インフラ未来へのブレイクスルー -目指すは、インフラエンジニアのオンリーワン-
① 跛鼈千里の思いと行動で成果を得る ‐ 理不尽な発言にもめげず、最後まで自分の考えを突き通す ‐
3.おわりに
新たなインフラに関連する多くの人々が期待する種々な情報を提供する『R2SJ』は、井手迫氏の取材力だけでは成り立たず、一人の読者が記事を読んで「この情報提供サイトは素晴らしい、自分に多くの知恵と情報を提供してくれる」と実感し、一人が二人を呼び、その二人がそれぞれ二人を呼び4人となり、それがネズミ算式に広がらなければ、いずれ尻蕾みとなる。私は、先にも示したように縁あって井手迫氏に付き合って個人の考えを井手迫サイトで文章化して表現しているが、これも、今後『R2SJ』がどのように進むかによって書き続けるか、止めにするかは全く不明である。しかし、これだけはハッキリしておきたい。私が今回取り組んだUFB水による構造物洗浄について、何故読者に話題提供したかったかを考えて貰いたい。私にUFB検証について苦言を呈した優れた技術者集団と言われている組織で働くK担当者は私に対して、「私は寒い中、何度も実験を行っています。それも安いお金で!」と言った。そう言われた私は、今年になって2度も深夜勤務、それも無償で現場に出て冬の寒い深夜、データ確認とその時々の最終判断を行なってきている。優れた技術者集団とはどのような組織なのであろうか?私はこれまで苦言を呈する前に自らの身体を削っても何とか目標に到達しようとそのたびごとに考え、この年齢になっても今でも日々取り組んでいる。業務を請け負った以上、収益は別として精いっぱい努力し、何とかやり遂げようとするのが真の姿ではないのか?
図‐19は、第3回UFB水による洗浄効果検証実験において、生成したUFB水を外部機関にUFB個数濃度測定を依頼した結果の表である。
図-19 UFB個数濃度測定報告書とコメント
ここには、私が注目した記述があった。「③そもそもUFBではない」と書かれている。これを見て、第3回のUFB水による洗浄効果検証実験を行っている時に、外部にUFB個数濃度測定を依頼し、その結果を見て、依頼した組織と実際に検証実験を進めていた優れた技術者集団の誰かが、UFBについてやり取りした結果のメモである。私であれば、測定を依頼した組織からこのような発言を聞いた時に、自らが進めているUFB水洗浄を見直すはずである。何故見直さなかったかは不明であるが、自己の勝手な思い込みで重要な効果検証実験をあらぬ方向に導いたK担当者の責任は大きい。もしも、私が第4回のUFB水による洗浄効果検証実験を行なわなければ、UFB水の洗浄効果は無いとの判断が下されていた可能性が高い。技術者としては、最悪であり、今考えてもその判断にぞっとする。
外部の人や組織は、その組織のバックボーンや表面上の姿等で評価するのではなく、実際にやり遂げた結果や成果を見て、評価を下すことを忘れてはならない。今回私が取り組んだUFB水による構造物洗浄の効果確認は、第3回UFBによる洗浄効果検証実験は全く評価に値しない結果であり、当該年度に注いだ人や費用は全くの無駄であったとの最終結論である。本来であれば、第3回UFBによる洗浄効果検証実験に要した多大な費用は全額返済が必要となる事項である。私が今回身を呈して事態の収拾を図らなければ、UFBの洗浄原理も眉唾との評価となり、UFB水もインフラメンテナンスの社会では二度と取り上げられることの無い残念な結論となったと考える。物事は何でもそうであるが、『跛鼈千里の思いと行動』で取り組まなければならないことが多々ある。私は、今回の教訓を肝に銘じ、インフラ、特にメンテナンスに心身とも動かなくなるまで精いっぱい現役技術者として頑張る気持ちである。読者の皆さん、孤軍奮闘の私に強力な支援と協力をお願いすることとして、今回の話題提供を終わりにする。
文責 髙木千太郎(次回は2024年7月1日に掲載予定です)