。」と言ってくださるが、そんな単純なものではない。私には権限もなく力もない。聞かれれば答えるが、からといって、相手が理解できるかどうかはわからない。そもそもが聞かれない。聞かれないこと相談されないことには口を出さないことにしている。

 ここでなぜ、私がかかわったのが、富山市だったかということだが、中核都市であり人口が40万人ということで、ちょうど中間的存在。政令市ではなく、県庁所在地。市長の政治的判断がすぐれているなど良い条件はあった。ただ、日本海側であること、地元企業、民意の問題等のリスクはあった。霞が関の親しい方、数人との話で、「老朽化対策に関し、事例として富山でうまくいかなければ、もう全国的に無理であろう。そういう意味では試験的地域だ。これまでの経験を生かして存分にやってほしい。」と激励されて赴任したわけだが、前述したように、批判の嵐は大変だった。

 腹が立ったが、依頼されたことは、きっちりこなすことが自分の使命であり、その評価は別物と割り切った。「悪代官」と悪口を言われ、まあ、外部は否定の嵐であった。ただ、市役所内部はこんなものの指示でも従ってくれた。市役所の職員も、途中からいきなり変な奴が来て、いろいろ始めたので相当面喰ったろう。しかし、私の赴任前にNHKでの番組で、土木学会の小委員会メンバーによる、点検・評価が番組で流されたのが、私にとってはプラスに働いたと思う。あんなことを言われるくらいならば、何かやらないと、という気持ちになったものと思う。そういう面では、運が良い。ただここで問題だったのは、指摘されたことに対して過度に反応してしまい、何が何でもそうしないといけないと、職員も思っていたが、私が見直すとそうでもないし、実際に、財政面からも、対応しきれないので、新たな手法を考えなければならなかった。最終判断は自分のところで、しなければならない。

 まあ、この辺も韓国でのPFI事業のマネジャーをやってきたおかげで、経験済みであった。韓国では、乗り込んで3週間、全く認められずに、仕事は進まず、質問攻めであった。朝出勤すると、カウンターパートの部長クラスが数人、私の前に座り、試された。技術的なものから両国の歴史・文化に関する事項までだったが、これは彼らが良くやることである。

 彼らの相手を評価する手法であり、これもプロジェクトには必要な儀式である。現在政治的問題も多いが、政治家は何か間違っているのではないだろうか?初対面の人間を試すのは当たり前である。これに付き合っていると3週間後に、彼らの方から、わたしを「ボス」と言い出した。他の人に紹介するときも「マイ・ボス」となった。そうすると、驚異的に仕事が進んだ。この経験は自分で貴重だと思っている。この時も、細かい指示はしなかった、自分の役割は、プロジェクトをまとめることだと考えていた。問題があると「ケンチャナヨ!」と指示していた。それがかれらには受けた。

 しかし、同じ日本人のはずが、それ以上に時間はかかった。その理由は実はわかっている。皆さん言われたくないだろうが、プライドの問題なのだ。プライドが障壁となる。まあ、それは各所、各人の判断なので、何も言おうとは思わない。しかし、それが生産性を悪くする、個人の問題とプロジェクトは別なのだがその区別が難しい。私は、競争や比べることが好きではない。「表彰」などということも嫌いである。もらっても、一瞬である。自己満足だけである。それが励みになると言う方もいるが、実際にどうかということだけの実績が成果である。この価値がすべてである。

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5.まとめ

 群マネの効用として、私が富山でやってきたことが急に認められだしたのは、まあうれしいことである。「マネジメント計画」「トリアージ」「診断協議」「補修オリンピック」「マネジメント・カンファレンス」「植野塾」などの、マネジメント項目が、一部の方々に注目を浴びている。
個人的にはうれしいことである。これまで、多くの方々から批判され、悪口をたたかれたので、たまったもんではなかった。「悪代官」と言われ、やろうとする施策も批判された。市民の方々に批判されるのは、素人なので仕方がない。しかし、コンサルや、マスコミから批判された。これは専門家として、先を見る目がないと言うことである。プロとして、先が見れなければ、能力的には失格である。リスクの予想もできないことになる。わたしは、「こいつら、プロではないな。」と思っていた。


 これが、急に認められだしたので、やっと世の中が追い付いたかと思っている。しかし、手柄争いをしているわけではないので、同志となるべき相手には、情報を共有していきたいが、相手からのアクションがない限りそれはできないしやらない。多くのコンサルが、押し売り的に提案してくることは、商売だから仕方がないが、果たしてそれは、相手のことを考えて、自ら考案したことかどうかである。押し売りになっていないか?

 インフラ・マネジメントを考えていくためには長期にわたる構想が重要であり、行政や政策的判断や、それを首長や議員さん方に説明し理解してもらい政治的判断にまでもっていかないと実行は難しい。これが、おそらく民間の方にはわからない。民意は重要である。民意は尊重しなければならないが同時に我々実務者の判断も重要である。ちょっと前までは、インフラに関し「全数を守る」ということが正義のように言われていた。だから私のトリアージは、悪のように言われ、マスコミも批判していたが、最近は「選択と集中が必要だ」との意見も聞けるようになった。

 しかし、正直もう遅い。きれいごとでは多くの物も人も守れない。「橋梁長寿命化計画」というものをどこの自治体でも策定しているだろう。しかし、その中身は本当か?富山では赴任してみた瞬間に「嘘だ!」と判断できた。あんなふうになるはずはないのである。そんなウソの計画を、ありがたがって使っていると、破綻が待っている。心ある自治体ではすでに修正されている。長寿命化?これは本当か?設計が悪い施工が悪いものを長寿命化するのか?価値があればよいと思うが価値のない物を、予算をかけて直しても、長寿命化はできない。

 最近、思うことは、それぞれの立場での役割分担が重要だと言うこと。無理をしても、できないことはできない。真似をしても、果たしてどこまでできるか?自分の役割の中で、責務を果たすことがマネジメント的にも重要である。構想力や判断力、決断力が必要なのだ。

 さらには、群マネの議論の中で、今まであまり表に出なかった実際の自治体の要望などが出てくるようになった。それが今後少しずつ認められていけば、世の中は進むと思う。それも、今回の群マネの効用としては、大きいと感じている。

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